スタバのドリップコーヒーは「ショートサイズ1杯350円(税込)」だ。では、ドリップコーヒーのショートサイズを2杯イートインで注文したらいくらになるだろうか? おそらく多くの方が自信を持って「700円!」と答えるだろう。
いや、2杯目がお得になる「ワンモアコーヒー」を利用したら、ドリップコーヒーは165円になるから……という話はここでは置いておく。単に「スタバで1杯350円のドリップコーヒーを2杯イートインで注文したらいくらになるのか?」というのが今回の問題だ。
結論を先に書くと、正解は700円……ではない。実際にレジで頼んでみたらこうなった。
・スタバのドリップコーヒー
くり返すが、注文するのはドリップコーヒーのショートサイズを2杯。並んでいる間にレジカウンター後方にあるメニューを確認すると……
「Short 350円」
と書いてある。税抜価格は記載されていない。700円を握りしめて列の最後尾に並んだ。
さあ、いよいよ注文である。カウンター上のメニューを再確認してドリップコーヒーのショートサイズを2杯オーダーすると……
お会計金額は……
701円。
……ってマジかよ。1円足りなかったため、電子マネーで支払いを済ませることに。キャッシュレス決済が普及していなければ1円に泣いていたところである。
・税理士の先生による解説
──というわけで、正解は「701円」だった。どういうことなのか税理士の先生に話を聞いてみることに。先生の説明によると……
今回のスタバの場合、会計としては総額表示(税込)の価格はあくまで参考で、「税抜価格」で計算しているという。複数の商品を購入した場合は、購入商品を「消費税の税率」ごとにまとめて消費税を計算するそうだ。
つまりレジ液晶画面の「ショートサイズ ドリップコーヒー2杯638円」のように、購入商品の税抜価格の合計に対して消費税率ごとに計算することになる。
今回のイートインの場合だと消費税は10%なので、638円に対する消費税は63円。んで、638円(税抜価格)に63円(消費税)を足して「701円」となるようだ。ふむふむ。
・1杯の価格
計算の流れはなんとなく分かった。「2杯638円」ということは「1杯319円(税抜価格)」となることが分かる。調べたところ「2022年4月13日からドリップコーヒー(ショート)は税抜319円に」という読売新聞の記事も見つかった。
なお、スタバの公式サイトに税抜価格の記載はないが、「商品をまとめてお会計される場合、消費税の計算上、商品の組み合わせと数量により、税込お支払金額に1円単位の端数が発生することがございます」との注意書きはあった。
話を戻そう。税抜319円の商品に消費税10%分を足したら「350.9円」。つまり、ドリップコーヒーショートサイズの本来の税込価格は350.9円ということなのか?
そういえば、コンビニやスーパーでは税込価格に1円未満まで記載されていることがある。スタバに問い合わせてみると……
「ドリップコーヒーのショートサイズは税抜価格319円で、イートインの場合、税込価格は350円になります。他の商品との組み合わせで端数が発生してしまうこともございます」と、サイトに記載されている通りの説明。「350.9円」という答えは聞けなかった。
税理士の先生にあらためて話を聞くと……
「税込の総額表示価格に、1円未満の記載は求められてはいません。また1円未満の消費税を、切り捨て、切り上げ、四捨五入のどれを選択するかは、事業者が決めることになっています。以前は商品ごとに端数処理しても良かったのですが、今は一会計で税率ごとに合計して一度に処理する必要があります。
そのため税抜価格を会計の基準にしている場合、今回のような事象が生まれやすくなっています。消費者としては、1円未満まで表示されている方がわかりやすいかもしれませんね」
とのことだった。ちなみに700円でおさめるには、もし1商品ずつ(1杯ずつ)会計してもらえれば可能だという。それでは!
参考リンク:スターバックス「ドリップコーヒー」
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.