【実録】泥酔して外国人のキャッチに引っかかり67万円の「ぼったくり被害」に遭った話を赤裸々に伝えよう

夜の街は常に危険に晒されている──。私（耕平）は、つい最近それを痛烈に思い知らされた。人生で初めて、夜の街で「ぼったくり被害」に遭ってしまったのだ。その金額は、一晩でなんと……約67万円！

「ぼったくり」なんてニュースだけの世界で、自分には無関係だと思って完全に舐めていた。ところが今回、自分が被害者になったことで、そのお花畑的な考えは完全に甘かったと身に染みて体験することになる。

しかもその方法はよく耳にする手口と全く異なるものだった。果たして、どのように行なわれたのか？　その一部始終をお伝えするとともに、私と同じような被害者が出ないよう、注意喚起も踏まえて読んでいただきたい。

・酩酊状態にさせられる

まず、問いたい。あなたは夜の街での「ぼったくり」被害というと、どんなことを想像するだろうか？　一般的には……

「1時間3000円ポッキリ」みたいな感じで、キャッチに声をかけられる
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入ったお店には女の子がスタンバイ。「一緒に飲んでいいですか？」などと、何杯かのお酒を注文される。
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1時間くらい楽しんでお会計を見たら、なんと数十万円！
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法外な金額に文句を言うと、明らかにカタギじゃない見た目の怖いお兄さんが登場。
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脅しに負けて、渋々ATMで高額な料金を下ろさせられて支払い。その後は泣き寝入り。

こんな感じじゃないだろうか？　今回私が遭った手口は、こういった暴力的なものではない。ということで、その経緯を説明していこう。

さる6月某日、私は東京都江戸川区小岩で飲食店を経営している知人と呑んでいた。その日はたまたま私の誕生日ということもあって、盛り上がってしまい二次会まで突入。あまりに楽し過ぎたせいか、二次会の途中から記憶が曖昧（あいまい）になり、気がついたら終電が過ぎていた。

まぁ、ここまでは個人的にはよくあることだ。問題はその後、記憶が途切れ途切れになるが、私は知人たちと別れて1人で行動していたらしい。

時間にして午前2時ごろ。ここから次の日の夕方くらいまでの記憶が一切飛んでいるのだ。そして気がついたら、先の知人が経営している居酒屋で寝ていたところを起こされたというのが一連の流れだ。

次の日の夕方まで記憶を無くすまで飲んで、しかもお店で寝ているなんて飲み方は人生で初めての経験だった。いい歳して情けなくて後悔しかなかったというのが、この時の感情だ。

出来事としては、これが全てだ。まとめると、中年オヤジがアホみたいに呑み過ぎて次の日の夕方まで記憶を無くしていたというのが、ここまでの話である。

ただし、ここからの出来事が恐怖に怯え、生涯で1番と言っていいほどの事件に巻き込まれていたとは、この時は思いもしなかった……。

・狡猾な手口

その被害に気づいたのは、先の知人からのショートメールからのメッセージだった。

「昨日はすみません。ごちそうさまでした。お財布を忘れてるみたいです」

── えっ？　もしかしたら奢った？　いくらくらい使ったんだろう……。どうやらクレジットカードで支払いを済ませたらしく、なんと10万円支払っていた。

「やってもうた……」さすがに10万円は痛い。酔って気が大きくなって支払ってしまったのだろう。一晩に使った金額としては、生涯で1、2に入るほどの金額だが、自分で支払った以上しょうがない。

ただ、こういう時のためと言うわけではないが、自分用で自由に使える貯金があった。その金額は50万円くらいなので、そこから補填するしかなさそうだ。これも飲み過ぎた罰で勉強代だと割り切り、その口座から振り込もうとスマホアプリを開いた瞬間、思わず自分の目を疑う金額が表示された。

えっ……？

50万円以上あった残高が、なんと1日で14000円くらいまで減っている。いや、何かの間違いだ……しかし、何度見ても金額の表記は変わらなかった。

なんでこんなに無くなっているのか？　明細を確認してみると……

短時間であり得ない金額が、決済されたり引き落とされたりしていた。

なんだこれ、何がどうなったら、こんなにお金が減っていくんだ……全く理解が追いつかず、一瞬でパニックになった。ところが、それだけでは終わらない。途中、一度落ち着いてから「もしや？」と思い、もう一つのクレジットカードの明細を確認してみると……

約20万円、使われている……。

こちらのカードは限度額が低めに設定してあるにも関わらず、なぜか限度額をオーバーした金額が使われてしまっている。そして財布を確認すると、使われたカードは2枚とも紛失していた。

まずはカード会社に連絡を取り、急いでカードを止める。その後、明細を見てみると、見覚えのないお店の名前が何軒か書いてあった。この勢いだと他のクレジットカードも使用されている可能性が高い。急いで他のカードの履歴を確認したのが幸いして、それ以上の使い込みは見られなかった。

とにかく現実を受け入れられなくて途方に暮れる。ただ、明細の履歴からどこかの店に入って短時間で大金を使ったという事実に変わりはなかった。

・足取りを追う

たとえ記憶が完全に飛んでいたとしても、もしかしたら何か手立てがあるかもしれない。いったいその日に何があったのかを探るべく、どうしたらいいかを考えた。

残っているものは、支払いに使われたデビットカード機能付きキャッシュカードとクレジットカードの2種の明細のみ──だと思ったら、もう一つ私の当日の足取りを掴める決定的なものが見つかった。スマホに入っている位置情報アプリだ。

このアプリは何かのきっかけで興味本位で入れてみたもの。ほとんど使ってなくかなり奥の方に配置していたが、久々に開いてみたらその日の移動ログがバッチリ残っていた。

このログから移動時間、滞在時間などを洗い出し、カード明細の使用した時間やATMを利用した時間を照合する。

すると、明らかに不可解な動きがあることがわかった。1店舗で高額な支払いをするわけではなく、少なくとも3店舗に分散されていた。ログを見る限り、小岩駅付近の徒歩圏内を動いていたようだ。

しかも1店舗ずつ、複数回に分けてカード決済されていたり、近くのATMで多額の現金が下ろされている。そしてATMで不自然に高額な引き出しがあったことについては、明細から場所が特定できなかったため、銀行に問い合わせて裏付けをした。

そしてこの履歴を持って、後日、被害届を出せないかと思い、管轄の小岩警察署に相談に向かった。

担当の刑事さんは、親身になって状況を聞いてくれたものの、結論から言うと事件性は立証できないという。後日ATMが設置されているお店に防犯カメラを見に行ってくれたという連絡を受けたが、やはり私が直接下ろしている証拠があったらしい。ただしその近くに、中華系外国人のスタッフと見られる女性が近くで見張っていたとのことだった。

結果、被害届は提出できず「相談」という形で終わってしまった。残念だがこれには理由がある。明細にあるように1店舗で高額な決済がされているわけではなく、1店舗で何回かに分けて決済されている。それが数店舗にわたって、積もり積もって全体的に高額になる手口だ。

これをやられるとどうなるかというと、例えばその店で1本数万円のボトルを入れて、数十分で空ける……という建前が成立してしまうのだ。その明細が無い以上、否定できる方法もない。

同系列の店に移動し、酩酊状態のままその都度会計を繰り返すことで事件性が立証できなくなるらしいのだ。なので明らかに不自然な使い方をされても犯罪として立件できる証拠がなく、警察も現行犯でもない限り手が出せないという。

交番に駐在していた警察官にも聞いたのだが、今回特定できている店は同じような被害でよく相談があるらしい。そこで今度は国民生活消費センターに訪問して相談した。

ただ、ここでも警察に相談した時と同じ理由で、立証できる可能性が低いとして「相談があったという形になってしまいますが……」となってしまった。その後、弁護士事務所の無料相談も利用したが、結果は同じだった。

後から聞いた先の知人の情報だが、私が被害に遭ったと思われるエリアは中華系の外国人のキャッチが凄く、最近こういった同様のエグい手口の被害を聞くとのことだった。前述の交番にいた警察官も同じことを言っていたので、日々被害が拡大しているのだろう。

結局、これ以上はどうすることもできず、泣き寝入りする結果となってしまった……。

・被害に遭わないために

以上が私が直面した「ぼったくり被害」だが、その後仕事や日常生活のルーティン以外のことは数日間ショックで何も手につかなかった。時間が経過し、何とかショックから立ち直ることで、自分のアルコールに対する立ち振る舞いを見直す良い機会になった。

しかし、どうも不思議に思えるのはその間の一切の記憶が無いこと。今まで記憶を無くすくらい飲んだことはあったが、少なくとも断片的に記憶は残っていた。これは生まれて初めてと言っていいほどの経験だ。

他のニュースで見た情報によると、ものすごくアルコール度数が高い中国のお酒や薬を盛られているケースもあるらしい。そう考えたら、同様の手口に引っかかった可能性も高い。

とはいえ、結局悪いのは己を制御できず記憶を無くすまで好き勝手に呑んでいた自分の責任に他ならない。本当に悔しくて情けないが、だからと言ってこの件で小岩という街も、ぼったくられた中華系と思われる民族も、これがきっかけで嫌いになったり恨んだりすることは一切ない。

自分が被害に遭ってから同様の手口のぼったくり被害のニュースを目にすることが多くなり、最近では新橋などでも摘発があった。なので繁華街全般で、このような闇が潜んでいることを、飲み手としては絶対に忘れてはならない。

社会人になれば、ストレス発散や付き合いでお酒を呑む機会とはなかなか切り離せないという人も多いだろう。そういった人に私がアドバイスできること、それは……

「キャッチや呼び込みには絶対についていかないこと」

当たり前だが、これに尽きるのではないだろうか？　それが日本人でも外国人でも同じだ。そもそもこういった行為は各自治体の条例違反に該当するケースが多いので、普通に考えたらマトモではない。

怖いのは私もそんなことは重々承知していた……にもかかわらず、調子に乗って一度羽目を外したら、気が大きくなってこのような被害に遭ってしまったということ。夜の街で飲む頻度が多い人は心に留めてもらいたい。いや、頻度が少ない人でも油断してはいけない。

私の場合、金銭的な被害で確かに金額は大きいながら、体が無事だったのは不幸中の幸いだと思っている。しばらく夜の街に飲みに行くことは控えるが、付き合いなどで機会があった際はお店の前からタクシーで帰るくらいの用心さが必要だと考えている。

この記事が夜の街に潜む犯罪による被害拡大の抑止になれば、私が受けた被害も少しは人の役に立てるのではないか？　と考え、執筆に至った次第だ。

執筆：耕平　
Photo：RocketNews24.

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