サクッとした衣を噛むと豚の旨みがじゅわあ。とんかつが嫌いな者は手を上げろ! よし、いないな!! 揚げた豚肉にソースをかけて食べるんだからマズイわけがないだろッ! とんかつコノヤロー!!
失礼、その優等生っぷりに思わずキレてしまったが、逆に言うと、どこで食べてもあんまり変わらないのもまたとんかつである。グッドは多いが、エクセレントは少ない。そんな状況の中、最強と言っても過言ではないとんかつに出会った。自信を持って言える。「人生の中で一番ウマイとんかつだった」と。
・池波正太郎御用達
そのとんかつとは、JR浅草橋駅近くの老舗洋食店『大吉』のもの。レンガ作りのビルの地下1階にあるこの店、どれくらい老舗なのかと言うと池波正太郎が通っていたくらい老舗だ。著書『食卓のつぶやき』でも「これはまさに、戦前の東京下町の洋食屋である。レストランではない」と評されている。
・1ビックリ
まあ、そんな所縁については、私(中澤)も店の前のショーケースで知ったにすぎないのだが。何はなくとも飲食店。結局、重要なのは味であると思う。そこでとんかつだけにサクサクいこう。我が人生で最強のとんかつがこちら!!
「岩中のロースカツ(税込2200円)」です。
まず、驚いたのはその大きさ。運ばれてきた時、ご飯の皿が小さく見えたくらいだ。でも、ご飯を食べてみて気づいた。これライス皿が小さいんやない……とんかつがデカイんや!!
・2ビックリ
肉の量はたっぷり320g! しかし、デカイからと言って決して大味なわけではない。食べてみると、キメ細かい豚肉からは肉汁が飛び散るようだ。豚の旨みが半端じゃねェェェエエエ!
・3ビックリ
ゆえに、これだけのサイズなのに全くパサパサ感がない。滑らかかつジューシー。しかし、食べ終わって三度驚いた。
これだけ食べても全く胃もたれしていないのである。
もう私も若くないため、普段は脂ギッシュすぎるものを食べると気持ち悪くなったりもするのだが、このとんかつに関しては食後感に全く重さを感じなかった。ひょっとしたら、脂が上品だったためかもしれない。320gもペロリである。
・実はこのロース肉…
ただ単に「量が多い」とか「ウマイ」とかだけでは語りきれないこのとんかつ。2200円は相場で考えたら安くはないのだが、食べ終わった直後なのに、すでに私はこう思ってしまっている。「次も絶対これ食べよう」と。
というわけで、2200円でもむしろ安く感じたのであった。これは稀に見るエクセレントなとんかつ。とんかつの壁を越えし者。だが、それもそのはず、何を隠そうこのロース肉は……
宮中献上のロース肉。
芝浦食肉市場でも簡単には手に入らない肉で、宮内庁より礼状が届いたほどの逸品なのだとか。というわけで、下町の洋食屋で食べられるだけでも凄い。そりゃあ池波正太郎先生も材料について「とてもよいものをつかっている」と評するはずである。とんかつ好き、または洋食屋ファンはぜひ1度食べてみて欲しい!
・今回紹介した店舗の情報
店名 洋食大吉
住所 東京都台東区柳橋1-30-5 KYビル B1F
営業時間 11:30~15:00(L.O.14:40)/ 17:30~22:00
定休日 第2・4土曜日
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.