夫婦生活を続けていると、思わぬところで相手の地雷を踏んでしまうことも多々あるが、まさか親子丼がトリガーになるとは想定外だった。繰り返すが、親子丼である。数ある丼の中でも比較的、穏やかな部類のキャラクターではないのか、あれは。

事の起こりは2022年2月24日。俺たちの心のとんかつチェーン「かつや」が期間限定の新メニューを発売した日にさかのぼる。本来ならば店舗まで足を運ぶところなのだが、その日は自宅にいる必要があったため、私(あひるねこ)は「出前館」を使って商品をデリバリーしたのだった。

・かつや新商品

新メニューの名前は『親子丼とタレカツの合い盛り丼(税込715円)』。220グラム超の大判鶏もも肉を使用したというボリューミーな一品だ。出前館だと税込800円だが、よく読むと税込1500円以上注文した場合、420円の送料が310円になると書いてある。ほう。


だったら2個注文して、一つは妻の分にすればいいだろう。そこで私は妻にこう確認した。「親子丼を注文するけど食べる?」と。そうしたら妻「親子丼? 食べたい!」


よし、注文した。


そして約30分後──。


出前館から商品が届いた。さて、言わずもがな私は生粋の “かつや者” であり、「かつや」のテイクアウトやデリバリーは過去に何度も利用したことがある。その上であえて忖度ゼロで書かせていただくと……この親子丼は見た目が悪すぎるだろ。

・正直レビュー

私のほかに注文が100人前くらい入っていたのか? 近隣の野球部と柔道部とラグビー部が一堂に集結したのか? だったら同情の余地はあるが、それにしても、もうちょい何とかならんかったのかと言わざるを得ない。調理実習で男子しかいなかった班かよ。

一応「かつや」の名誉のために書いておくと、去年発売された『親子カツ丼』最強のルックスだった。なので今回の親子丼も、店内で注文していたら違う結果になっていた可能性はある。たまたまタイミングの悪さが重なってしまったのかもしれない。


実際、親子丼の味自体はまったく問題なく、むしろ出汁が効いていてウマい。ボリュームに関しても通常営業で文句なしだ。

ただ……妻は何と言うだろうか。ただでさえ「かつや」の経験が乏しいからな。やはりブチギレられるだろうか? 恐る恐る差し出したところ……


「ちょ!」


カツでっか!!


え!? そっち!?


・別の切り口

どうやら妻は、親子丼以上に激しい存在感を放つタレカツの意味が分からなかったらしい。やや怒りのトーンでもって、私に以下のように畳みかけてきた。


「お前さん、たしか親子丼と言っとらんかったか? ワシは親子丼なら食いたいと言ったがなぁ……カツが食いたいとは一言も言っとらんぞコラ! 話が違うやろ、このダボハゼがぁ! 出るとこ出たろうか!? 出てもええんやぞ!? おお!?」


──ブチギレである(一部誇張しています)。たしかにこれは「親子丼」というワードに含めていいサイズ感ではなかった。私の想像の1.5倍くらい巨大だったぞ。

「かつや」のタレカツというと通常、中身は鶏ささみが定番なのだが、今回入っているのは分厚い鶏もも肉。それが全体のボリュームアップに拍車をかけている。妻が難色を示すのも無理はない話だ。

しかしいざ食べ始めると、むしろタレカツの方がお気に召したようで、「甘じょっぱい味付けが非常に良い」とご満悦の様子。こ、この妻、できる……! そう、タレカツと言えば「かつや」の中でも屈指のエース級。その実力に一発で気付くとは……さすが我が伴侶である。

・結果オーライ

いろいろとトラブル続きだった『親子丼とタレカツの合い盛り丼』。だが最終的に味とボリュームだけで相手をねじ伏せていく様は、いかにも「かつや」という趣で良きかなであった。次回はぜひお店の方でリベンジを果たしたい。

参考リンク:かつや出前館
執筆:かつや者・あひるねこ
Photo:RocketNews24.
ScreenShot:出前館(iOS)

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