
童謡や絵本や人形劇など、子どもの頃から親しんできた「浦島太郎」のおとぎ話。登場するのは釣り竿を手にした青年で、しかも物語の鍵となるのはウミガメ。舞台は言うまでもなく海である。
ところが、先日旅行した長野県に「浦島太郎が玉手箱を開けた場所」があることを偶然知った。
ちょっと待て。長野といえば “海なし県” だし、ウミガメいないでしょ。なんだか筆者の知ってる浦島太郎と違うぞ……?
・「浦島太郎」の物語
地域や世代によって多少異なるかもしれないが、筆者の知る「浦島太郎」のあらすじは次のとおりだ。童謡の「むかし~むかし~浦島は~♪」の歌詞とほぼ同じ。
漁師の青年・浦島太郎は、近所の浜辺で子どもたちがウミガメをいじめているのを見かける。心優しい太郎はウミガメを助けてやる。
ウミガメはお礼に太郎を背に乗せ、海底の「竜宮城」に連れて行ってくれる。そこでは乙姫と呼ばれる美女や、魚たちの舞踊、ごちそうなどで大変にもてなされる。
素晴らしい時間を過ごしたが、太郎は残してきた老母のことが気になって地上に戻ることにする。「決して開けてはいけない」という玉手箱を受け取り、再びウミガメの背に乗って故郷に帰ってくる。
ところが、故郷の村には母親はおろか、見覚えのある顔が誰もいない。竜宮城で過ごした数日間(他説によると数年間)が、実は地上では数十年(他説によると数百年)の時間であったことを知り、太郎は愕然とする。
ふと思い出して玉手箱を開けると、もくもくと白い煙が出てきて、太郎はあっというまに白髪の老人になる……
────こういった話である。
ウミガメを助けるという善行をしたのに、まるで罰のように人生をロストしてしまい、太郎がじわじわと現実を理解していく過程は子ども心にもホラーであった。
・長野県に残る浦島太郎伝説
ここからが今回の本題。長野県に残る浦島伝説の地は「寝覚の床(ねざめのとこ)」という。木曽川の両岸に柱のような花崗岩が連なる絶景で、国の名勝にも指定されている。
この地に残る伝説によると、浦島太郎が玉手箱を開けたのは浜辺ではない。竜宮城から戻り、縁故者がまったくいなくなってしまった浦島太郎は、玉手箱をもったまま放浪の旅に出る。
長旅の末に木曽川にたどり着き、美しい川辺の景色に心の平安を得る。一説によると当地に住みつき、釣りなどをしながら長く暮らしたという話も。
いずれにしても、どこかの時点で玉手箱を開けたところ、伝承のとおりに白髪の老人の姿になってしまう。
ここで初めて「夢から覚めた」ような気持ちになったことから、「寝覚の床(ねざめのとこ)」と呼ばれるようになったのだそう。
どっちにしても浦島太郎かわいそすぎる! たまたま亀を助けたばかりにそんな目に……。
ウミガメを黙殺すればよかったのか。あるいは「お礼に招待します」と誘われたときに断ればよかったのか。この話は日本人にいったい何を伝えたいんだ。
現在ここには「臨川寺」という寺院が建ち、大人200円、中高生100円で拝観できる。
境内には、玉手箱を開けて老人になった浦島太郎が自分の姿を映したという「姿見の池」や……
亀にまつわる石像などがあり……
岩場を歩く健脚があれば、太郎を祀った「浦島堂」まで行くこともできる。なによりお寺のご本尊は浦島太郎が残したとされる弁財天像。宝物館には太郎愛用の釣り竿などが収められているのだそう。
ときにJR中央本線(中央西線)の電車が通過し、風光明媚なところである。中山道(なかせんどう)の名所・奈良井宿から妻籠宿への途中にあり、木曽路観光で立ち寄るのにぴったり。
なお、名勝そのものは寺院境内に入らなくとも鑑賞できる。大きな看板もあって「寝覚の床」=「臨川寺」のように思われるが、景色を見るだけなら複数の散策ルートがある。伝承に興味があれば境内へ……という感じだ。
・悲劇の男、浦島太郎
実は全国には浦島太郎伝説の残る地が複数あるといい、真偽のほどを議論するのもナンセンス。そもそも浦島太郎って実在したの? というところから検証しなければならない。
けれど、どうしてこんなストーリーになったのか、とか、どうしてこの場所なのか、などと考え始めるとなかなか興味深いものがある。
放浪の末に、海から遠く離れた長野にたどり着いた浦島太郎。地元の人と交流しながら暮らしたという逸話もあるので、そうだとすれば少し救いがある。ひとりの男の数奇な人生に思いを馳せてみるのもいいかもしれない。
参考リンク:上松町観光サイト、木曽広域公式観光サイト「木曽路.com」
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]
冨樫さや











現代の浦島太郎 !? 男性が “食材として売られていたカメ” をお助け → 海に放流!
【開けていいの?】なんと「玉手箱」を食べられる店があるらしいぞ! その正体は甘くてフワフワな “アレ” だった!! 東京・人形町『花』
【珍スポット探報】奄美大島に実在する「浦島太郎の別荘」へ行ってみた
【auの新作】三太郎にまさかの急展開! 本日7/7公開のCMで浦島太郎と一寸法師が「乙姫」にプロポーズ → 驚きの結果に!!
【閲覧注意】人気漫画家がリメイクした日本昔話がヤバすぎる / バニーガールになる笠地蔵など
【値上げ検証2025】スーパーとコンビニで「全く同じもの」を買ったら価格差はいくらになるのか → 絶望が待ち受けていた
【地獄の空気】あんなオペレーションが悪い「有名飲食チェーン店」は初めてだった
長野県民御用達の人気ローカルスーパー「TSURUYA(ツルヤ)」のプライベートブランドが強すぎる! 長野土産はスーパーで買うべきなのかもしれない
【検証】鍋セットを炊飯器に丸ごと投入したらどうなる? 時短ズボラ飯か、それとも地獄絵図か…
【天国】錦糸町の名銭湯「黄金湯」に泊まってみた / 昭和と令和が融合した銭湯天国を満喫!
【本日発売】「ローソンの福袋」(2160円)があまりにパンパンに詰まってて、持って帰るのちょっと恥ずい
中国の「渡航自粛勧告」から2週間、現在の「奈良公園」で目の当たりにした意外な光景
【中国渡航自粛】ガチ中華だらけの上野・アメ横に行ってみたら → 取材拒否の連続に…
【抽選結果速報】ケンタ福袋2026の抽選に編集部20人で応募してみた → さすがに泣いた
中国「渡航自粛要請」真っただ中の大阪・難波に行ったら、今後の街が心配になった
中国「渡航自粛要請」から2週間が経った京都市内「祇園」「清水寺」「錦市場」の様子を見に行ってみた
中国「渡航自粛勧告」から1週間経った、東京・浅草を見に行ってみた
【納得】ガストの「ジョブチューンで唯一不合格だった」メニューを食べてみた → 不合格にする気持ちがわかった
【検証】10年間ほぼ毎日飲んでる「コーヒー」を1週間断ってみたらこうだった
【は?】楽天で見つけた「在庫処分セール半額おせち」を買ってみた結果 → 届いた数日後にブチギレかけた
【雑草対策】カインズで598円「撒くだけで防草できる人工砂」の効果がヤバ過ぎた / お財布にも環境にも優しい超画期的アイテム
【検証】「スタバはどのサイズを頼んでも量は一緒」という動画が出回る → 実際に試してみた
【事故】楽天で買った『訳ありB級フルーツ福袋』を開封した翌日、妻から信じられないLINEが来た「メロンが…」
【auの三太郎】新CM『夢のスター篇』が公開!「アツい金太郎」vs「クールな桃太郎&浦島太郎」のオチに注目せよ!!
【珍スポット】なぜ密集!? 岐阜に太郎系公園が5つも。理由を調べたら、逆に謎が深まった
【auの新CM】三太郎はこうして出会った! 誰も知らなかった幼少期の感動秘話が本日9月6日公開!!
【auの三太郎】新CMで衝撃事実が判明! 桃太郎が「鬼退治のお供」をリストラか!?
【auの三太郎】雨の中で3人が行列に並ぶ『行列 篇』が公開! 金太郎のハンパない入れ込み方にも要注目!!
JR東神奈川駅の「御朱印風駅印」が最高にカッコイイ! 駅員さん直筆でデザインは浦島太郎伝説!
【老化】心を静めろ!オレなりのアンガーマネジメント! 第52回「箱開けたらいきなり老けたヤツが思ってそうなこと」
【au】浦島太郎こと「桐谷健太」さんが歌う『海の声』がクセになりまくる件 / 気が付けば20回くらいリピートしてた
次はお前だ! あの物語のその後! 四コマサボタージュNF第139回「浦島太郎のアフターストーリーでありそうな展開」
【auの新CM】ネタバレ注意! 三太郎の来年の目標を聞いて「鬼」が爆笑!! その意外な理由とは?
Amazon最低評価のヘアワックスを使ったら未来の自分に出会えた