当編集部のYoshioさんは、会社で一番偉いにも関わらず “安くておいしいワインを探すこと” に喜びを見出すタイプ。高いワインを飲み過ぎると、人はその境地に達するのだろうか?

先日も「コストコのワインが値上がりして1000円を超えた」と嘆いていたYoshioさん。2023年、そんな彼のために発売されたと言っても過言ではないのが京王百貨店の『フランスボルドー赤ワイン10本セット福袋』だ。

価格は税込8800円……つまり “ワイン1本あたり880円” の計算になるのである。うまくすれば私の評価が上がる可能性もあるため、迷わず注文することにした。

・オールボルドー

そして年明け早々、当編集部に届いた重た〜い箱。

中身は本当に赤ワイン10本! 小瓶やパック入りといったケチくさいものではなく、正真正銘の750mlボトルである。さっそく銘柄を確認してみよう!


…………何の感想も出ないッ!


今回入手した10本は全て “モノクロの建物のイラスト+フランス語” という、ぶっちゃけ素人には「全部同じ」に見えるデザイン。赤ワインのラベルって、こんなに似てるものだったっけ? もっとこう “分かりやすいアタリ” が混ざっているものと思っていたのだが……これではコメントしようがないな。

ってことで、さっさとYoshioさんに丸投げしてしまおう。ほぼ毎日ワインを飲んでいるという彼ならば、即座に「このワインが高い」と判別できるはずだ。


・なぜか格付けチェック状態に

ところが……


Yoshio「いやぁ、これだけじゃ分からないよね〜」


──え!? 年代とか、産地とかで分からないんですか?

Yoshio「あのねぇ、そんな単純な話じゃないのよ。製造年は全部2016〜18年だし、産地も全部 “フランス” としか書いてないし……ネットで調べれば少しは分かるかもしれないけどさぁ」

──ラベルの色とか、ワイナリーの名前とかは?

Yoshio「う〜ん」



Yoshio「ワインの色を見れば、ある程度は分かるかも……?」

(スマホのライトをボトルにかざすYoshio氏)



Yoshio「真っ黒で見えねぇ」


嫌がるYoshioさんに無理やり「一番高いと思うワインを」とお願いした結果、しぶしぶ選んでくれたのは『La Croix d’Ardit Bordeaux(2016)』という1本であった。産地はもちろんフランス・ボルドー。なんだか微妙な空気になってきた……!


・ほかのワイン通にも聞いてみた

慌てた私は編集部でNo.2のワイン好き・あひるねこ記者にも意見を求めてみることに。


あひるねこ「えぇ〜、分かんねぇ……」



あまり反応がよくないので暫定No.3のワイン好き・ジュンくんにも選んでもらった。


かくして3人のワイン好きによる “一番高いと思うワイン” が出揃ったのである。せっかくなので各ワインを試飲してもらおう……まずはジュンくんの選んだ『Château Belvue Cuvée l’Emotion Bordeaux(2017)』から。理由は「なんとなく」だそうだ。


Yoshio「酸味が強すぎ」

あひるねこ「渋みがキツいですね」

ジュン「…………」


続いてはあひるねこ記者の選んだ『Château Belvue Cuvée Anaïs(2017)』。先ほどと同じシャトー・ベルヴューのワインだ。


Yoshio「お! さっきよりイイね。まろやかで、深みがある」

あひるねこ「うまいですね。これが1500円以下なら全然アリです」

ジュン「…………」


最後はYoshioさんの『La Croix d’Ardit Bordeaux(2016)』。


あひるねこ「僕が選んだヤツと似てますね。似てるけど……」

Yoshio「こっちのほうが少し薄いね」

ジュン「…………」


と、いうことで協議の結果、あひるねこ記者の選んだ『Château Belvue Cuvée Anaïs(2017)』が最もナイスなワインに選ばれました〜! みんなのコメントが的確でマジ感動! ワインの道を極めたい気分になってきた。

ちなみに市場価格を調べたところ、今回試飲した3本はどれも1300円前後。好みは人それぞれだが、どれを選んでもお得だったには違いないようだ。飲み比べも楽しい『フランスボルドー赤ワイン10本セット福袋』はすでに販売が終了しているので、来年の登場を待たれよ。

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.