ロケットニュース24

埼玉の山でラジオつけたら、普通に「北朝鮮による日本語放送」が流れててビビった【100万円の古民家】第27話

2023年11月27日

そこまでラジオに詳しくない私。でも、電波にはいろんな種類があることは知っている。AM、FM、そして短波(SW)など。


詳しくは後述するが、埼玉奥地の山の中で、短波放送も受信できるラジオを使い様々な番組を聴いていたところ──


「敬愛する金正恩総書記は〜」
「不屈の革命信念と意志を〜」
「敬愛する金正恩同志が〜」
「11月23日、初の偵察衛星の打ち上げを〜」


──!!?????


そう、北朝鮮による日本語放送が流れてきてビックリ仰天したのである。


北朝鮮の放送が存在することは知っていたが、まさか日本語バージョンもあったとは……!


・AM、FM、短波の違い

最初に、それぞれの電波について超簡単に説明しておこう。


まずはAM放送(中波)。周波数は526.5〜1606.5kHzで、広い範囲に電波が届くのが特徴。


続いてはFM放送(超短波)。周波数は76.1〜94.9MHzで、電波が届くのは中程度の範囲(数10km〜100km程度)。


そして、あまり馴染みのない「短波放送」。周波数は3~30MHzの短波帯で、電波が届く距離は極めて広く、海外の放送も受信可能。


総務省のページによれば「地表との反射を繰り返しながら地球の裏側まで伝わっていくことができます」とのこと。


・短波ラジオにハマる

そんな未知なる電波「短波」に対応した格安ラジオ(1479円)を埼玉の山の奥地で使っていたところ、中国語・広東語・韓国語(朝鮮語)・ロシア語等で話されている番組が入りまくって驚いたことがあった。


詳しくは過去記事「埼玉の山の奥地で作業中、熊よけのためにラジオを流していたら「外国語の謎の番組」が入りまくり…」をご覧になってほしいが、この経験をきっかけに私の中での “短波熱” が急上昇。


さっそく専門書『ラジオ受信バイブル2023(三才ブックス)』を購入し熟読。ひとくちにラジオといっても、めちゃくちゃ種類があることを知る。


そして、同書の中で “弱点が見当たりません” とイチオシされていたワールドバンドラジオ『アイワAR-MD20』をAmazonで9790円にて購入

ラジオなのに「気温」が表示されたりするのもスゴイけど、なんといっても「簡単選局機能」がラジオ初心者である私にとっては魅力だった。


ダイヤルをミリ単位で小刻みに回してチューニング……などをしなくても、ボタンひとつで自動的に「受信できる局」を探してくれるのだ。



・とりあえず東京で試してみた

で、そんなアイワの『AR-MD20』を東京の自宅で試してみたところ、簡単選局機能でキャッチできた局(番組)は以下の通り。


【FM】 → 8局
79.50MHz(FM NACK5)
80.00MHz(Tokyo FM)
81.30MHz(J-WAVE)
82.50MHz(NHK-FM)
84.70MHz(FMヨコハマ)
90.50MHz(TBSラジオ)
91.60MHz(文化放送)
93.00MHz(ニッポン放送)


【AM】 → 7局
594kHz(NHK第1)
693kHz(NHK第2)
810kHz(AFN)
954kHz(TBSラジオ)
1134kHz(文化放送)
1242kHz(ニッポン放送)
1422kHz(ラジオ日本)


【SW(短波)】 → 2局
2485kHz
13655kHz


短波の放送は時間や季節によって周波数が変わるらしいので、あえて局名は書かないことにしておくが、東京における『AR-MD20』は短波よりもAM、FMの受信が完璧といった具合。


先述の『ラジオ受信バイブル2023(三才ブックス)』に書いてある通りの性能だった。さすがは歴史あるラジオ専門書・ラジオライフの別冊だ。



・そして埼玉奥地の山の中で……

ただ、私が気になるのは短波ラジオ。海外から発せられている見えない電波を受信したいのだ。音で世界を感じたいのだ。


ということで、通称ロケット荘こと「100万円の古民家」のある埼玉奥地の山の中で、アイワ『AR-MD20』の「簡単選局機能」を試してみたところ……


(注)「※」は東京では受信できなかった局

【FM】 → 11局
79.50MHz(FM NACK5)
80.00MHz(Tokyo FM)
※80.70MHz(FM AICHI)
81.30MHz(J-WAVE)
82.50MHz(NHK-FM)
84.70MHz(FMヨコハマ)
※85.10MHz(FM大阪)
90.50MHz(TBSラジオ)
91.60MHz(文化放送)
93.00MHz(ニッポン放送)
※99.20MHz(遼寧PBS ※中国)


【AM】 → 24局
※567kHz(NHK札幌放送局 第1)
594kHz(NHK第1)
※639kHz(NHK静岡放送局 第1)
693kHz(NHK第2)
※747kHz(NHK札幌放送局 第2)
※774kHz(NHK秋田放送局 第2)
※792kHz(韓国SBS ※韓国)

810kHz(AFN)
※837kHz(NHK新潟放送局 第1)
※846kHz(NHK郡山放送局 第1)
※891kHz(KBS釜山第一ラジオ ※韓国)
※918kHz(山口放送KRY 下関局)

954kHz(TBSラジオ)
※1089kHz(NHK仙台放送局 第2)
1134kHz(文化放送)
1242kHz(ニッポン放送)
※1260kHz(東北放送TBC)
※1287kHz(北海道放送HBC)
※1332kHz(東海ラジオ放送)
※1386kHz(NHK金沢放送局 第2)

1422kHz(ラジオ日本)
※1431kHz(山陰放送BSS 鳥取局)
※1440kHz(STVラジオ ※北海道)
※1503kHz(NHK秋田放送局 第1)


【SW(短波)】 → 28局
※4885kHz
※6015kHz
※6055kHz
※6100kHz
※6115kHz
※7380kHz
※7580kHz
※9255kHz
※9560kHz
※9620kHz
※9650kHz
※11610kHz
※11660kHz
※11680kHz
※11760kHz
※11815kHz
※13610kHz
※15145kHz
※15160kHz
※15280kHz
※15375kHz
※15760kHz
※15800kHz
※17565kHz
※17625kHz
※17740kHz
※17750kHz
※18900kHz


──さすがは山間。圧倒的な受信力だ。



日本の番組はもちろん、さまざまな国の言葉が流れてくる。中国語をはじめ、韓国語(朝鮮語)、英語、ロシア語、よくわからない国の言葉……。


──と、その中に、なにやら内容に違和感のある日本語の番組があった。それこそが周波数「7580kHz」なのだが、どんな内容だったのかを少しだけ書き起こすと……


「敬愛する金正恩総書記は、偵察衛星打ち上げの成功によって、我が共和国の戦争抑止力を画期的に向上させ、党大会の決定を最も正確に、立派に貫徹した国家航空宇宙技術当局の科学者・技術者がいっそう発奮して、党が示した航空宇宙偵察能力づくりの当面の目標と展望目標に向けて勢いよく邁進していくものと確信し、記念写真を撮りました」。


──北朝鮮! ついこの間、「衛星の打ち上げを目的に弾道ミサイル技術を使って発射したものが、日本の上空を通過」で大騒ぎになったやつじゃんコレ!


北朝鮮が短波を使って暗号やら何らかの放送をしているという噂は昔から耳にしていたが、まさか北朝鮮の立場で「日本語」を使い、ここまで堂々と北朝鮮のニュース放送しているとは知らなかった……。


・平壌からの放送

ちなみに後に調べてみたところ、周波数「7580kHz」は『朝鮮の声放送』というらしく、まさに北朝鮮の首都・平壌から放送されている番組らしい。


Wikipediaによると


「日本語・標準中国語・英語・フランス語・ドイツ語・ロシア語・スペイン語・アラビア語の8つの言語を用いて、ラジオ(短波、中波(AMラジオ))とインターネットで海外に向け放送されている。」


とのことである。



・空はつながっている

“音で世界を感じたい” と思って短波ラジオをつけたら、まったく価値観の異なる隣国からのニュースが日本語で流れてきた。


北朝鮮の「声」は埼玉奥地の山の中に届いていたし、「弾道ミサイル技術を使って北朝鮮から発射されたもの」は日本の上空を通過した。


陸続きではない、海に囲まれた島国の日本だけれど、文字通り、空に「海外」は無いのかも……と思った。


この広い大空は、世界各国と繋がっている。


届いてしまうのだ、いとも簡単に、いろいろと。


【つづく】


▼100万円の古民家


参考リンク:aiwaNHKWikipediaAmazon総務省外務省おばけかいじゅうのホームページ三才ブックス
執筆:GO羽鳥
Photo:RocketNews24
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]

▼どんな放送だったのかは動画でお聞きください(ショート版)

▼アイワ『AR-MD20』の簡単選局機能を東京と埼玉で試したフル動画

[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]

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