壊れてはじめて、その大事さがわかるモノってあるよね。スマホやパソコン、車なんかもそうではあるけど、もっともっと身近で壊れると困るものがある。それは「ファスナー」だ! 誰しも経験があるはず。ズボンのファスナーが壊れて、トイレでうろたえたことが! カバンのファスナーが壊れて、口が閉じずにテンパったことが!
私(佐藤)の場合は、入店した飲食店で革ジャンのものが壊れて、オーダーもせずに10分以上、ジャンパーと格闘していた……。そんな困りもののファスナーを自力で交換してみた!
・ファスナーが壊れて……
前置きとして、私の革ジャン事情を伝えさせて頂きたい。私が以前から着ていたお気に入りの革ジャンは、2014年頃に韓国で購入したものである。大したメンテナンスをすることもなく、かれこれ9年も愛着していたのだが、もう限界に来ていた。
袖と腰の部分の一部が破れ、このまま放置すると、さらに裂け目が拡大する恐れがあったので、10月頃に修理に出したのである。
オフシーズンに出しておけばよかったのに、寒くなり始めた頃に慌てて持って行ったから、お店も立て込んでいて修理上がりが3カ月後。つまり2024年1月まで帰ってこないのである。
仕方がないので、古着で間に合わせようってことで、下北沢で手頃な一着を購入。染色して自分好みにアレンジしようと思い、あえて色褪せた牛革のものを買ってきた。購入価格は税込7800円、良い買い物をしたと思っている。
黒に染めてやろうかなと思ったけど、カーキ色の “褪せ感” が気に入ったので、しばらくこのまま着ることにした。
日常使いを始めたところ、安物なりの問題発生! それがファスナーの不具合である。先日訪ねた飲食店で、ファスナーが言うことをきかなくなり、脱ぐに脱げず、10分以上もファスナーと格闘するハメになった。
そもそもこのダブルファスナー、あとから付け替えたらしく、上下のスライダーの種類が違う。せめて近いもので合わせればいいのに、全然違うじゃないの。
どうやら下側のスライダーが劣化してガバガバになってしまっており、「エレメント」と呼ばれる歯(務歯)を噛んでしまうようだ。
直してもらうために、洋服直しのお店に持っていって交換できるかと尋ねたら、ファスナー部分の全交換で1万円かかるという。しかも修理に1カ月もかかってしまう。
1カ月か~……。それなら自力で直してみよう。そもそも染めるつもりで買ったんだから、いろいろ試してみるか! ってことで、自分でファスナー修理のチャレンジを決意したのである。
・オカダヤで調達
やって来たのは、衣装やメイク・手芸用品を専門的に扱う「オカダヤ」の新宿本店服飾館だ。ここに来れば、手芸関連商品は何でも揃う。
6階のフロアに行くと……あるある! ファスナーがものすごい数あるぞ。種類もハンパない。スライダーも多種多様で、どれを選んで良いのか迷ってしまう。
元から付いているスライダーに「5」の刻印があったので、「5号」のものを購入した。スライダーが税込110円。それに上止め(うえどめ)が2個1セットで税込11円である。
ファスナー全交換だと1万円だったはずが、パーツだけの121円で済んだ! ……けど、本当に直せるかどうかは、自分の頑張り次第。そもそも上手くいくかどうかさえもわからない。
・まずは外すところから
挑戦開始! まずは元のスライダーを外したいので、プライヤーとラジオペンチを用意。これでファスナー上部の上止めを外す。
上止めとはコレ。スライダーが抜けないための金具だ。
苦戦するのでは? と思いきや、ペンチでグッと引っ張ったら、あっさり抜けた!
そして1つ目のスライダーを1番上に持って行くと……。
服を噛みこんでしまうので、思いっきり引っこ抜く。ヨッシ! 抜けた。
2つ目のスライダーも同じように上へ。こいつはガバガバになってるので、あっさり取れそう。
ほい! 2個とも取れました。
・スライダーをねじ込む
ここからが本番、買ってきたスライダーをねじ込まなくてはならない。その作業がとても難しいのである。だが、ここまで来て、後には退けない。やるなら今しかねえ!
指がつりそうになりながら、格闘すること約15分。ついにその時が来た! やった入った!!
が! これ上下が逆だった。口の広い方を上向きにしないと、下開きのファスナーになってしまうのである。間違えた~!
とりあえず一旦下まで下ろしてみよう。
ってことで、無理くり1番下まで下げたら下の金具(下止め)が取れてしまった……。どんどんダメな方向に向かって進んでいる気がする。やめておいた方がよかったのか……。
しかしながら挫けることなく、今一度スライダーを外して、上下を正しい方向に戻して再度チャレンジ。今度は上手く入った。これで大丈夫なはず。
そして下まで下ろして、裾を合わせてゆっくりとスライダーを上げると……、キタッ!!
やったぜ、これでファスナー閉まる! そしてちゃんと外せるぞ!! もう脱げなくなる心配はない。
だが、素人のやることである。1番下の方のエレメントは上手く噛み合ってない。それでも当分は着ていられるはずである。ということで、今年の冬はこの革ジャンで乗り越えようと思う。
今回の挑戦で、普段何気なく着ている服にも、メーカーの高い技術がいかされていると実感した。チャレンジして初めて気づくってことあるよね。これからも、いろいろ試すことで見えてくる景色を楽しみたいと思う。
・今回訪問した店舗の情報
店名 オカダヤ 新宿本店服飾館
住所 東京都新宿区新宿3-23-17
時間 11:00~20:30
定休日 不定休
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24