以前より興味はあった。しかし、もう少し若い頃であればいざ知らず、今になって気軽な気持ちで足を踏み入れるにはハードルが高いように感じていた。『宝塚歌劇』の話である。
関西に住んでいながら、このまま触れずに終わるのかと思っていたのだが、ひょんなことから観劇することになった。未だかつてない体験に感動したことは言うまでもない。同行した男性らの意見も交え、その感動を伝えられればと思う。
・はじめての宝塚歌劇
基本的によほど激しい衝動に駆られた時以外は、自ら進んで行動することのない記者。上記の通り宝塚歌劇にはとても興味がありながら素人には立ち入れないもののように感じ、触れる機会のないまま過ごしてきた。
今回は友人(40代男性)の熱心な誘いにより、奮い立たされた次第だ。彼も以前より見てみたいと思いながらも、ひとりで行く勇気がなく記者に声をかけたという。
折しも2021年8月現在上演されているのは『CITY HUNTER(シティーハンター)―盗まれたXYZ―』。記者が原作ファンであること知る友人は、これならば誘いに乗って来るに違いないと踏んだらしい。
そんなこんなで、もうひとり(30代男性)誘いをかけ、3人がかりで宝塚へと乗り込むことにした。全員が宝塚歌劇初心者であるが、誰かと一緒というのはやはり心強いものだ。
いざチケットを取ると、その日が待ち遠しくて仕方がない。当日着る用にと、ネットでシティーハンターのTシャツを購入するなどして、はやる気持ちを抑える。
・お客さんもオシャレ
さあ、いよいよだ。記者は車で宝塚へと向かったのだが、まず驚いたのが街の様子。宝塚大劇場の周りだけ、ほかの空間からは隔絶されているような空気を感じた。
まるでそこだけ違う世界のようなのだ。建物や配色がそうさせているのだろうか。足を踏み入れるだけで非日常さを味わうことができ、ただその場にいるだけでワクワクする。ディズニーランドに近い感覚だ。
訪れる人を見ていると、みなさんゴキゲンであることがわかる。身に着けているものも、一様にオシャレできらびやか。記者のようにシティーハンターのTシャツでキメている人は……当然ながら皆無だった。
「ちょっと予想してはいたけどミスったな」と肩身の狭い思いをしながら友人を待つ。すると向こうの方から、今から釣りにでも行くのかなといういで立ちの、シティーハンターに登場する海坊主さながらな姿が現れた。
類友だと苦笑しつつ、初心者らしく各所で記念撮影を交えるなどして、いざ劇場内へ。記者が想像していたよりは、こじんまりとした舞台だ。この空間で一体全体、どんなエンターテインメントが繰り広げられるのだろうか。
・男女関係なく大興奮
結論からお伝えしよう。舞台のストーリーについては今回触れずにおくが、観劇後大変満ち足りた気分だった。なんとなく脳内に合った宝塚歌劇のイメージそのものの世界、いやそれ以上のものがそこにはあった。
とにかく演者のみなさんが、頭から爪の先まですべてカッコ良い。声も歌も踊りも素晴らしいし、衣装は素敵であるし、細かな舞台セット作りで音楽もとても良い。息をするのを忘れそうになるほど、一瞬で引き込まれる。
友人も、あまりに集中し過ぎたのだろう。前のめりが止まらず、スタッフに注意されてしまったほどだ。褒められたことではないが、それくらい熱中してしまう舞台だったのだ。
ちなみに素人すぎる記者たちは幕間があるとは知らず、途中で帰りそうになったことはココだけの秘密だが、2部構成になっていてボリュームもたっぷり。もっとチケット代を取ったほうがよいのではないかと不安になるほどだ。
このステージを見て胸がときめかない人は、果たして存在するのだろうか。ワクワクとドキドキと、圧倒的な美しさが詰まっていた。観劇後、興奮気味で友人らと感想を伝え合ったことは言うまでもない。
要約すると
「かっこ良くて楽しかった! また来たい!! 」(30代男性)
「舞台転換の鮮やかさと、奈落や回転台などの工夫に感動した。あとは羽」(40代男性)
──とのことである。
素人目には女性ファンが多いように見えていた宝塚歌劇だが、男性もあっという間に虜となったようだ。なんなら彼らは書籍やDVDなど、関連グッズを買い集める勢いだった。
落ち着いて客層を観察すると、ちらほら男性の姿もある。自身の勝手なイメージを改めなければならないと感じた瞬間だ。宝塚歌劇は、男女ともに楽しめ愛されるものであることを胸に刻みたい。
なにはともあれ、今回の体験でなんとなくではあるが、宝塚大劇場での身の置きどころをつかむことができた。言うまでもなく、また行きたいと思っている。宝塚歌劇の情報チェックが日常の一部となる日も近いだろう。
参考リンク:宝塚歌劇
執筆:K.Masami
Photo:Rocketnews24.
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