
そば打ちとは、長年の修行と研究によって身につく高度な職人技である。だからこそ人は職人を尊敬し、全国の名店を訪ね……って自宅でそば打ちができるセットだと!?
販売はタカラトミーアーツ、つまりクッキングトイなのである。本当に打てるのか? 遊びでそばが打てたら職人はいらんだろ!?
・「そば打ち名人」(税込4378円)
本当にシロウトに手打ちそばができるのかチャレンジしてみたい。セットは本体、のし板、のし棒などで構成されている。漆器を連想させる黒と朱なのが、ちょっと粋(いき)である。
家庭で用意するのは「そば粉」と「うどん粉」。少し大きめのスーパーなら取り扱っているだろう。
まずは本体に「そば粉」と「うどん粉」を入れる。十割そば、二八そばなど、この比率によって仕上がりが変わり、標準レシピでは「そば粉120g : うどん粉80g(6 : 4)」となっている。
本体はただのボウルではない。ハンドルを取り付けると……
ぐるぐると軽く回すだけで材料が混ざる仕掛け! 粉が飛び散ることもなく、非常~に合理的である。2色の粉が混ざっていくのは見た目にもおもしろい。
さらに、水を混ぜるための注入スポットに驚きの秘密があった。小さな穴が空いていて、ポタポタと少しずつ水滴が落ちる。ハンドルを回して常に粉を動かしているから、水が1カ所に偏らない!
なんでもそば打ちでは、水を均等に行き渡らせる「水回し」が、もっとも難しい工程といわれているのだそう。水が多すぎても少なすぎてもダメ。その最大関門をマシンがフォローしてくれる。この子、賢い!
決まった水の量(今回の場合は100cc)はあるのだが、一気に入れずに少しずつ加減することが推奨されている。「5ccずつ増やす」というくらい繊細なものらしいぞ。
水加減に満足したら、マシンに「こねベラ」をセットすることで生地がまとまってくる。この時点まで、本体だけで作業が完結する。
簡単にフタを開けられるので、粉の状態を指でチェックしながら進める。マニュアルには「粉の理想的な状態」が写真つきで丁寧に解説されていて、それに近づくように調整。「おから」のような生地が生まれた。
次のステップ「くくり」だ。ここでようやく自分の手が登場。折りたたみながら丸めていく。
水分が少ない場合は足せばいいだけだが、多すぎた場合はリカバリーに限界があるので「そばがき」にして食べることになる。筆者はそばがきが大の苦手なので、それだけは避けたい!
そばは好きだが「そばがき」や「もんじゃ焼き」のような歯ごたえのない食べ物がどうにも喉を通らないのだ……。
戦々恐々としていたが、なんとか生地がまとまりそうだ。次のステップ「のし」に進む。
過去記事でもパンやパスタを作ってきたが、そばの場合は「寝かせ時間」「発酵時間」がまったくいらない点が大きく異なる。粉の状態から「食べ物」になるまでが早い。スピードが命なのだという。
専用の「のし板」も工夫が凝らされている! 「厚み調整ガイド」というパーツで段差ができるので、のし棒がこれよりも下には落ちない。均等な厚みで伸ばせるというわけ。厚み(=そばの太さ)は2種類あるからお好みで。
このとおり、まったくのシロウトでも美しく生地を伸ばせる! 厚さも完璧、生まれたての肌のようなスベスベ感である!!
最後の工程「切り」だ。ここでも「こま板」というドラえもんバリの秘密道具が登場し、包丁をガイドしてくれる。切ったら包丁で「こま板」をちょっとだけ押してずらし、また切って……を繰り返す。
「こま板」は「のし板」にぴったりフィット。生地を押しつぶすこともなく、簡単にスライドできるようになっている。細部にわたって「どこで失敗するか」を研究し尽くしている印象!
ただ、この商品の唯一にして最大の弱点もあった。そば切り包丁のような直線的な包丁がないため普通の包丁を使ったら、すこぶる相性が悪い。「のし板」はプラスチック製で「たわむ」感覚があるし、刃先が当たってプラスチックが削れてしまう場面もあった。
けれどもなんとか「切り」終了。あとは普通のそばと同じように鍋で茹でるだけだ。完成である!
・長生きはできない
見た目ははっきりいって、店で食べるものとは似ても似つかない。店頭で出てきたらテーブルをひっくり返すレベルであろう。
まず「均等な太さで切る」ということができていない。ちぎれそうに細いものから、きしめんのように太いものまで、てんでバラバラ。くねくねと妙なウェーブもついている。
さらに、なかなか麺がほぐれず1本に伸ばせなかった。ほぐす過程や、茹でる過程でブチブチとちぎれてしまっている。これでは年越しに食べても寿命が延びるどころか、明日にも死にそうである。
けれども、打ちたてのそばは、控えめにいっても美味すぎる!
もともとの粉が美味しかったのかもしれないが、そばの味がしっっっかりして濃厚な味わい。それでいてフレッシュな爽やかさもある。
不意打ちのように、うどんのような極太麺が自己主張してきて不快ではあるが、歯ごたえもいい! 手前味噌で恐縮ながら「かなり美味しい」そばである。これが……自宅でできるなんて……!
・ポテンシャルあり
たぶんもう1度トライしたら、かなり上達するのではないかと思う。失敗しそうなところを、すべて先回りしてサポートしてくれる商品で、最後の「切り」さえ上手くいけば完璧だ。そば切り包丁などは別個に買ってもよい。
これは「おもちゃ」の域を超えて、またやってみようと思わせるポテンシャルがある。数万円ほどの大人向け本格そば打ちセットは見かけるが、ここまで工夫を凝らした商品は初めてではないだろうか。
子ども向け、と侮るべからず。「絶対に失敗させない」というタカラトミーの心意気を感じる。道具は徐々に買い足していけばいいし、初めてそば打ちに取り組む人への入門編としてはオススメだ。そば打ち、本当にできた!
参考リンク:株式会社タカラトミーアーツ
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.
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冨樫さや






















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