兵庫県姫路市といえば、国宝や世界遺産に選ばれた姫路城が有名だ。姫路駅北口を出ると、まっすぐ伸びる大手前通りの先に白く輝く美しい姫路城の大天守が見える。この駅からの景色こそが姫路そのもので、多くの方が思い浮かべる “姫路の景色” と言えるだろう。

では一方で、姫路を代表するグルメといえば何だろうか……ううむ、パッと出てこない。ってことで昼過ぎに姫路駅に到着した私は、手っ取り早く美味しい料理と出会うために、タクシーに乗り込んで「運転手さんオススメのお店までお願いします!」と言ってみた。

・タクシーの運転手さんオススメのお店へ

姫路といえば穴子料理が有名だけど大丈夫?」と運転手さん。もちろん大丈夫です! という流れで車を走らせること約5分、あっという間に目的地に到着した。お店の名前は『あなご料理 柊(ひいらぎ)』。「穴子重」や「穴子ひつまむし」が人気らしい。

しかし、たった今ランチタイムが終了してしまったという。それは残念……運転手さんも「ああ、もうそんな時間か」と一緒に悔しがってくれた。しかしすぐに気を取り直し「次に行こう」と出発。頼もしい。


飲み屋街を抜けて駅前の大手前通りに戻る。

「あそこのおでん屋さんも有名だけど、のれんが出てないからやってないね」「十七八と書いて “となはち” ね」などとガイドをしてもらっていたら、いつの間にか姫路駅前に戻ってきてしまった。あれれと思っていると……

「あそこの4階がさっきの穴子料理のお店」とのこと。指差す先には「キュエル姫路」なる7階建ての商業施設があった。4階に『あなご料理 柊』が入っているという。ご当地料理は駅前でも食べられるのか。「さっきのが本店だけどね」と運転手さん。

「ま、やってなかったら駅地下のレストラン街に行ってみてよ。まねき食品のえきそばがあるから」



・えきそば

……そうか、姫路といえば「えきそば」も有名だった。そしてやはり『あなご料理 柊 キュエル姫路店』は本店同様ランチ営業を終えたところだったので、駅地下のレストラン街に向かうことに。どうやら「えきそば」は姫路駅構内以外にも出店しているらしい。

和風だしと中華麺の組み合わせが人気のえきそば。何度か食べたことはあるが、せっかく教えてもらったし地下街の店舗も気になる。行ってみようじゃないか。

とりあえずタクシーを利用した結果、姫路の繁華街をぐるっと一周して結局えきそばを食べることになったのは予想外だが、タクシーに乗らなければグランフェスタを散策することもなかっただろう。地図を見ながら歩いて行くと駅構内と同じ「えきそば」を見つけた。

グランフェスタ3番街にある『えきそばグランフェスタ店』。さて何を食べようか。定番もいいけど、どうせならインパクトのあるメニューと出会いたい、と思っていたら……


あった。


その名も「姫路たこ焼きえきそば(ソース付き)」。価格は530円。なんでも定番のえきそばにたこ焼きをドドドンと3個トッピングしたメニューらしい。マジかよ。いや、だし汁につけて食べる明石焼きもおいしいし似たような味なのかも……と期待して頼んでみることにした。



・たこ焼きの存在感

そして説明通りのそばが登場。たこ焼きが思った以上の存在感。ってか、もしかしたら本当に主役はたこ焼きで、えきそばはたこ焼きを引き立てる役割を担っているのかもしれない。なんせソース付きである。メインのたこ焼きを美味しく食べるためのメニューなのだ。きっと。

そう思いながらソースをかけた。なんとなくソースがだし汁に入らないように慎重に。なかなか気を遣うメニューである。

しかしつゆに半分沈んだたこ焼きを食べてみると、これが意外とうまい。いや最高だ。むしろもっとたこ焼きにだし汁を吸わせた方が良いのではと思うほど合っている。やはり明石焼きに近いおいしさ。

ただ、ソースをかけてだし汁に浸すという食べ方は姫路、いや、えきそばならではなのかもしれない。んで、この甘めのトンカツソースもよく合う。いざ食券機の前に立ったら無難な「天ぷら」や「きつね」を選んでしまうかもしれないが「たこ焼き」もいいぞ、本当に。

えきそばは懐かしい味。ほんのり黄色い中華麺と和風だしが生み出す素朴な美味しさがたまらない。1949年10月19日に「えきそば」と名付けられた姫路名物はこれからもソウルフードとして愛され続けるだろう。多くの人にとって “姫路を思い出す味” だと言える。うむ、大満足。



運転手さん1番のオススメではなかったが「姫路たこ焼きえきそば」は美味しかった。えきそばも穴子料理も駅からスグなので機会があればどちらもどうぞ。ご当地料理が分からない場合は駅周辺を散策してみるのもいいかもしれない。


・今回ご紹介したスポットの詳細データ

名称 えきそばグランフェスタ店
住所 兵庫県姫路市駅前町221 グランフェスタ3番街3D
時間 10:00〜20:00

執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.