昨日公開されたザックKT-4先生の漫画「四コマサボタージュR」をもうご覧になっただろうか? 第79回『ぶつかりおじさん』というタイトルで、こちらはかなり多くの人に読まれているようである。ザック先生の四コマはどれも面白いので、未読の方はぜひチェックしてみて欲しい。
さて、この回はタイトル通り、わざと女性にぶつかる迷惑なおじさんをテーマにしているワケだが、実は多くの男性にとって、こういった「ぶつかりおじさん」は実際には見たことがない都市伝説のような存在だったりする。私(あひるねこ)もそうだった。ところが……。
この漫画を読んで、私は過去に自分が「ぶつかりおじさん」をバッチリ目撃していたことを思い出したのだ。
・女性にぶつかるという行為
数年前から取りざたされている「ぶつかりおじさん」問題。2018年に公開された記事では、当編集部のサンジュンが女性記者2名に話を聞いているが、そこで彼は「ぶつかりおじさん」の存在について、「『またまた~』『そんなヤツいるハズないでしょ(笑)』と思っていた」と書いている。
また、件の四コマの最後でザックKT-4先生が、「ニュースで報道されているのを見かけた時には『酷いことをするなぁ……』って感想より、『マジでいたんだ……』って驚きの方が先に出てきた」と述べていることからも、「ぶつかりおじさん」がいかに男性の目に入っていないかが分かるはずだ。
それは私もまったく同様で、かつてそんな狂犬に出くわしたことは一度もないと思っていたのだが……あった。そういえばあった。去年、コロナが本格化する直前のJR池袋駅で、私は「ぶつかりおじさん」が女性にぶつかる瞬間を目撃していたのである。
・よみがえる記憶
そうだそうだ、そうだった。池袋駅の改札を出てサンシャインシティ方面に向かって歩いている途中。あれはたしか「銀だこ」がある通路だったか。私の少し前を歩いていた50代くらいの男性が、まさに「ぶつかりおじさん」だったのだ。
といっても、後ろから見る限りはスーツを着てビジネスバッグを持った、白髪交じりの普通のおじさんである。ヤバそうな気配は微塵も感じられない。ところが……前から30歳くらいの女性が歩いてきた時、私はおじさんの様子に奇妙な違和感を覚えた。
・荒ぶるおじさん
普通、混雑している道を歩く時は、前から来る人とぶつからないように多少なりとも気を遣わないだろうか。少し横に避けたり。でもそのおじさんは、1ミリも進路を変えず、女性に向かってまっすぐ直進していったのだ。なんなら軽くアクセルを踏み込んでいる。
その結果、おじさんの肩が女性の肩にバーーーン! とぶつかり、というより衝突し、女性はバランスを崩す形でその場で立ち止まってしまった。一方のおじさんはというと、なんと完全ノーリアクションで歩き去っていったではないか。女性は「え?」みたいな表情でおじさんの方を振り返っている。
この間(かん)、時間にしてわずか数秒。気付くとおじさんは雑踏の中に姿を消しており、女性は私の横を通り過ぎていった。突然の出来事にやや呆然としながら、そのまま出口に向かって歩き続ける私。そうか、あれが「ぶつかりおじさん」なのか……。
・判断に迷う
いまだに正解が分からないのだが、ああいう時はどうしたらいいのだろうか? 仮におじさんを取っ捕まえて問いただしたとして、「ぶつかっただけ」「向こうからぶつかってきた」と言われたらお終いな気がする。
女性に一言「大丈夫ですか?」と声を掛ければよかったのだろうか? でも私だったら、そういう時は誰にも話し掛けてほしくない気もするし……。駅員に伝える頃にはすべてが終わっている。目撃者として、一体何が正解だったんだ?
わざと女性にぶつかる超迷惑な「ぶつかりおじさん」。見るからにヤバそうな風貌の男ならまだしも、ごく普通のおじさんが、ザック先生曰く路上の弾道ミサイル化する光景は意味が分からないし恐怖でしかない。
初めてその現場に居合わせた私は、不甲斐ないことにびっくりして何もできなかった。ぶつかられた女性の痛みや困惑が入り混じった表情を思い出すと、後悔の念がふつふつと湧きあがってくるが、再び同じ場面を出くわした時、私に何ができるだろうか。
女性だけでなく、男性も真剣に考えていくべき問題だと思われる。とりあえず世の「ぶつかりおじさん」たちには、今すぐ死滅していただきたい。
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.