ジャンボ! 2020年の5月から始まった当連載カンバ通信も、なんと今回で連載200回目を迎えることができました〜! ということで今回は、連載200回目を記念してのスピーチ的な敬語の記事にしたいと思ってます。
え〜(ゴホン)……。
2020年にコロナウイルスが発生した時、私の人生は変わりました。なぜなら貯金などの蓄えが一切ウチにはなかったからです。
私の本業はタクシー運転手ですが、どちらかといえば、街を流すタクシー運転手というより、ケニアの空港を軸に送迎するタイプのタクシーです。
空港に着いた時、「タクシー?」と入国者を呼び止める様なこともたまにしますが、仲の良いホテル(※GO羽鳥のケニアでの定宿)と提携しているため、「空港からホテルまでの送迎」が多かったりします。
しかしコロナの発生と共に、ケニア政府はまず空港を閉鎖しました。となると私のホームとなる稼ぎ場所への出入りもできなくなり(もっとも、入国者もいないのですから空港に行っても意味なしですが)稼ぎはゼロに。
たとえホテルで待機していても、わずかな客しかいないので収入的には散々。さらにロックダウン(外出禁止令)の追い討ちもあり、ますますタクシー家業は厳しくなっていきました。そして常にこう思っていました。
稼がないと、家の中で死ぬ。
もちろん苦しんでいるのはタクシー運転手の私だけではなく、多くのビジネスマンも失業したりして大変な目に遭っていました。ビジネスマンなのにビジネスがない。そんな光景が私には世界の終わりの様に見えました。
ちょうどその頃です。ゴーに現状を伝えると、彼は「マサイ族のルカみたいに、ライターの仕事をするかい?」と声をかけてくれました。最初は意味がわからなかったけど、いざ始めてみると楽しくなってきました。
それからというもの、私の人生が順調に進み始めました。最初は少ない本数だったけど、今は平均して毎月10本のレポートをゴーと一緒に作っています。家族を養うためのお金が必要だったので、本当に助かりました。
そして私の家族も、この仕事に対して好意的です。妻は、私がこのライター仕事を続けることは、とても重要なことであるとよく言います。
「毎日のパンを手に入れるだけの仕事は、ただの仕事。でもあなたがやってる仕事はそうじゃない。日本のみなさんにケニアの日常を伝えることでお金をもらえるなんて、こんなに幸せなことはない」と言ってくれます。
日常というか、かなり私にとっては非日常な場所へも取材しに行きました。最もこの仕事でハードだったのは、「晴れた夜しかやっていない激ヤバ露店の茹でポテト」の取材です。できたらもう一度記事を見て下さい。
あの日、私は、吐き気と腹痛で一睡もできませんでした。夜中じゅう、ずっとトイレへ走っていました。しかも翌日に薬局に行ったら、お薬代で大打撃! あれは本当にツラかった。でも今となっては良い思い出です。
最後に。私から日本の読者さまにリクエスト。どうか、どんどん質問してください。この連載を進歩的なものにするためです。すべての質問には答えられませんが、ネタになりそうな質問があると、本当に助かるのです。
みなさま、いつも私の記事を読んでくれてありがとうございます。もちろん次の目標は「300回記念」です。300回になった時、またこうしてスピーチ原稿を書きたいと思っています。ありがとう。本当にありがとう。日本の読者の皆さん、アサンテサーナ(どうもありがとう)。クワヘリ!
執筆:チャオス(カンバ族)
超訳:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.