今、どう考えても尋常ではない豆腐がネット民をザワつかせている。ふじや食品の「チョコミント胡麻どうふ」だ。ザワつく理由は説明不要だろう。その商品名が全てを物語っている。

どうしてチョコミントを合わせたんや……? そして胡麻豆腐という選択。きっと、どんな豆腐でいくか開発会議を行い、その果てに胡麻豆腐が選ばれたのだろう。いや、他に話し合うべき点があっただろ……! 意味が分からないので、食べてみることに。

・こういうのはイオン

これまで数々のトガった食品に突撃してきた私の経験上、こういうのはだいたいデカいイオンがたくさん売ってる。4階に映画館があるようなイオンだと打率が高い。ライター業から得た、生きる上でクソ程も役立たない数多の知識のうちの一つだ。


ほら、売ってたやろ? お値段は170.64円。まあでも “このイオンでの値段” なので、あまり参考にはならないだろう。およそ、そのくらいの価格帯ということで。


・夏限定

ということで、2個ゲットして帰宅。パッケージによると、夏限定だそう。


チョコレートのほどよい甘さとミントの爽快感” なんだかウマそうな雰囲気を煽るキャッチ。お前がチョコミント味の豆腐でなければ、魅力的に感じたことだろう。


中身はこんな感じ。2個で1セットだ。


・えっ

とりあえず容器を逆さにし、中身をお皿にそれっぽく出してみたのがこちら。奇しくも皿がミントに合うグリーンだが、意図したものではない。わたくし、単にこの皿しか持ってませんの。まあでも、こうして見るとウマそうな気がする。


それではいってみよう。まずは一口。


……


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_人人人人人人人人人_
> チョコレートの <
> ほどよい甘さと <
> ミントの爽快感 <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄


マジかよ……! 普通にうめぇ!! チョコのほど良い甘さ! そしてミントの爽快感!! これは良いチョコミントだ。以前に流行したハードな感じのミントでは無く、ほど良い万人向けな優しいミント感。

豆腐にチョコミントを合わせたと聞いて誰もがイメージするであろう、クッソ不味そうな感じは皆無!! これはガチに全く何の問題も無く、チョコミント系のデザートとしてテーブルに出して問題ないヤツだ!

予想外の美味さと食べ易さから2パック目を空けてしまった。


ガチに食べやすいので、1袋程度は秒で消える。念のため2個買ったが、2袋目も余裕だろう。明日の朝辺りにはスルッと食べていると思う。


・正体は真っ当なスイーツ

オイオイ、嘘だろ? 「チョコミント胡麻どうふ」なんて、生まれる前から不味くなる運命を決定づけられたフード界きっての悲劇のヒロインなはずだろ! どうなってんだ?

予想外すぎたのでパッケージの原材料を見てみると、そこには納得の事実が。


材料のトップに来ているのは砂糖。続いて牛乳。「胡麻どうふ」と名乗るからにはマストな「ねり白ごま」は3番目だ。この手の表記は量が多い順番に記載されるもの。胡麻は最大勢力ではないと見ていいだろう。

他も水飴だのココアパウダーだの。材料的に、こいつは果てしなくスイーツだ。胡麻の風味は微塵も感じ取れなかったしな。徹底してチョコミントだった。そして表面の下の方にはこんな表記も。


もうここまでくれば確定だ。この「チョコミント胡麻どうふ」を作った ふじや食品は、狂気と無縁の所にいると見て間違いない。むしろこれは、狂気の産物だと思わせる巧妙な計略!

一見すると狂気に堕ちたかの如く見えるチョコミント × 胡麻豆腐の組み合わせ。誰もがこの商品はゲロマズで、話題性極振りの一発屋な商品だと思ったことだろう。

だが、恐らく全ては計算。彼らは話題性の確保のため「胡麻豆腐」だと名乗れる仕様を保ちつつ、ちゃんと美味しく食べて貰えるよう、それなりの苦労をして胡麻感を消し去ったのだ。

話題性の確保のためなら、ゲロマズ仕様で逃げ切っても良かったものを。美味く仕上げたところに、食品メーカーとしての誠実さを感じる。

これはインパクト極振りの狂った一発屋的な商品ではなく、よく練られた計算と技術、そして胡麻豆腐への理解を感じさせる高度な一品! 見かけたら、普通に買って後悔はしないぞ。マジでスッと食べられるチョコミントのプディングみたいな感じだから。

参考リンク:チョコミント胡麻どうふ
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.