バレンタインデーに比べると、なぜか影が薄くなりがちなホワイトデー

実は日本独自の風習だから……というのもありそうだけど「なるべくお返しをあげたくない」という思惑がありそうな気がするのは、私の心が汚れているからなのだろうか。

まあ、いろんな禍根を残しがちな行事ということはたしかである。

かつて、私もホワイトデーのお返しがもらえなかったことでモヤモヤしたことがある。職場の義理チョコなら仕方ないが、それが恋人だったら……?

・優しい人なのに、なぜかホワイトデーはくれない

これは学生時代の頃の話である。当時付き合っていた恋人に、私は毎年せっせと手作りチョコとプレゼントを渡していた。

小学校は「りぼん」、中学校は「別冊マーガレット」、高校時代は「Olive」を愛読していた私は生粋のロマンチック乙女。本命チョコは愛をこめた手作りでなくっちゃ……的な気持ちもあった。健気な自分に酔ってもいた。

ぶっちゃけ、手作りチョコは道具や材料、ラッピング(そして当時はレシピ本も)の用意があるので、高級チョコよりよっぽどお金も時間もかかる。愛のためとはいえ、上京して一人暮らしをしている自分には痛い出費であった。

相手はとっても喜んでくれて、ハッピーハッピーバレンタイン♡ 

さて、お待ちかねの3月14日、ホワイトデーの日……。なんとお返しはなかった。その翌年もお返しはなかった。相手もロマンチストで記念日などは大事にする優しい人なので不思議に思っていたのだが……。

相手には「ホワイトデーにお返しをあげたくない」言い分があったのである。



・ホワイトデーは〇〇だから

優しい彼がなぜかホワイトデーにお返しをくれない理由。

それは……


\3月14日が彼の誕生日だから/


もうひとつついでに……


\4月2日が私の誕生日だから/


つまり、ホワイトデーは自分の誕生日だから祝われる側だし、さらに私の誕生日(4月2日)までも2週間しかあいてなくて損した感じになるから、あげなくてもいいという理屈である。


当時の私は、それを聞いたとき納得した。いや、必死に納得しようとした。



・消えぬモヤモヤ

しかし、私は相手の誕生日がホワイトデーであっても誕生日プレゼントを渡したし、食事の用意もしている。

考えれば考えるほど、モヤモヤモヤモヤとした気持ちばかりが残った。なんか理屈が通ってるようで通ってなくない? 不平等条約じゃない?


12月24日 クリスマス
2月14日 バレンタインデー
3月14日 相手の誕生日


と、私は3ヶ月の間に3回とも贈り物を用意した。短期間に出費が重なるなあと思いつつ、好きだからこそがんばった。



・豪華じゃなくてもよかった

別に私はホワイトデーに高額なプレゼントがほしかったわけではない。たしかに、ホワイトデーの2週間後には私の誕生日だし、短期間にプレゼントを買うのは大変である。


だけど花1輪、ポストカード1枚でもいいから、ホワイトデーにありがとうの気持ちを表現してほしかったのだ。


恋愛関係を続けていくには、不満はちゃんと相手に伝えることが大事である。

「え〜、私もホワイトデーなんか欲しいよ〜!」とか「じゃあ今度お茶奢ってよ!」とか冗談っぽく言えればよかったけど、当時の私は言えなかった。物分かりのいい健気な彼女でいたかったのだと思う。

ホワイトデーは直接的な別れの原因ではなかったけれど、そんな小さな不満やすれ違いが小さなチリのように積もっていき、いつしか恋心はくすんでいく。

もちろん、見返りを求めるならば、初めからバレンタインチョコなんてあげなきゃいいという意見もあると思う。見返りを求めない愛、それはそれで美しい。だけど私はそうじゃなかった。

さて、あなたはこのホワイトデーを返さない理由をどう思うだろうか……。


執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.