「立ち食い」といえば、そばである。「立ちそば放浪記」を読めば、お店の多さに改めて驚くはず。そばには劣るが、寿司や焼肉の立ち食い店も存在しており、創業当時の「いきなり! ステーキ」も立ち食いだったな。いまでは座りが主流だけど。
さて、今回紹介する「みこ食堂」は立ち食いスタイルの海鮮丼のお店だ。立ち食いで海鮮丼!? たしかにありそうでなかったかも。気になったので利用してみたら、丼のおいしさもさることながら、おかわり無料の汁もの「みこ汁」の美味さに驚いた。この汁のためだけにお店に行ってもいいくらいだ。
・立ち食い海鮮丼
みこ食堂は、東京・新橋を中心に店舗を展開する「みこグループ」のお店のひとつ。住所非公開の「みこ寿司本店」の味を、手軽に立ち食いで味わえるお店として、2022年より営業している。
みこグループの噂は以前からよく耳にしていた。とくに本店は予約困難である上に住所を明かしていないので、どこに存在するかさえもわからない。しかしながら味に定評があり、SNSで写真を見かけることも少なくない。いつか本店に行ってみたいけど、どうやって予約を取ったらいいのやら……。
幸い、食堂は予約しなくても利用できる。昼すぎにお店にたどり着くと、数人待ちの状況だった。20~30分は待つ覚悟で最後尾に並んだところ、10分程度であっさり入店できた。
券売機を見ると、海鮮サラダ丼が最安値の税込800円。海鮮丼・中落ち丼・サーモン丼の3種がそれに続く税込1000円だった。
そのほかは具材によって値段が異なる。最高値は「ウニ箱手巻き寿司」(税込8800円)。1番人気は「日替わりみこ丼」(並:税込1900円)とのことだったので、みこ丼の大(税込2800円)の食券を購入した。
店内は立ち食いカウンターのみ。カウンターには衝立(ついたて)があって、隣が見えづらくなっている。一蘭の味集中カウンターのような造りである。
お茶と汁物はセルフサービスでおかわり自由。酢飯もおかわり無料である。海鮮丼のお店でご飯のおかわり無料って珍しいよね。あまり聞いたことがないな。
しばらくして……来た! 丼からネタがスダレみたいにはみ出している!!
ホタテ・マグロ・サーモン・イカ・いくら・ウニが酢飯の上に乗っかって、ご飯が見えない。ネタの色艶が良いので、鮮度が高そうだ。
ところで……、この種の丼を食べる時にいつも迷ってしまうのだが、ネタを先に食ってしまうべきか、それともご飯と一緒に食べるべきか?
ネタだけ食うか? ご飯と食うか? なんて考えていたら、他の席のお客さんの「酢飯おかわり」コールが聞こえた。ほかのお客さんは丼を全部平らげてから、ご飯を頼んでいるのか? それとも、ネタを残しておいておかわり酢飯に後乗せしているのか? 衝立があるから、どうしているかわからない……。
その謎の答えは、汁物「海苔の吸い物」にあった。これが驚くほど美味い! 上品な海苔の出汁がきいていて、これだけでご飯が食える。
お店でも「(酢飯に)みこ汁をかけても美味しいです」と食べ方を指南している。どうやら、多くのお客さんがみこ汁茶漬けを楽しんでいるようだ。実際この汁のためだけにお店に来てもいいかな? とさえ思えるほど絶品。
上品かつ繊細な海苔の出汁は、あらゆる魚介の美味しさよりも勝っている。「五臓六腑に染みわたる」、この表現が大げさとは思えないほど、旨味に心癒されるのだ。それがおかわり自由! いいのか? 本当に自由で? 自分史上最高に美味いおかわり自由の汁といって差し支えない。
800円の丼を頼んで、酢飯とみこ汁を堪能するのが、このお店の最適解かもしれないな。
ということで、みこ食堂を訪ねるなら初回は800円か1000円の丼にして酢飯とみこ汁のマリアージュを楽しんでほしい。さらに “上” を目指すなら、2回目以降に高価格丼にチャレンジすべし!
・今回訪問した店舗の情報
店名 みこ食堂
住所 東京都港区東新橋2-5-11メトロ沖山ビル1階
時間 11:00~15:30 18:00~21:30
定休日 なし
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
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