俳優・香川照之さんのテレビでは見せない顔が話題になっている。2019年、銀座の高級クラブで、接客を担当した女性の下着を外したり、ママの髪をつかむなど、鬼の形相で大立ち回りを演じる姿が週刊新潮によって暴かれたのだ。
倫理的に狂った行動なことは言うまでもない。が、識者からは「こういうのを外に出さないのが銀座の流儀だった」という声も上がっており、まさに様々な論争に火がついている状態である。そこで銀座の元ホステスにこのニュースについて意見を聞いてみた。
・意味が分からない点
論争が勃発するくらいなので、銀座が今も閉じられた世界であることは間違いない。特に、一般人である私(中澤)は、銀座の高級クラブなんて行ったことがないし、どこに何があるのかすら知らないくらいだ。
そんな私としてはこのニュースに素朴な疑問を抱いた。「何のためにこんなことしたの?」と。高級クラブって基本的には楽しみに行く場所だと思っていたのだが、報道の行動は真逆に見える。
・同時期に銀座でホステスをしていたMさん
そういった疑問に答えてくれたのは、ちょうど事件があった時期に銀座の高級クラブでホステスをしていたMさん。
Mさん「香川照之さんの行動が下品だということは間違いないですが、銀座ではそんなに珍しいことでもないイメージです。特に、髪つかんだりなんて月1くらいでどこかで起きてるんじゃないですかね?」
──水商売の大変さが垣間見えます。
Mさん「銀座は普通の歓楽街とはちょっと世界が違うことは確かです。ホステスも、体1つで成り上がるチャンスが転がってる代わりに、何が起こっても仕方がないという腹のくくり方をしている人が多くて、そういうものだと思っていました。
銀座で起こったことを外に出さないということにホステスも店もプライドを持っていたので、そういう意味で、みのもんたさんやスーパークレイジー君が言っていることは現実に近いですね。とは言え、私が報道されている現場にいたわけではないので何か事情があるのかもしれませんが」
──実際、香川さんのようなお客さんに当たったことはありますか?
Mさん「全く同じ被害ではないですが、同程度に下品な客とかヤバイ客はいっぱい来ました。特に、テレビの人の遊び方はエグかったのでさもありなんかなあ……と」
──逆に、この報道で気になった点はありますか?
Mさん「そうですね。一番気になったことは、香川さんが誰と一緒にいたかでしょうか。高級クラブに1人で来ることってほぼないんですね。大体はグループで来ます。その客が連れてきたお客さんを “枝” って呼びます。
私がホステスをしている時も、芸能人は何人も来たんですが、ほとんどの場合、枝は権力者でした。大企業の凄く偉い人とか何かの社長さんが、芸能人をはべらせて来店する感じです。だから、現場には香川さんがめちゃくちゃしてまで機嫌を取っている大物がいると思われます。想像ですけどね」
──とのこと。報道されない第三者ははたして存在するのか……? 信じるか信じないかはあなた次第。
・銀座の変化について
なお、現在、識者からは銀座の在り方を問う声も噴出している本問題。最後に、「こういうことが外に出ないのが銀座の良さだった」という声に関しても意見を聞いてみたところ、働いていた人ならではの所感を聞けたので、最後にお伝えして筆を置きたい。
Mさん「確かに、今回の件で『銀座も変わった』と印象付けられたら、離れる人はいるかもしれませんね。でも、その銀座の秘密主義的な部分や、それに基づいた治外法権のような部分が、古い時代の価値観と言われればその通りだとは思います。
実際、私が働いていた時も、昔の銀座ほどではなくて、フェアな時代に合わせて変化はしていましたし。ただ、その変化の中で生きてきた人には『昔のめちゃくちゃだった銀座が好きだった』と当時を懐かしむお姉さんたちもいます。そんな当事者たちの声を聞くと、どちらが良いかというのは私には分かりません」
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.