たこ焼きはイカではダメなのか? そんな素朴な疑問から始まった、私(佐藤)のたこ焼き検証は、多くの方にご覧頂き、さまざまな意見を頂いた。
その意見のなかに「こんにゃくがいいんじゃないのか?」というものがあった。たしかに食感はしっかりしているし、モノによっては、たこを超える歯ごたえのものもある。
仮にこんにゃくがアリしたら、それに近いモノは全部いける気がする。そこで! こんにゃく・ナタデココ・アロエ・グミをそれぞれたこ焼きにしてみることにした。どれかはたこを超えるたこ焼きになるんじゃないの?
・たこに代わる食材を探して……
前回の検証で読者の皆さんから頂いた具材の提案を、いくつか紹介しよう。
■たこに代わるたこ焼きの具材
エビ・カニ・うずらの卵・エリンギ・こんにゃく・ソーセージ・ベーコン・ホルモン・チーズ・スパム
……などなど。いろいろな食材を教えて頂いた。それらを全部ためしたいところなのだが、私が選んだのはこんにゃくだった。
というのも、たこ焼きの美味しさは「たこの食感」にある気がするからだ。たこに匹敵する食感を出せるのは、こんにゃくしかないのでは? そう考えて、再び検証することにした。
こんにゃくだけでは少々さみしいので、食感を楽しめるものとして、ナタデココ・アロエ・グミも一緒に購入して焼くことにした。余談だが、ナタデココを探すのは大変だった。近頃扱っているお店はほとんどないんだよなあ。
実は初回検証の段階で、ナタデココをたこ焼きにすると良いのでは? と考えていた。あのコリっとした食感は、たこをしのぐはず! きっと「ナタデココ焼き」として、露店に並ぶほどのポテンシャルを秘めているに違いない!
こんにゃくはダイスカットして、そのほかの品々はそのまま入れることにする。
生地を作ってたこ焼き器に流し込み、それぞれの具材を投入。普通のたこ焼きよりもグミがある分、カラフルに見えるのは気のせいか? はたして、この中からたこを超えるたこ焼きは生まれるのか!?
さて、ひっくり返している段階で、やたら甘いニオイがしてきた。カラメルソースを作ってる時の砂糖が焦げ付くようなニオイだ。これはナニが匂ってるんだ!?
あ! コレは!? グミが溶けて流れ出してる~~~!
浅はかだった! グミはアメと一緒で加熱したら溶ける。そんな単純な理屈に気づかずに、たこ焼きにぶち込んでしまった。ヘタこいた~!! とりあえず全部引き上げたけど、砂糖が溶けて貼り付いて取れなくなってしまったものも……。
たこ焼き器を掃除して再トライ! グミは断念して残った3つの具材で挑もう。
焼き上がったところでそれぞれカットしてみたところ……、実に無機質な見た目だ。色気がない……。
ワクワクしないたこ焼きだ。もしこれらがたこをしのぐ味だったとしても、祭りの露店で売られることはないだろう。
・ナタデココはアリかも?
食べ比べには、大阪出身の中澤星児にも参加してもらうことにした。なにしろたこ焼きの本場だから、的確な意見をもらえるはず。
3つを食べて彼はこう話す。
中澤「こんにゃくは味気ないですね。食感はまあまあいいけど、旨味がないからなあ。強めに下味をつけて焼いたら良さそうですね。アロエは熱でちょっとトロけた感じになって、歯ごたえが全然しないです。たこの代わりは無理でしょう」
中澤「ナタデココはかなりイイですね! たこと同じかそれ以上の噛み心地です。ただね、ちょっとだけ甘いんですよ。この甘さが微妙で、どうせならもっと甘い方がよかった。中途半端な甘さかなあ」
私も食べてみたが、たしかにナタデココはかなりいい線行っている。ナタデココは加熱すると固くなるので、焼き立てアツアツなら瞬間的にたこを超えるほどのコリコリ感だ。
だが、ほんのりとした甘さがクセもの。それがソースと合わないので、いっそのことチョコやクリームをかけた方が良いかも。
3種の食べ比べはここで終わったのだが、中澤は失敗したグミたこ焼きを食べるという。焦げてるよと伝えたけど、「強い甘さはアリなんじゃないかと」と言って、口に放り込んだ。
中澤「うわ、マズ! グミは甘いだけじゃなくて酸っぱいんすね。コレはたこ焼きとしてダメだわ」
ということで、やっぱりグミはたこ焼きに向いてないことがよくわかった。そして今回もたこの牙城を崩せず、たこ焼きにはたこを入れるべきという、普遍の真理にたどり着くことになった。
たこを超えるたこ焼きの具材は、本当にないのか? 私の旅は続く……。
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24