でも片道1000円でしょ? しかも、たった5分だし……。オープンしたニュースが出た時、各種SNSのネット民からは、この様な反応が少なからず出ていたように記憶している。

通称「横浜のロープウェイ」や「みなとみらいのロープウェイ」こと『YOKOHAMA AIR CABIN』だ。しかし、乗ってみたいという肯定的な意見もそれなりに上がっていたように思う。実際にはどのような感じなのか気になったので、試しに乗ってみたぞ!

・桜木町

ということでやってきたのは桜木町駅前。駅を出てすぐのところに、目的のロープウェイ乗り場がある。この建物の2階部分でチケットを買い、そのまま乗りこむしくみだ。


「片道1000円」というのは広く知られていると思うし、実際にその通りではある。だが、往復の場合は1800円と少しだけお得になる。この他にも団体割引や子供料金、障がい者割引などもあるため、その辺りは公式HPを参照していただきたい。

また、近くにある観覧車「コスモクロック21」とのセット券も売られているようだ。


・今なら独り占め

キャビン部分は床と座席部分以外は全方位が窓のようなもの。しかし、外から中は見えづらいようになっているため、プライバシーは確保されている。


公式HPによると定員は1台につき8人。だが、日本人男性の平均よりも低身長かつ細身な筆者が乗ってみた感想として、このサイズで8人はNGだろう。乗りながら、おっさんが8人詰め込まれた状況を想像してみたが、ラッシュ時の山手線かよという感じになる気がする。

幼稚園児くらいなら8人でもイケるかもしれないが、大人だと窮屈感は否めないと思う。恐らく、スペック上は8人まで乗せられる……というだけの話であって、実際に8人まで詰め込んで運用することはないのではなかろうか。

筆者の体感だと、快適に乗れるのは、同じグループで大人が5人くらいまで。もし一人で来て、見知らぬ他人やカップルとの相乗りになったら、ちょっとお断りしたくなる広さだと思う。


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スタッフの方に聞いてみた所、コロナ禍の現在は1グループにつき1台を割り当てているそうだ。つまりカップルならカップルだけで、1人なら独り占めすることができる。コロナ収束後はどのようになるのかも聞いてみたが、今のところは未定だそうだ。


・眺めが良い

まずは良かった点を述べていこう。何よりも間違いないのは、眺めが良いという点だろう。


みなとみらいはどこでも大体眺めが良い……と言えばそれまでだが、ロープウェイからの眺めは唯一無二のモノだ。およそ5分間と短い時間かつ、それなりに揺れたり、ガラスの反射があるため簡単ではないかもしれないが、スマホで映える風景を撮ることもできるだろう。


・そこそこ揺れる

次は、人によっては微妙に感じそうな点について述べよう。まずは、上下の揺れがそれなりにある点だ。高所恐怖症の人にとっては(そもそも乗らない気もするが)ハードモードかもしれない。

参考までに、横からのロープウェイの描く軌跡がわかる写真も乗せておこう。中心下あたりの虹色のラインがロープウェイの光の軌跡だ。途中のケーブルを支えるタワー部分の前後で特に激しく上下する。まあ、この辺りはあらゆるロープウェイに共通するものだと思うが。


また、状況によっては途中で急停止するケースがある。筆者の場合は体が不自由な方の乗降のための停止だったようだが、この時の急停止とそれに伴う揺れは中々のモノで、アクシデントではないとわかっていても正直ちょっと怖かった


・観光やデートならアリ

こうして往復で利用してみたわけだが、筆者の総評としては観光やデートでならアリ……といったところだろうか。もし、みなとみらいが地元や職場などで、この辺りの風景も見慣れたものであれば、正直乗るほどのものではないと思う。せいぜい好奇心を満たすための最初の1回で十分という程度。

そういう方はきっとご自分でも「まず乗らないな」という自覚をすでにお持ちなのでは? 値段など関係なく、そもそも不要だったという感想を抱いていたりする方もいるかもしれない。

だが、横浜とは縁もゆかりもない地域の方の視点に立てばどうだろう。遠方からやってきての観光の一環としてであれば、乗って損はないように感じた。1000円は確かに割高に感じなくもないが、滅多に来ない土地の観光の思い出としてはそう悪くない

横浜になじみがある人でも、例えばデートなどでこのエリアを活用するカップルは多いだろう。周辺のお出かけスポットと言えば、山下公園、実物大ガンダム、大さん橋、そして赤レンガ倉庫などが挙げられると思うが、これら全てを1日で歩いて回るというのはよくある話。


よくある話ではあるが、実際に歩いてみると疲れるものだ。帰り道に桜木町駅まで汽車道を歩く行程を、ロープウェイで楽できるというのは、無視しがたい魅力となり得るように思う。

徒歩だと大体15分程度のルートとはいえ、例えばヒールの高い靴で1日頑張った女性などにとってはどうだろう。筆者としても、もし同地区を重い機材を背負って取材などした帰りに、駅までの15分を歩かずに済ませるためだけに1000円出すのはアリだと思った。

ということで、安定した乗客数は確保できそう……というのが筆者の感想だ。もっとも、それが運営を維持するのに十分かどうかは何とも言えないが。ちなみに筆者が訪れた時は、桜木町側からは待ち時間無しで乗れたが、コスモワールド側からはそこそこ列ができていた。やはり駅までのルートが人気なのだろうか。

最後に、ネットで「景観を損ねるのでは」というコメントもちらほら見かけたが、実際に見ると、個人的にはイイ感じに横浜の風景になじんでいるように感じた。ド派手なコスモクロック21と相まって、景観が豪華になった感すらある。ロープウェイを活かした、新しい撮影スポットも生まれそう。

参照元:YOKOHAMA AIR CABIN
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.

▼コスモワールド側から桜木町駅に向かうルート。20秒辺りで揺れながら停止する。