学生の頃にカップ麺を食っていたら、こんな友達がいたはずだ。「汁だけちょうだい、ひと口!」。自分で買えよと思いながらも、そう言いたくなる気持ちもよくわかった。汁だけ飲みたいときってあるよね。とくに冬の寒い日なんか、あったかい汁を飲むと、心も身体も癒される。
そんな汁好きを満足させる商品が発売されていた! あみ印食品興業株式会社のラーメンから麺を抜いた「NOMEN(ノーメン)」はまさしく汁好きを満足させる逸品だ。なぜ、コレを作ったのか? 問い合わせて開発の背景を尋ねたら、納得しかなかった!!
・麺抜きのラーメンスープ
この商品は2023年11月30日から「なんでも酒やカクヤス」の関東地区の店舗とECサイトで販売が始まっている。同社はX(旧Twitter)にこう投稿している。
「「ラーメンを食べたい…でもカロリーオーバーはしたくない…胃もたれも気になる」という方にぴったりの商品」
#新発売 🚀 麺を抜いた「飲むラーメンスープ」
その名も…「#NOMENラーメンメンヌキスープダケ」が登場しました🍜✨
「ラーメンを食べたい…でもカロリーオーバーはしたくない…胃もたれも気になる」という方にぴったりの商品🎉
あみ印渾身の贅沢なラーメンスープをぜひお楽しみください! pic.twitter.com/5bIgskY2Nk
— あみ印食品工業株式会社【公式】 (@amibrand1952) November 29, 2023
この商品のカロリーは24~42kcalで、一般的なカップ麺の10分の1程度しかない。それで本当にラーメンを食べたような満足を得られるのだろうか? 気になったので、最寄のカクヤスを訪ねて商品を購入した。
ラインナップは「あごだし醤油」「博多とんこつ」「地鶏風しお」の3種類。いずれも税込162円である。
横を見ると、お湯を注ぐ目安が記されていて、赤い線は「お湯はここまで」。黒い線は「のんべえライン」とある。のんべえ? のんべえと何か関係があるのか?
実はこの「のんべえライン」がこの商品誕生と深く結びついている。詳しくは後ほどお伝えしよう。
フタを開けると、麺抜きだから液体スープが入っているだけ。なんか寂しい……。
それぞれのスープをカップにあけてお湯を注ぐ。
アツアツのお湯をカップにジャ~っと注ぎ入れて完成です。麺がないから待たなくてもOK!
ただのカップスープと侮るなかれ。3種類、どれも唸るほど美味しい。
あみ印食品工業株式会社は昭和27年創業の老舗スープメーカーだ。業務用・家庭用ともに数々のロングセラーを生み出してきた企業が、培ったノウハウと技術を駆使して、作ったのがこのスープである。しかも今回の3種は、数あるヒット商品のなかでも、とくに好評のものを厳選して商品化している。
あらゆるムダを排し、麺さえ抜き去った洗練されたスープ。美味いに決まっている。
あごだし醤油は魚介の旨味がギュッと詰まっている。とんこつは本場の博多ラーメンを感じさせる味わい、ほのかに香るごま油がイイ。そして地鶏風しおは、濃厚な鶏の風味がありつつも後味サッパリ。どれも麺がなくてもイケる! 市販のカップスープとは一線を画す美味さと満足感がある。
コレコレ! 「汁、ひと口ちょうだい」の気持ちになるカップ麺のスープは、コレなんだよ。
・飲んだあとのシメに
端に「ラーメンのスープ」としてではなく、あえて「麺抜き」と謳って販売したところが絶妙だ。
どういう経緯でこの商品を企画したのだろうか? 同社に問い合わせて、広報担当者に尋ねたところ、面白いお話を聞くことができた。
佐藤「これはどういう感じで商品化のお話が始まったんですか?
担当者「社長の思いつきなんですよ」
佐藤「社長自ら! どんな思いつきだったんですか?」
担当者「お酒を飲んだあとに、ラーメン食べたくなりますよね?」
佐藤「なりますなります! なぜか食いたくなりますね」
担当者「でも、そこそこの年齢になると、あまり食べられないから、そこまで量が欲しくないですよね?」
佐藤「ないですないです! ギリギリで食い切るなんてことがありますもん」
担当者「それでも、シメに何か欲しいでしょ?」
佐藤「欲しい欲しい! なんかこう、収まりが悪いですもん」
担当者「だから、麺抜こうってなったんですよ。味だけラーメンを楽しむ麺抜きスープになりました」
佐藤「お! その思いつきはすごいですね。シンプルだけど納得です」
担当者「それで何度かリサーチを重ねて、お酒を飲んだあとにノーメンを試食していただいたところ、とても満足度が高かったんですね」
佐藤「自分も飲みましたけど、美味しさに満足しました」
担当者「ラーメンスープなので、市販のみそ汁やスープより味が濃いんですよ。だから、1杯の満足感は高いかと思います」
佐藤「自分は昼食と合わせましたけど、それでも満足しました」
担当者「そういうご意見も頂いております。とくに女性から一汁一菜としてランチのお供に利用して頂いたりしています」
佐藤「おにぎりとノーメンでも、満足感の高いランチになりそうですね」
担当者「将来的には、コンビニなどでも販売できたらと考えております」
ということで、「飲んだ後にラーメン食いたい! でも、麺はなくていい」、それが商品企画の始まりだった。わかる~! その気持ち、世代的によくわかる。量はなくても味だけ欲しい。そのワガママを形にしたわけだ。
ちなみに前述の「のんべえライン」は、飲んだ後に濃い味を欲する人のために、お湯少なめの目安として記している。酒飲みの気持ちをよく捉えている。162円で本格的なスープを楽しめるのでオススメ、老舗の凄さを感じる味だぞ。
なお、関東以外の方はカクヤスECサイトで購入していただきたい。
参考リンク:あみ印食品工業株式会社、カクヤス
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
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