皆さんの周りに、「やたら何かと経験が少ない人」はいないだろうか。

特に箱入りで育ったわけでもないのに未体験の事柄が多く、大した理由もないのに動き出すまでに腰が重く、かと思えばひとたび動き出した途端それまでの渋り具合が嘘のように浮つき始める、そういった人種を見たことがないだろうか。それが筆者である。

そして、そんな筆者にとって未体験の事柄のうちの一つに、ホットアイマスクがある。最近たまたま「これは良さそうだ」と思える電気式かつコードレスのホットアイマスクを見つけたため、とうとう手を出してみようかという境地に達した。以降よりレビューしていきたい。

ウェブライターという仕事に就いている関係上、加えて仕事であろうがなかろうが常日頃からディスプレイにへばりついている生活様式上、人並み以上に眼精疲労が溜まっているという自負はある。

ゆえに以前からホットアイマスクなるものに興味は抱いており、そこで見つけたのが件(くだん)の商品、2021年11月1日に株式会社トランスペクトから発売された「PriO コードレスホットアイマスク」だ。

改めて説明すると、このアイマスクはUSB充電式で「前もって充電しておけば、いつでもどこでも使える」点が最大の特徴である。

さらに言えば、約24.0cm×9.5cmのカバー部分はシルク100%で出来ており、そのカバーも手洗い可能と、心惹かれる要素が揃っている。

もっと言えばアイマスクのみならず、充電用のUSBケーブル(アダプタは別売)や、サテン生地の専用ケースも付属していて、これで価格は3960円という中々のお手頃ぶりだ。

前述したように何かにつけて「出不精」ならぬ「チャレンジ不精」の筆者だが、その心を動かすのに十分な訴求力を持っていると評することができるし、要するに良さそうな商品だったので購入した。

しかし、買っておきながら「本当に疲れに効くのか」という気持ちがないわけではない。温まれば疲れが取れるという理屈はわかるが、「チャレンジ不精」の人間は往々にして妙に懐疑的な一面も持っているものである。

ともあれ、実物は手元にあるのだから試すのが一番だ。実際にマスクに触れてみると、つるつるとした滑らかな感触に心がときめく。早くも「良さそう感」が盛り返してきた。

その勢いのまま、カバーの中からアイマスク本体を取り出し、そこにUSBケーブルを差して充電する。

1時間ほど経って充電し終えたのち、初めてのホットアイマスクを装着。

きつくもなく、重くもなく、シルク生地は柔らかく、上々の着け心地だ。遮光性も申し分ない。あとは左目部分のスイッチを操作して起動するだけだ。HighモードとLowモードの2つの加熱モードが備わっているとのことで、まずはHighモードを実行する。

スイッチを押すと、1分から2分ほどかけて、眉間の辺りからじんわりと熱が広がっていき…

熱が目元を覆う頃には、筆者はホットアイマスクの魅力をひしひしと味わっていた。

感覚としては、蒸しタオルを置いているような温かさに近い。それでいて蒸しタオルよりは正確に「患部」に作用してくるような、普段意識したことのない目の奥の芯からほぐれていくような、そんな快さがある。

自然に顔が、ひいては全身が緩んでいく。頭はぼーっとしているが、血が巡り流れているのは冴え冴えと認識できる。「憑き物が落ちる」ならぬ「凝り物が溶ける」とでも表せばよいか。とにかく、安らいでいる。

自分の中で、「良さそう」がすっかり「良い」に変わっていた。もう1度スイッチを押してLowモードに切り替えると、Highよりも一層優しい温かさになり、これはこれで心地良い。いずれのモードにせよ、目元が淀みなく温まってくれる。

商品説明にはグラフェンと呼ばれる熱伝導に優れた素材が使われていると書いてあったが、そのおかげだろうか。いや、細かい理屈は今は言うまい。事実として気持ち良く、試してみた結論として、疲れに効いているのだ。

その証拠に、筆者はいつの間にか「パッケージに載っているモデルの人のやや気色悪い版」のような状態に陥っていた。この絵面が何よりも雄弁に性能を物語っている。

ちなみに1時間の充電でHighモードでは約70分、Lowモードでは約100分使用できるため、ひとたび没入すれば長く浸れることは保証されている。携帯もしやすいし、あえて粗探ししたところで、粗を見つけることが難しい優れモノだと思う。皆さんにもぜひお勧めしたい。

それにしても、なかなか手を出さずにいたホットアイマスクに、最終的にすっかり夢中になってしまった。冒頭で述べた通り、見事に浮ついてもいた。恥ずかしい。恥ずかしいが、心地良い。まさしく「熱に浮かされた」と言ったところだろうか。

参考リンク:株式会社トランスペクト「PriO コードレスホットアイマスク」
執筆:西本大紀
Photo:Rocketnews24.