2021年9月8日から『世界のうまいもん祭』を絶賛開催中のスシローだが、実は同日からテイクアウト限定で興味深い新作の販売を開始していた。

それが「海鮮ばらちらし」だ。お値段は税込み640円。既存の「海鮮ちらし(税込み610円)」よりも具材を細かくカットしたのが特徴のよう。今回は、この新型と既存のちらし寿司を細かく比較し、違いを暴いてみたいと思う。また、同時に復活した「天然車海老の押し寿司」もレビューしていくぞ!

・比較してみた

さっそくテイクアウトしてきたのがこちら。既存の「海鮮ちらし」は正方形の容器に入っており、新型の「海鮮ばらちらし」は長方形の容器に入っている。若干「海鮮ばらちらし」の方が量は多いだろうか。


スシローでテイクアウトなんてしたことねぇ! 既存の「海鮮ちらし」がどんなモノかも知らねぇ! ……という方もいるかもしれないので、簡単に説明がてら、先に既存の方から細かくチェックしていこう。


・既存の「海鮮ちらし」のスペック

こちら、わりと普通にちらし寿司なのだが、乗っている魚介類系の具材が全ていつものスシローの寿司ネタそのままなのだ。あのシャリの上に乗っている、やや長方形チックな形状のまま、酢飯や錦糸卵、刻み海苔の上に並べられている感じ。


これを新型と比較するわけだが、やはり読者の皆さんが最も気になるのは「魚介系の具材の量は違うのか?」という点ではないだろうか。酢飯だの錦糸卵だの海苔だのよりも、やはり魚介類の量。

ということで、ちらし寿司から海老おぼろ(海老で作った桜でんぶ的なピンクのやつ)を除く海鮮系の具材だけを分離し計量してみたところ、82グラムだった。余談だが、「海鮮ちらし」は具材のセパレートタイプを選べる。ミスって通常版を買ってしまったが、セパレートにすればよかった。


魚介系の具材に付着した 海老おぼろ と刻み海苔の重さが少しばかり含まれている点。また、普通の寿司でもネタのサイズには多少の差があって当然だと思うので、常にこの重さではないだろう。だいたいの目安だととらえておきたい。

そして重さと同じくらいに、海鮮系具材の種類にも注視したい。内容は仕入れ状況で変わってくると思われるが、今回購入したサンプルから抽出できた魚介類は9種類だった。

およそ寿司9貫分の魚介類が乗っていて、税込み610円。シャリの総量については不明だが、店内にて寿司スタイルで食べた場合と比較して、コスパは同等か、あるいはやや勝っているかもしれない。元からコスパ高めなテイクアウトメニューだと思う。

ちなみに容器の深さはこんな感じ。


・新型の「海鮮ばらちらし」のスペック

それでは「海鮮ばらちらし」についても同じようにチェックしていこう。こちらは最初から魚介系が細かくカットされ、全体にちりばめられている。トッピングを抽出する作業は既存の「海鮮ちらし」よりも困難。なるべく見落としが無いように抽出して計量した結果、85グラムだった。


より 海老おぼろ や刻み海苔の混入が激しいため、誤差もそれなりに大きくなると思われる。しかし、この結果は既存の「海鮮ちらし」とほぼ同等と考えて良いのではないだろうか? 価格差が30円なので、コスト的にも順当な結果だと思う。

ちなみに、抽出した具材を種類別に並べなおしてみたところ、こちらは7種類だった。そして、それぞれの具材の量が、ほぼ握り用の切り身1貫分を刻んだ量に相当することも明らかに。

なお、公式HPに掲載されているトッピング内容と少し違うが、やはりその辺りは仕入れ状況や在庫で変わるということだろう。


容器の深さも「海鮮ちらし」と同じくらい。容器の面積の差で、酢飯の量は恐らく「海鮮ばらちらし」の方が多いだろう。カットする手間や、非海鮮系としてスルーしたが「海鮮ばらちらし」には寿司ネタ用の卵焼きも入っていることをふまえれば、たった30円だけ高いというのはお得かもしれない。


・カット済みの強み

ということで淡々とスペックを比較してきたが、実際に食べて得られる感想もまた重要だ。まず既存の「海鮮ちらし」だが、安定して美味しいのは間違いない。恒常のテイクアウト用メニューなだけあって、普通にウマい。

寿司ネタがそのまま入っていることは、特にデメリットではない。海老を食べている時は海老を、マグロを食べている時はマグロを食っているという実感がしっかり得られる。

しかし、ここは新型の「海鮮ばらちらし」の勝ちとしたい。「海鮮ちらし」を食べている時に不満は全く無かったのだが、「海鮮ばらちらし」を食べたことで、両者の差が浮き出てきてしまったのだ。

魚介類が細かくカットされているということで、箸でつまんだ一口サイズの中に複数の魚介類が自然に含まれてくる。これは既存の「海鮮ちらし」では通常起こり辛い状況(この「海鮮ちらし」を自然に食べる際、複数枚の切り身を1回で口に運ぶスタイルは、きっと一般的ではないはず)だと思うが、それが美味い。


かといって、そこまで小さくカットされているわけではないため、特に無理をすることなく特定の魚介類のみを狙って食べることも可能。「海鮮ちらし」で可能だった食体験を維持したまま、新たな食体験が可能になったという感じ。ほぼ同等のコスパで、新たなウマさ。これは推せると思う。


・復活の高級ネタ

この「海鮮ばらちらし」の登場と同時に、5月に期間限定で登場した「天然車海老の押し寿司」も復活している。筆者は今回その存在を初めて知ったのだが、ちらし寿司のレビューをするべく初日の夕方辺りに公式アプリで近隣の店舗のメニューをチェックしていたら、この押し寿司が近所の数店舗ですでに売り切れていることが発覚。

ちなみにお値段はフルサイズで税込み970円。スシローのメニューの中では高級な部類に入ると思う。それが速攻で売り切れていたのだから、どんだけ人気なんだよ! と気になってしまったのだ。

幸い売り切れていない店舗があったので、そちらでゲット。


こう言ってはなんだが、ビジュアル的にはなんだか地味に見える。ぱっと見は、酢飯に加熱済みの海老が乗っているだけだ。と、そこで横から何かがはみ出ていることに気付いた。


何かが仕込まれていそうなのでバラしてみると、中から出てきたのは 海老おぼろ と ガリ だった。


はあぁ、きっとこれが美味さの鍵なのだろう。食べてみると……なるほどね。まず、ビジュアル的には海老がそこまで乗っていないように見えたのだが、通常の寿司に照らし合わせると握り2貫分弱くらいが1貫分に乗っている印象。押し寿司なので、圧縮されて海老がシャリにめり込んでいたのだ。お高めなのはそのせいだろう。

単純に海老が多いので、その分旨味も濃厚。海老好きならこの時点でそこそこ満足感が得られそう。しかし、もし海老だけだったら少し淡白で曖昧な味に感じられるかもしれない。そこを 海老おぼろ の甘みが彩り、ガリのピリッとした酸味が締めてくれる

とても上品な美味さだ。そのまま食っても美味いし、醤油をつけても美味い。復活を待っていたファンもいるのだろう。そう感じさせるクオリティだった。税込み500円でハーフサイズもある(筆者の近所ではフルサイズ以上に売り切れていたが)ので、気になっているが値段的に踏みとどまっていた方は、そちらを買ってみるのはどうだろう。

ということで、スシローが9月8日からスタートしたテイクアウト専用の2商品をチェックしてみたが、いかがだっただろう。個人的にはどちらもしっかりと推せるクオリティで、スシローはテイクアウト面での強化にも隙は無かったという感じ。皆さんも、是非食べてみて欲しい。

参考リンク:スシロー
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.

▼「海鮮ばらちらし」はオフィシャルにはネタが9種。今回ゲットしたものが7種だった点については、仕入れや在庫状況によるものだと思う。筆者は19時ごろに買いにいったのだが、駐車場に停めた車の中で待機する人もいるほど凄まじい混雑で、40分待ちだった。恐らく各種ネタも、その日の分の品切れが近かったのではないだろうか。