ここ1年ほど、密かに「卵かけ麺」が流行の兆しを見せていたことはご存じだろうか? 一部のラーメン店で裏メニュー的に提供されてきた「卵かけ麺」は、その名の通り「卵かけご飯」の麺バージョンと考えればいいだろう。

2023年10月、そんな卵かけ麺の専門店がついに東京にオープンした。つけ麺・まぜそば・インスパイア系……などなど、流行の変化が激しいラーメン業界だが「卵かけ麵」は新たなムーブメントを起こせるのか? さっそく食べて来たのでご報告したい。

・TKMブーム到来か?

卵かけ麺とは、卵かけご飯と同じく非常にシンプルな料理である。「麺・卵・かえし(タレ)」が基本形で、店によって温かい麺の場合もあれば、冷たい麺の場合もあるんだとか。形としては「まぜそば」に近い料理と考えていいハズだ。

卵かけご飯も十分おいしいため「卵かけ麵」も外す可能性は高くあるまい。そのウマさによっては近い将来「TKG」ならぬ「TKMブーム」が起きる……かもしれない。

さて、その卵かけ麺の専門店としてオープンしたのは、神保町の「麵屋 二二一(ふじい)」である。お店の場所は地下鉄神保町駅から徒歩1分ほどと、アクセスはこの上なく良好だ。

注文したのは「特製卵かけ麺 豚」でお値段は1200円。麺は同一料金で小・中・大が選べ、〆用の小ライスが付いてくる。特製でない卵かけ麵は950円であった。

カウンターだけの洒落た店内で、待つこと数分……お目当ての「卵かけ麺」がやって来た。まずは「よく混ぜてお召し上がりください」とのことで、後から薬味で味変するのがオススメのようだ。

・はじめてのTKM

で、まずは混ぜに混ぜた卵かけ麺をすすってみると……ほう、ウマいね。想像よりも かえしの味がキツくなく、しっかりと卵が主役になっていたところは好印象。あたり前かもしれないが、卵かけご飯の風味とかなり近い。

ちなみに「二二一」では冷たい麺が採用されており、麺そのもののウマさがダイレクトに伝わってくる。この上なくシンプルな料理なので「麺・卵・かえし」の全てが高い水準でないと、なかなか難しい料理ではなかろうか。

で、後半からは「玉ねぎ」や「わさび」「レモン」で味変してTKMを楽しんで行く。中でもオススメはわさびで、ツンとした風味とTKMの相性は抜群だ。またバーナーで炙られたチャーシューもウマかった。

そして麺を食べ切ったら小ライスを放り込み「卵かけご飯」が完成。TKMに始まりTKGで終わる──。私自身、初めての卵かけ麺であったがTKMからTKGの流れは隙が無く「すでに料理としては完成されている」と感じた次第だ。

・パンチ力の無さゆえ

とはいえ、卵かけ麵自体は非常にシンプルな味わいで「こってり」と「あっさり」なら確実にあっさり寄りの料理である。パンチ力はほぼ無いので、インパクトには欠けるかもしれない。パンチを求めて具がゴテゴテすると、それこそ単なる「まぜめん」になってしまう。

一方で、例えば飲んだ後の〆としては最高なメニューではないだろうか? ズバリ、卵かけ麵はガツンと食べたい昼よりも夜向きのメニューなので、勝機は夜にあると見た。夜だけでもTKMを出してくれる店が増えるといいなぁ。

とにもかくにも、卵かけ麵自体はかなり完成度が高い料理なので、興味がある方はぜひ1度召し上がってみていただきたい。今回は中盛りを頼んだが、昼なら大盛りでも余裕! 〆の卵かけご飯も抜群にウマいぞ。

・今回ご紹介した飲食店の詳細データ

店名 麺屋 二二一 (ふじい)
住所 東京都千代田区神田神保町2-2-38
時間 11:00~

執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.
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