ジャンボ。今回もまた、ケニアはナイロビにあるポテト屋さんをポテロール(ポテト屋さんをパトロールすること)してきたよ。
行ってみたのは南バイパス沿いにある「UTAFOOD cafe」って店なのだが、結果的に連載史上最悪レベルな店だった。
まずこのレストランは非常に小さく、人々は店内に座ることができない。よって、座ってポテトを楽しめるのは外の席だけだ。
さらに店内を覗くと真っ暗。この時、私は嫌な予感がしていた。「もしや、電気が来ていないのでは?」と。あるいは停電中。
ポテト屋さんにおいて電気が来ていないというのは致命的。理由は2つある。
まずは、電気の力で油を温める系のフライヤーを使っている場合は、ポテト自体が揚がらない。
もうひとつは、揚げたポテトを保管しておくホットケースに電気が来ていなかったら単なる箱。つまりポテトが冷めてしまう。
ということで、さっそく店員さんに「暗いけど、電気の具合はどうなんだい?」と聞いてみた。
すると……
店員「たしかに今は電気が来ていない。でも、ポテトを揚げ終えた時、ポテトは熱々だった」
──答えになっていない。「ポテトを揚げ終えた時、ポテトは熱々だった」って、当たり前じゃないか。
店側の理論はメチャクチャだけど、娘が「はやくポテト食べたい」と言うので1皿注文。100kes(約115円)だった。
外に座って待っていると、そこには小さな猫がいた。
さらに、
大きな猫もいた。
娘は「これはお母さん猫だ! あの小さな猫のお母さんだ」と言いながら、とても猫に対して怖がっていた。
──やがてポテトがやってきた。
電気が来ていないのに、なぜこんなに時間がかかったのか謎だけど、とにかくポテトがやってきた。
てことは、もしかしてガスで油を温める系の熱々ポテト……
──と思いきや!
キンッキンに冷たかった。
私はその瞬間、食べる気を失くした。たった1本で気持ちをブルーにさせるとは、なんとも恐ろしいポテトである。
一方、腹を空かせた娘は食べる気マンマンだった。しかし1本食べると「冷たい」と言い、機嫌を損ねたかと思いきや……
「ポテトが冷たいから、トマトケチャップを入れてみようよ。なぜなら、トマトケチャップは瓶の中が綺麗だったから」
と、「なぜなら」以下の理由が意味不明なことはともかく、打開策を提案してきたのだ。
私はその時、少し反省した。大人のくせに、たった1本でギブアップ。それに対し幼い娘は、小さな望みを捨てていなかったから。
そしてトマトケチャップをしこたまかけて、
娘は「イケるやろ」的な表情で冷たいポテトを口に運んだのだが、
すぐに「ダメだ……」と、うなだれていた。
ただ、こうも言っていた。
「ポテトは美味しくない。でも、トマトケチャップだけは美味しいかもしれない」。
たしかに娘の言う通り、そのトマトケチャップは美味かった。
そんな美味しいトマトケチャップのパワーを借りるように、我々はなんとか冷えたポテトを完食した。
我々は、一体全体、この店に何を食べに来たのだろう……。
食後、娘は「この店は、もうやだ」と言っていた。私も、もうやだ。二度と来ることはないだろう。
ちなみに帰宅中、娘は「お腹の調子が悪い」と訴え始めた。私は大丈夫だったが、娘は見事に腹を下した。
あわてて薬局に駆け込み、胃腸薬を買って娘に飲ませると、わりとすぐに「もう大丈夫」と復活した。
その後、家に帰るまで、ずっと娘は無言だった。
人間というのは正直なもので、うまいポテトを食べるとハイになるが、うまくないポテトを食べるとブルーになる。
ただ、うまいポテトは、だいたい高い。
うまくて安くて安全なポテト。それを探すのが私のライフワークでもある。クワヘリ。
執筆:チャオス(カンバ族)
超訳:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.
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