意外な人が脱げば脱ぐほど話題になる。お茶の間でおなじみの存在であるほど、その衝撃は大きいだろう。
2023年夏、あまりに意外すぎる「初脱ぎ」情報が発表されるや、SNSで大きな話題になった。まさか子供時代から慣れ親しんできたあなたが脱ぐなんて……。
そんなこと、正統派のあなたには求めてないよ……。もっと他のイロモノっぽいのにそんなの任せたらいいじゃんとも思った。ひょっとしたら、何度も話題になるあの不毛な争いで永遠のライバルと差をつけたかったのかな?
だけど、興味がないといえばウソになる。そんな複雑な私の思いを見透かすように、ロケットニュースの事務所に一糸まとわぬ姿であなたはやってきた。
・チョコぬいじゃった! きのこの山
まさか、「きのこの山」あなたがチョコを脱ぐなんて思わなかった。だってそれは、あなたがあなたであることを捨てるようなものだから。チョコを脱いだ姿はもはや「きのこ」ではない。
たしかに、レジャーにあなたを連れてったら溶けちゃいそうなくらい、今年の夏は暑いよ。だからって、まさか脱ぐなんて……。これで海にも山にも一緒に行けるねって、あなたは笑うけど私は正直複雑だった。
それにしても、あなたって本当にサービス精神が旺盛だよね。チョコがなかったらみんながガッカリするんじゃないかって、まさか60本入りでやってくるなんてさ。サービスしすぎだよ。
容器をあけたとき、思わず笑っちゃったもん。一糸まとわぬあなたが、あふれんばかりに入ってたから。
だけど、これが本当にあなたなのか一瞬疑って、私はチョコをまとったあなたと比べたりしたよ。子供の頃はよく、先にチョコをはがしたりしたなあ……なんて思いながら。
・クラッカーだけを食べる
チョコがないあなたを食べるとき、最初は戸惑った。チョコがない分、なんだか一回りも二回りも小さく見える。
指先でつまんで、口に運ぶと……。香ばしいクラッカーの風味と同時に、ほのかな甘さ、そしてバニラのような香りが漂ってきて、ビックリした。予想していたよりずっと、チョコなしのあなたは美味しかったのだ!
素顔のあなたはこんな味をしていたのか……。チョコの味が強すぎて、今まで気づかなかったけど、この味ならチョコをぬいで勝負しようと思ったのも納得だった。
小さめのスナックみたいな感覚で、次つぎと口に放り込んでしまう。こうやって止まらなくなることを分かっていて、60個入りにしたのかもしれない。
パッケージの裏面に書いてあった、チーズをディップする食べ方も試してみたけど最高だった。ほのかなクラッカーの甘みに、クリームチーズの塩気。相性が悪いわけがない。
まるでパーティーに出てくるフィンガーフードのよう。あなたはチョコ以外とも相性がいいんだね。
・いつものきのこの山も食べる
そうして一通り楽しんでから、つぎにチョコをまとった、いつもどおりの「きのこの山」を食べてみた。
チョコなしのあなたに感動したあとに言いづらいけど……やっぱり「きのこの山」は美味しい。チョコの甘さとクラッカーのサクサク感が絶妙で、ロングセラーの力を感じる。
チョコなしもじゅうぶん美味しいけど、やっぱりチョコありのほうが美味しいよ、なんて思いながら、ふたつ、みっつ……と「きのこの山」を口に放り込んでいて、はたと気づいた。
「夏に連続で食べるには、きのこの山は甘すぎる」
だんだんチョコの甘い風味に飽きてきたのだ。暑い季節のせいもあるかもしれないけど、ひょっとしたら、私の年齢のせいもあるのかもしれない。子供の頃ほど、チョコのお菓子をたくさん食べられないのだ。途中で苦いコーヒーなんかを挟まないと、チョコのお菓子を最後まで美味しくいただけない。
そんなときに、甘くなった口の箸休めのつもりで「チョコぬいじゃった! きのこの山」を口に入れた。クラッカーのサクサクした香ばしさとかすかな甘さがちょうどいい。チョコで甘くなりすぎた口の中をリセットしてくれる。いくつかクラッカーを食べて、また「きのこの山」を食べる……。またチョコの美味しさを感じられる。
この食べ方を始めたら、手が止められなくなってしまった。クラッカー2個に、きのこの山1個、というリズムがどうやらいいみたいだ。クラッカー本来の美味しさと、きのこの山本来の美味しさを新鮮に味わい続けることができるのだ!
まさか、きのこの山を美味しく食べさせるために、あなたはチョコを脱いだというのか?
意外すぎる展開だった。チョコを脱いだあなたと一番相性がいいのは、チョコをまとった「きのこの山」だなんて。これを読んだみなさんも、もし「チョコぬいじゃったきのこの山」を見かけたら、一緒に「きのこの山」を買うのをおすすめする。
繰り返す、「チョコぬいじゃった! きのこの山」と最も相性がいいのは「きのこの山」であると……。
それが分かっただけでも、あなたが脱いだ価値はあると思う。こうして私のひと夏の経験は終わったのである。
参考リンク:
執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.