アイドルやアニメ、配信者、芸人、スポーツ選手など、誰かを応援する「推し活」が一般化されて久しい。もはや誰もに「推し」という存在がいると言っても過言ではなかろう。
「推し」がいる人たちは忙しい。というか、推し活は忙しい。イベントのチケット申し込みに、限定グッズの発売、テレビ出演などなど……。
そんな推し活に特化した手帳『推し活ライフ手帳』なるものがあるのだが……これが想像以上のヤバさだった。推し事に関することならすべてを記録できるといっても過言ではない……というか、書いているうちにズブズブと沼にハマっていくような代物であったのだ。
・『推し活ライフ手帳』(1540円)
この手帳のコンセプトは「推しとの思い出を楽しくキロクする」というもの。ザッと記録できるものを挙げると……
・ 月間&年間の推し活まとめ
・感想が書けるフリーログ
・イベントレポート
・推しのプロフィール
・推し活 / 推しの年表
・推しに捧げる貯金&課金リスト
・チケットの申込み、購入管理リスト
・譲渡・交換の取引記録
・推し活で使える店、場所、宿のメモ
・贈り物・戴き物の記録
ぶっちゃけ自分のスケジュールを書く欄はめっちゃ少ない。手帳のページの3/4以上が推し活関係なのだ。
そこにあるのは生活のほぼすべてを推し活に捧げた人間の姿と言っても過言ではなかったのだ。いろんなテーマ特化型手帳を見てきたけれど、ここまで細かいものはあっただろうか?
・中身紹介
せっかくの推し活手帳である。私は競馬ファンなので応援している馬の情報などを自分も実際に記入しながら紹介したい。
まず最初に出てくるのが「2024年の推し活抱負」。
普通なら自分の目標を書くところだが、推し活で叶えたい目標などを書くのだ。
そして次に出てくるのが「推しのプロフィール記入欄」。自分ではなく、推しのプロフィールである。ちなみに推し3人分まで記入できる。
誕生日とか好きになったキッカケとか改めて書くとけっこう楽しい。この作業によって「推しへの愛」が深まる感じがする……。書くというのは己に刻みつける行為でもある。
さらに「推しの年表、推し活年表」なる、推しと自分の歴史を振り返るページもある。
交わるはずのない推しと自分の人生が年表の上で交錯し、ドラマが紡がれていく……。なんともはや。推しがあのとき輝いていたから救われた……みたいな瞬間って確実にあるよね。
・推し活仕様の月間ページ
ちなみにスケジュールページは基本的に月間カレンダーのみ。
この分厚い手帳の中で、推し活じゃない自分の予定を書けるのはほぼココだけ! い、潔すぎだろ。
そして次のページには「今月の推し活ログ」 のページがあるのだが、これが圧巻。
「今月の推しへの一言」に始まり……
メディア出演やブログのスケジュールをまとめる欄、さらにベストシーンを記録する欄。
推し活用のチェックリスト、メモ欄もある。
今月の推し活の概要をすべて、まとめておけるのである……。
・チケット、推し活貯金、交換・譲渡の記録…
スケジュールページが終わっても、まだ半分近く手帳のページが残っている。まだまだ推し活の記録は続くのだ。
一番ビックリしたのが「推しに捧げる貯金&課金リスト」である。
悲しいかな、推し活はお金がかかるもの……。ここで財政破綻しては意味がない。そこで計画的にお金を貯めて使うための欄が用意されているのだ。おそろしや。
さらにさらに、一番管理が難しいチケットの申し込み・購入管理リスト!
開催日時、申し込み先、受付期間、金額、結果発表日、入金締め切り、受け取り方法などがまとめられるのだ……。
ぶっちゃけ、チケット申し込みが一番ごちゃごちゃする上に、入金や申込みでミスがあると泣きたくなるので、この取りまとめはありがたい。
ライブや観劇で遠征する人のための「推し活で使えるお店・場所・宿」のリストまで……。
たしかに安い宿とか、ごはん屋さんとか、朝から開いてる店をメモっておくと便利である。
そして現代的だなと思ったのが「交換・譲渡の取引キロク」。
たしかにガチャで推し以外のグッズが当たったときに、メルカリなどで推しのグッズと交換取引をする機会は多くなるわけで……。まさかここまでカバーしてくると思わなかったのでビックリした。
・最も熱いのは思い出の記録ページ
さて、推し活の時間からお金までスケジュールが完璧に管理できるのはもちろんだが、実は一番多いのが思い出の記録ページなのである。
メディア出演や発表された楽曲などの感想を書く「レビュー/フリーログ」が66回分。
さらに、ライブや観劇、観戦といったビッグイベントの記録を書く「イベントレポート」が28公演分。
その日の天気や会場、チケット番号にその日の推しの衣装、印象的だったシーン、熱い気持ちをしたためる広めのフリースペース。ついでにその日に買った購入品を記録するコーナーまである。
推しの活躍を見た時に感じた強い思い、感動、それをすべて記録できるという恐ろしい仕様である。日々いろんなことがあるので、どんなに感動したって忘れてしまう。
自分も実際に書いてみて気づいたが、書く欄がたくさんあるので、名シーンなどをプリントアウトして貼り付けるたびにレースの興奮や感動が蘇ってきて、思い出の反芻になる。
最初の方にも書いたが、書くことは刻むことである。書けば書くほど推しへの愛が深まり、また、推しの活躍を再確認することで自分も頑張ろうと思えるのである。
・隅から隅までいたれりつくせり
この他にも会員番号やパスワードを管理できる「ファンクラブリスト」
「贈り物・頂き物、ファンレターの記録」などがある。
また、特設ページで推し色カバー10色がプリントアウトできたり、推し活専用のステッカーがついていたりして、まさに至れり尽くせり。
この手帳を作った人自身が熱心に推し活をする人で「こんなページがほしい」と思ったものをそのまま製品にしたのではなかろうか。
推しこそが生活の中心……という人はもちろん、趣味の記録をとりたい人にとっても便利な一冊だと思う。推し活が一般化した2020年代ならではの手帳という気がする。
しかし、手帳に推しのことを書いているうちに愛があふれて、さらなる沼にハマっていく可能性もある。なかなか業の深い手帳でもあるのでお気をつけて。