『ビッグボーイ』はアメリカ発祥のファミレスチェーン。地域によってはご存じない方もおられるかと思うが、私の地元・鳥取ではなぜかメジャーでよく利用していた。サラダバーが最高なんだよね〜!

さて。そんなビッグボーイのトレードマークといえば、店先で微笑むビッグなボーイ(ボビーくん)の人形だ。このたび私は旅行先のバンコクで “ビッグボーイ人形に酷似した人形” を目撃してしまった……その衝撃の顛末をお話ししたい。

・それは一瞬の出来事だった

あるバンコクの昼下がり。滞在先のホテルからタクシーへ乗り込み、ぼんやり車窓を眺めていたところ……ン!?


何か見た!!!


それは飲食店とおぼしき店先にたたずむ人形……一瞬のことではあったが、見た者を引き寄せる強烈なオーラを放っていた。どーも気になって仕方がないので、私は数時間後、再びその場所へ戻ってみることに。


え〜と、確かこのへんだったと思うが……



おぉぉ……っ!


閉店後の薄暗い店内で微笑む、ビッグボーイ人形によ〜く似た人形。ってことは、ここってビッグボーイ? 看板を確認してみよう。


平平……!?


「平平」という漢字以外、全ての情報がタイ語で表記されたこの店を、私はひとまず平平(へいぺい)と呼ぶことにした。平平と書いて「ビッグボーイ」と読む可能性もゼロとは言い切れないが、いかんせん平平(へいぺい)の存在はGoogleマップにも登録されていないのである。

かろうじて “営業時間は9時〜14時” と読み取ることができた。ビッグボーイにしては稼働が少なすぎる気もしなくないが、ここまできたら出直す以外に道はないだろう。


・翌日

そんなわけで翌日の朝9時、私は再び平平(へいぺい)へ向かった。

平平(へいぺい)の所在地はカオサンからプラチャティパタイ通りを南東へ、しばらく歩いた町外れ。バンコクを訪れた観光客が偶然通りかかる可能性はあまり高くない。先ほどお伝えしたとおりGoogleマップに存在が登録されていない(2023年2月現在)ため、気になる人は徒歩で探してみてくれ。


よかった、営業中だ!


それでは改めて、こちらがバンコクの街角で見つけた “ビッグボーイ人形に酷似した人形” である!

いかがだろう……ズボンの柄や色、髪の毛の流れ、左向きの流し目など、全体的にビッグボーイ人形によ〜く似ている。むしろクリソツと言えまいか?

ただ1つだけ決定的に違うのは、着用している白Tシャツのデザイン。本来『Big Boy』とあるべきところを、あろうことか『平平』のロゴが配置されている。以上のことから、やはりコレはビッグボーイ人形ではなく “平平(へいぺい)人形” と考えるのが妥当なセンだろう。


・普通に名店だぞ平平(へいぺい)

平平(へいぺい)人形に関する調査は以上だ。せっかくなので朝食をいただくことにする。

よく見るとオシャレで綺麗な平平(へいぺい)店内。奥の厨房では3人の若い男がシャカリキに野菜などを刻んでいる。ランチタイムは混み合うに違いない……なんたって5時間しか営業しないのだから。

メニューを渡されるも、全てタイ語のため画像で判断するしかない。焼きソバっぽい画像を指差し、あとは祈るのみ。

店内を見渡すと「Since 1944」の文字があり、平平(へいぺい)が来年80周年を迎える老舗であることに驚きを隠せない。しかし本家ビッグボーイの創業は1936年なので、これをもって平平(へいぺい)がビッグボーイでないことは確定的になったワケだ。うん、知ってた。

5分ほどで運ばれてきたヤツは焼きそばじゃないけどウマそう! 平平(へいぺい)で一番高い130バーツ(約510円)。

オマケ程度に春雨も浮いているのだが、どちらかといえばメインは空芯菜である。

ラーメンのように空芯菜をすする料理……それって一体どういう料理なんだろ? 味は「ピリ辛トマトの坦々麺風タマゴとじ」って感じで大層美味。長旅で不足しがちな野菜を一気に補給できたことも嬉しい!

ひとりボンヤリ行き交う車を眺めていると、だんだん自分がタイ人に思えてきた。今回の調査の結果、平平(へいぺい)にビッグボーイっぽい人形が設置されている正確な理由は不明。しかし平平(へいぺい)がビッグボーイにも負けない魅力を秘めているのは確かなようだ。

広い世界にはGoogleマップに認知されていない名店がまだまだ潜んでいる。ネットの情報ばかりに頼らず、たまには自分の足で歩いてみるべきなんだなぁ〜。

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
ScreenShot:Googleマップ