ロケットニュース24

【狂いと死】ケニアの呪術師について / カンバ通信:第326回

2023年9月18日

ジャンボ! リクエストボックスに「ケニアの呪術師」についての質問が届いていたので簡単に答えようと思う。


ケニアには42の部族がいて、それぞれの部族が独自の呪術を持っているのだが、その中でも非常に危険な呪術を持っている部族がある。


これら呪術は非常に危険で、人々に「牛のように大地の草を食べさせる」ことも可能だし、「ヤギのように葉っぱを食べさせる」ことも可能。


つまり、「呪術にかかっている=気が狂っている」という状態になる。


そして、その「気が狂っている状態」をどうするのかは、それぞれの部族によって異なるということだ。


たとえばオレが属する部族「カンバ(カンバ族)」では……


・カンバ族の呪術

とある人が狂っている(呪術にかかっている)ことに周りの人が気づき始めると、みんなでひそかに、狂ってしまった人のためのカンパが始まる。


目標金額が集まると、皆はまず、こっそりと呪術師に相談しに行く。どうか狂った状態を治して欲しいと。


金額などの合意が得られれば作戦開始。狂ってしまった人には何も知らせず、秘密裏に治療のための準備が整えられていく。


すべてのセッティングが整った、とある日の早朝。


大急ぎで呪術師に「今日、行きます」と訪問予告。もちろん狂ってしまった人は何も気づいていない。


そして人々は、狂ってしまった人の家に行き、その人を皆で担ぎ上げ、抵抗してでも家から出して、呪術師のところへ連れて行く。


狂ってしまった人が呪術師の治療にかかるとアラ不思議、ケロっと「常人」に戻ってしまうのであった。


なお、呪術師の治療もむなしく狂ったままだった場合、いずれその人は死ぬ。



・キシイ族の呪術

一方、ケニアで最も呪術が盛んな部族は「キシイ族(グシイ族とも呼ばれる)」だ。


キシイ族のほとんどは、ケニアのどの部族よりも呪術の力を信じており、彼らの村で呪術は非常に一般的である。


だが、カンバ族と違うのは、もしも仮にキシイ族の村で「狂った人」が出てしまった場合、呪術で治すのではなく、焼き殺す。


・マサイ族の呪術

「マサイのルカ」でおなじみのマサイ族もまた、あまり知られていないが呪術の使い手と言われている。


たとえば誰かがマサイ族の牛を盗んだ場合、その牛はバッファロー(水牛)のようになり、牛は盗人を殺すと言われている。


マサイ族の呪術によって、普通の牛が水牛になってしまうのだ。よって、マサイ族の牛を盗むのは非常に困難と考えられている。


今年、ケニアではカルト教団が大変な事件を起こした。呪術とカルト教団は違うけど、ケニアの人々は信じやすい一面も持っている。


日本はどうだい。日本に呪術師はいるのかい。もしも人が狂ってしまったら、日本の人たちはどうする? 今度オレにも教えてくれ。クワヘリ。


執筆:チャオス(カンバ族)
超訳:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.

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