みなさんお元気セヨ! 突然だが今韓国では空前の「おまかせブーム」が起きている。おまかせ? 何を? って聞かれたら答えてあげよう。そう。もちろん寿司のことだ。

日本で俗に言う「回らない寿司」の中でも高級店でネタ全て職人さんにおまかせするそれだ

・おまかせ大流行

YouTubeで오마카세(おまかせ)と検索してみると、これだけの動画が出てくる。寿司だけでなく、焼肉おまかせなど変化球もあるがやっぱりほとんどは寿司だ。


・贅沢する時代

最近韓国ではYOLO(You Only Live Once、人生は一度きりだからやりたい放題やる)とかFLEX(ヒップホップ歌手発祥、ブランド品などを買って贅沢すること)が流行っている。

それほど、今の韓国は自分のために贅沢する時代なのである。

だがしかし、今回調査したのは「格安おまかせ寿司屋」なのだ。普通に考えておまかせの前に格安がつくなんておかしい。格安の贅沢なんて無茶苦茶だろ。

どれだけ安いのか。さっそく行ってみよう。


・『おまかせ オサイ寿司 板橋(パンギョ)店』

板橋をイタバシと読みたくなるのはさておき、今回訪問したのが『オサイ寿司』だ。店名から「おまかせ」を名乗るなんて、今の韓国でどれだけ「おまかせ」という言葉が馴染んでいるのかわかる。

オサイ寿司はパンギョ店を含み韓国全国に4店舗あるらしい。4店舗とも同じく「おまかせ」形式。全店舗予約制で、コーススタート時間が決まっており遅刻厳禁である。

店はビルの1階にある。ガラス張りで中の席が丸見えであるのは日本の寿司屋では見たことない気もするがここは韓国。

ローマではローマ人のするようにせよ。まあ私も韓国人だけどね。店の前にメニューっぽい何かが立っている。見てみよう。


・気になるお値段


……………


……………??


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ランチ19000ウォン(約1900円)??


ディナー29000ウォン(約2900円)???


あちゃ、さっそくお値段公開となってしまった。この店、東京らへんの回らない寿司に比べたらとんでもなく安い。ランチに関しては全盛期の私ならスシローの方が高くつく。一体この値段でどんな寿司が出てくるんだろうか。


・入店

イラッシャイマセ!!

日本語で元気よく迎えてくれる店員さん。私は18時に始まるディナーコースを予約していたため、10分程度待つこととなった。ランチ3部、ディナー3部と時間帯を分け、お客さんが揃ったら一斉に始まる形だという。


・ディナーはドリンクワンオーダー制

席ごとに貼ってあるドリンクおよび追加メニュー。もちろん全部ハングルで書かれており、種類豊富ではないものの韓国焼酎、日本酒、瓶ビールと、揃うべきものは揃っている感じ。ちなみに韓国では、日本の居酒屋のように多種多様なお酒を置いてある店は珍しいのだ。

ドリンクはどこでも基本的に瓶単位で売っており、オサイ寿司では一番高いのが「純米大吟醸」という名前の日本酒(名前なのか?)で79000ウォン(約7900円)一番安いのがチャミスルと眞露で4000ウォン(約400円)だった。

今回頼んだのはイスルトニックセット(7000ウォン / 約700円)でチャミスルにトニックウォーターとレモンがついてくる。

チャミスルのトニックウォーター割り。チャミスルはクセのない分飲みやすいが、そもそも寿司と合うかっていうと微妙なところだった。


・コーススタート

ディナーコースは日本の回らない高級寿司同様、おつまみから始まる

刺身盛り合わせよりスタート。今日はヒラメ、マグロ、サーモン、〆サバだった。刺身の質は日本のスーパーのものというところだろうか。

次に茶碗蒸し。こちらも特別うめええええ!!! とはならないけど普通においしい、って感じだった。

ここで急に味噌汁。ん? ここで? 日本だとそう思ってしまうかも知れんが、韓国の寿司屋さんや和食屋さんではどこでも味噌汁が必ずついてくる。スープが大好きな民族性のための配慮って言ったところかな。


・ついにお寿司と対面

お待たせいたしました。ついにお寿司の登場。まずはヒラメ。小ぶりでシャリはやや柔らかめで甘め。お寿司ってよりは韓国化されたチョバブ(韓国語でお寿司のこと)って感じだ。

次に昆布と日本酒に漬けたサーモン江戸前寿司でサーモンは使われないはずだが、そんな細かいことはこの際どうでもいい。サーモンにうま味が足され、ねっとりした食感。うまし。


・二連続炙りネタ

炙りイカ&炙りえんがわなぜかここで炙りネタ連続。どっちも普通にうまい。


・変わりネタ

たこわさとトビコの軍艦たこわさの軍艦なんてスシローにあったような気もするが普通の寿司屋さんで見たことないような気がする。

揚げ茄子ここまで来るともうよくわからなくなってきた。揚げた茄子を天つゆに浸し、それを握ってくれる。もちろんうまいが、これも普通の寿司屋さんで見たことはないような気がするぞ。

蒸しアワビと肝ソース。アワビの半身であることからコスト削減の努力が感じられるが、柔らかく蒸されたアワビと肝ソースは上品な味でおいしかった。

セウジャン寿司。日本でも最近ではもう馴染んでしまってる「カンジャンケジャン」の海老バージョン。セウジャンの寿司。醤油ダレに漬かった海老がねっとり&プリプリでうまし!


・また炙る?!

炙りカジキ。ここでまた炙り。鮮度のわかりやすいネタは炙るなどしておいしくいただけるようにしてるのかな?

〆サバ手巻き寿司? と太巻き。〆サバ寿司をなぜか海苔で巻いて手渡ししてくれる。日本の回らない寿司でよく最後らへんに手巻き寿司の手渡しがあったような気もするが、それの真似かな?

あと、太巻きは韓国式のキンパではなくちゃんと日本の太巻きっぽい味で個人的には嬉しかった。なお、店員さんが「先着順2名海苔巻きの端っこが食べたい方は挙手してください!」という突発イベントもあり、私はしっかり端っこもいただいた。


・〆に入る

〆のうどんとデザート。ひと口サイズのうどんと五味子(おみじゃ)茶だ。普通においしかった。


・コスパ抜群で大満足

味やネタの鮮度はもちろん日本の「回らない高級寿司」と比べたら劣る。だがこの値段でちょっとした贅沢、いわゆる『プチ贅沢』を味わえる点は物凄くいいと思う。

長年にわたり日本本場の寿司で舌が日本人化してしまった私には何回か「うん?」って思うところもあったが、極力コストを抑えながらもうまいものを提供しようとする努力が感じられた。

全体的においしくいただけたし、サービスも丁寧でよく、コストパフォーマンス◎といったところだろう。


・韓国旅行で寿司を食べることはめったにないと思うが

韓国で格安おまかせ寿司を味わいたい方、オサイ寿司は韓国版NAVERのお店予約で予約を受け付けている。完全予約制であるため、あらかじめ予約&時間厳守だ。

私はしばらく韓国で暮らす予定なので、プチ贅沢したい日には愛用すると思う。また札幌でお寿司が食べたいが、しばらくはこれで我慢だ! それでは読んでくれてカムサハムニダ!

※レートは2022年5月17日時点のもの


参考リンク:NAVER「オサイ寿司板橋店の地図および予約サイト」(韓国語)
執筆:すんぴょんす
Photo:RocketNews24.