浅草・田原町にある老舗のパン屋・ペリカン。昭和17年創業で、パン好きの間では知らない人はいない名店である。
ラインナップは食パンとロールパンだけというシンプルさだが、根強いファンが多い。そして、人気ゆえに基本的には予約しないと買えない……ということも有名。「ペリカンのパン食べたいな〜」と思って、当日いきなりお店に買いに行っても買えるもんじゃないのだ。
……そんなペリカンのパンが意外なところで買えるのを発見した
・まさかのお店
実はペリカンのパンはいくつかのお店で委託販売されている。有名なところでは、JR上野駅と秋葉原駅にある物産店「のもの」やソラマチの「北野エース」など。この辺はけっこう有名になっているので、買えないこともある。
数ある “ペリカンのパンが買える店” の中でも異色なのが、今回紹介する入谷の「立忠製印所」である。
お店の入口に「ペリカンのパンあります」の貼り紙がある。
しかし……この店……どこからどう見てもハンコ屋さんなのだ!
実は他にも食品を扱う商店だったりするのかな? と思って中に入ってみると……。完全に印鑑の専門店であった!
・なぜここにペリカンのパンが!?
お店のカウンターには「食パン」や「山食パン」、「ロールパン」などペリカンのパンがしっかり並んでいる。おおおお……。値段もペリカンで買うのと全く同じ。
ロールパン(580円)を買ったついでに、なぜはんこ屋さんなのにペリカンのパンを売っているのか、ご主人に話を聞いてみた。
「もともとは、うちの隣にあったケーキ屋さんでペリカンのパンを扱ってたんだけど、高齢でお店の主人が亡くなって。それでうちで扱うことにしたんですよ。もう4年くらいになるかなあ」
このあたりは東京の中でも下町エリアで、昔ながらのお店が並んでいる。
調べてみたところ、かつてこのあたりの「フクミヤ」というお店で、高齢の主人がひっそりとペリカンのパンを売っていたという情報が食べログのクチコミにあった。きっとそこから引き継いだのだろう。今でも商店街に地域のつながりが残っている感じがして、なんだかいいエピソードだなあ。
ちなみに、ペリカンのパンは朝8時半ごろに入荷するそうだが、この日は一斤売りの食パンは10時半には完売。ここでペリカンのパンの予約や取り置きもできるそうで、店の奥に予約分の食パンが何斤か置いてあった。
「立忠製印所」の営業は平日8時〜18時まで。
お店は地下鉄日比谷線・入谷駅から徒歩5分ほどの場所にある。この近くには昔ながらのおせんべい屋さんや喫茶店など、趣のあるお店が並んでいる。散歩のついでに立ち寄ってみてはいかがだろうか。
・今回訪問した店舗の情報
店名 立忠製印所
住所 東京都台東区根岸3-13-6
営業時間 8時〜18時
定休日 土・日・祝日