俺たちの心のとんかつチェーン「かつや」が先日、2021年最初の新商品を発売した。正確には1月8日発売だったのだが、諸事情により当日は食べに行けず。その結果、読者から早く記事を出せという催促の声が寄せられる事態に。お前ら「かつや」に飢えすぎだろ。

そこで遅ればせながら、新商品の『胡麻担々チキンカツ』を食べてきたのだが……結論から言おう。「かつや」よ、お前は一体何をやっているんだ? ここで打たなくていつ打つ? 今しかないだろッ! チャンスを棒に振るとはまさにこのこと。よって不本意ながら、新年一発目から喝! カツ!! 喝だァァァァァアアアア!

・かつやの新商品

2021年の「かつや」期間限定メニュー第一弾は、チキンカツ&胡麻坦々という意外にも中華な組み合わせだった。おせちに飽きた頃合いでいきなり麻辣(マーラー)を食らわせるというショック療法にも似たやり口……やはり「かつや」は今年もやってくれる。



丼は税抜590円、定食は税抜690円となっており(単品は税抜490円)、どちらにするか迷った結果、メニュー写真的に推してるっぽい定食の方をチョイスした。あとは口を中華の口にして待つだけだ。とは言え、カツを揚げる油の香りが漂う「かつや」店内では、なかなか中華のモードにはなりにく……


なったアル。


・ガチで杞憂

秒でなったアル。マッハアルよ、マッハ。それくらい強烈な香りがワッと器から立ち上ってきたのだ。ひき肉入りの坦々スープにドボンと浸かった大きなチキンカツ。その上にはチンゲン菜と、たっぷりの白髪ねぎが添えられている。どちらかというと担々麵寄りのルックスだ。



いつもなら卵でとじられようが餡をかけられようが、意地でもサクサク感を失おうとしない「かつや」のチキンカツも、さすがに今回ばかりは衣がスープを吸いまくっている。しかし、そのクタ~っとした感じも、どこかコロッケそばのような趣があってウマい。そして、思った以上にしっかり麻辣で辛い。



・あったか辛ウマ

ラー油の辛味と花山椒のピリっとしたシビレ。激辛ってほどではないが、寒波により手がかじかむレベルで冷え切ってしまった体がじんわり汗ばむくらいには辛いぞ。胡麻が香る濃厚なスープと本格的な麻辣の刺激、それらがチキンカツと絡み合うことで ご飯もすすむすすむ! 身も心もポッカポカ!!


が、しかし……


残ったスープを見て思った。


いやコレこそ うどん入れろやァァァァアアア!


・なぜいない

とんかつチェーンであるにもかかわらず、新商品にうどんをねじ込むことになぜか異様な執着を見せる「かつや」。2019年の歴史的迷作『カレーうどんカツ丼』では、ご飯の上にチキンカツとカレーうどんを盛り付けるという狂気のチャレンジ精神で我々 “かつや者” を困惑のどん底に突き落とした。



それだけに、今回の特大うどんチャンスをまさかの全スルーしてきた「かつや」の姿勢には私も驚きを隠し切れない。いや今ちゃうんかいと。この坦々スープにうどんを入れずにいつ入れるのかと。逆にここ以外では入れんなと。もしかすると「かつや」は、うどん無双ができる唯一にして最大の機会を逃がしてしまったのかもしれない。

仮にこのメニューにうどんが入っていたとしよう。できれば丼がいい。その際の商品名は、きっと『胡麻担々うどんチキンカツ丼』だったはず。よし天下無双! ウマさと意味不明さを兼ねそろえた、「かつや」史に残る怪作になっていたことはまず間違いないだろう。残念至極である。



・不在による完成

ただ逆に考えると、うどんというマスターピースを失ったことで、『胡麻担々チキンカツ』はミロのヴィーナスの如き永遠の美を獲得したと捉えることも可能だ。つまり結論としては、芸術と「かつや」は紙一重。これに尽きるのではないか(たぶん違う)。そういうワケで皆さま、そして「かつや」。今年もよろしくお願いします。

参考リンク:かつや
Report:かつや者・あひるねこ
Photo:RocketNews24.
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