ジャンボ〜! 今回はゴー(羽鳥)からの質問。
「世界的にコロナも落ち着いてきていることだし、旅行者も増えている気がするし、ケニアはどんな感じ? そしてチャオスのタクシー家業はどうよ?」と。答えよう。
正直、ケニアは、いや、オレが感じるケニアにおいては、「コロナは終わった」と思えるような状況ではないな。
・まだ続いている感
病院や公共の場所では、いまだにマスクを着用している人が多い。街を歩く人々のマスク率は減ったけど、いまだゲフゲフと咳をしている人も多く、「オレ、マスクしてなくて大丈夫かな」と思ったりもする。
また、病院に行くと、酸素吸入下で重篤な状態に陥っている人を見ることもできる。もちろんコロナによる重症患者だ。こんな状態で、コロナ、終わったのかなと。まだ続いているのではないかと。
・収入が増えない理由
そう思うもう一つの理由は、オレの仕事「タクシードライバー」での日々からも感じている。いまだにタクシー稼業による収入は停滞気味。1週間に稼げるのは、せいぜい2000kes(約1999円)未満てなところだ。
なぜ収入が増えないのかというと、そりゃ今だに観光客が少ないままだからだ。ほとんど来ない。
仮に来たとしても、彼らは旅行中の移動を現地でブッキングするのではなく「旅行会社でチャーターしました」てなパターンがほとんど。そのため、観光客をつかまえるのは非常に困難な時代に突入している。
・ホテルも厳しい
ゴーがケニアに来る時の常宿でもあり、オレのホームグラウンドでもある「メルトニアホテル」に来るお客も、海外からの観光客はごく少数で、ほとんどの利用者がケニア人。
彼らはオレらを使わない。なぜならUber(ウーバー)やBolt(ボルト)を使った方が楽だから。
主たる顧客を「海外からの観光客」に頼っていたオレにとって、まったく稼げない時代に突入したまま……てな具合なのだ。時代に取り残された感もある。
オレもUberやBoltに参入すれば、また違った景色が見えるのだろうけど、それはそれで忙しくなる。走っても走っても稼げない。割に合わない仕事なんだ、UberもBoltも。
詳しくは過去記事「Uber(ウーバー)とBolt(ボルト)の登場はケニアのタクシー業界にとって良くも悪くも “革命” だった / カンバ通信:第275回」を読んでほしい。
・先の見えないタクシー稼業
オレなんて、タクシー以外にも、こうしてライターの仕事もあるからまだマシなほうで。本当にラッキーだったと思う。本当に。
逆に、タクシーしか活きる術がないドライバーたちは、本当に全員が泣いている。
悲しきかな、時代に取り残されてしまった人たちは本当にピンチ。主に60歳以上のドライバーたちが、失業の危機に面している。
物価の上昇。燃料の高騰。しかしタクシーの利用者は減っている。いたとしてもUberやBoltを使うから、それに対応できない運転手は客もとれない。
おまけに多くの運転手が高血圧などの持病にかかっている。もう本当にどうしようもない。
以前の記事にも書いたけど、多くのタクシードライバーがタクシーの仕事を辞め、他の仕事を探しているが、それもまた非常に困難。高齢だったり、車を運転することしかできないから。
結局のところ、UberやBoltなど、最先端に対応できない人間が、いま苦境に立たされている。コロナをきっかけに、ガラリとタクシーの状況も様変わりした。良くも悪くもコロナは時代を変えたんだ。
・これから
そんなこんなで、まだオレはロケットニュースで記事を書き続けたいと思っている。なぜなら、オレの、そしてオレの家族の命を維持するのが、このライターという仕事だからだ。今後も、いろいろレポートしたい。
読者の皆様には、ぜひたくさんの質問をしてもらえたら嬉しいと思っている。そうすれば、もっともっと興味深いレポートを作成したり、考えたりすることができるから。今後ともよろしくお願いします。クワヘリ!
執筆:チャオス(カンバ族)
超訳:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.
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