夜、煌々とした灯がともる上野。昼間の喧騒とはひと味違う怪しさが降り立ち、街は表情を変える。とは言え、こんな場所があったとは。
不忍池前の上野4丁目交差点から斜めに伸びる仲町通りに入ると、道の両サイドに水商売の人達がズラーッと立っていた。ほぼ来ない地点だから知らなかったけどある意味壮観な光景である。では、なぜ私(中澤)は今ここを歩いているのか。それはこの奥にある個室サウナに行くためである。
・ビルとビルの隙間に
こういう立地だとは思ってなかったが、まあ上野だしな。それくらいの感じで歩いているとビルとビルの隙間にエレベーターの扉があった。エレベーターの案内板を見ると、どうやら1階は入口のみで受付は3階にある様子。細長いビルの3階から9階までがサウナになっていた。
個室サウナと知ってなければ入ることはおろか、エレベーターの案内板すら一生見なかったに違いない。私がここまで何も知らない理由は人に誘われて来たからだ。地方住みのサウナー友達が、東京に来るついでということで誘ってくれたのである。
・入ってみると
個室サウナに行くキッカケもあまりない私は2つ返事でOKした。ゆえに、住所以外マジで何も知らない。8階にあるリラックススペースでまずは誘ってくれたサウナー友達と合流。3階で受付を済ませると価格は2名1室80分で税込8400円だった。
つまり、1人4200円。ピカピカの都会的な個室サウナのわりに安い。こういう高級感のある個室サウナって2時間で2万円とかするのが普通のイメージだった。
部屋は細長い間取り。入口入ってすぐに洗面所があり、通路の中頃にととのい椅子2脚と机が置かれたスペースがある。で、ととのいコーナーの前にサウナ室とシャワールームが向かいあって設置されていた。もちろん、シャワールームには水風呂。サウナ室、水風呂、ととのい椅子がギュッとまとめられている。
・外気浴的にどうなのか
ただ、気になるのはととのいコーナーが部屋の真ん中であること。窓とかもないし、ここで本当にととのえるのだろうか。まあ、そうは言っても金はすでに払っているので入るけど。
サウナ室は2人でいっぱいという広さだが、温度もちゃんと100度くらいあって十分だ。水風呂は16~8度くらいと温度的にはきっちり詰められている感じがする。次は問題の外気浴だが……
バキバキにキマッた。
部屋の中とは思えない。まるで草原にいるように風を感じる。換気システムがそれだけしっかりしているのかもしれない。こうなってくると、サウナ室、水風呂、ととのい椅子がまとまってるのは強い。ほぼ直結でととのい椅子までいけるのだ。
一応、ととのいコーナーにはテレビがあり、画面がサウナ室からも見えるようにはなっていたが、ととのいすぎてテレビを点ける気が起きなかった。スマホすら見ずに、世俗から切り離された気分で80分を過ごすことができた。ここが1人4200円はガチで熱い。サウナだけに。
・え?
自然と、サウナを出た後の夕飯の席でも「めちゃ良かったね」という感想に。と、その時、彼からこんな言葉が飛び出したのである。「まあ、全国1位らしいからね」と。え?
そこで調べてみたところ、『ニフティ温泉サウナランキング2023』の個室サウナランキングTOP10の1位にその名があった。全国1位こっそりしすぎだろォォォオオオ!
とは言え、実力に関しては、むしろ納得の方が大きかったと言える。そんなサウナの名は『RED゜E-SAUNA UENO』。どうやら、テクノロジーとの融合が特徴の1つのようで、ととのうを数値化する「TOTONOU BAND」とか、壁全体にプロジェクターを投影できるコーナーとかもあるらしい。
それらは1つも味わってないにもかかわらず、全国1位という情報に対し納得できたことは、ストイックなサウナ好きにとっても朗報ではないかと思う。
・都会に点在する秘密の世界
それにしても、こんな場所にこんなサウナがあったとは。周りの街の雰囲気も相まって、返す返すも知らなければ絶対に訪れないスポットである。
その性質上、歩いているだけでは目に留まることがない個室サウナ。それはまるで都市に点在する秘密のセーブポイントのようだ。隠れた世界の1つを垣間見た気分に浸りつつ、その夜はぐっすり眠ることができたのであった。
参考リンク:RED゜E-SAUNA UENO、ニフティ温泉サウナランキング2023
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.