緊急事態宣言も解除され、新型コロナウイルスに対する警戒心は一時期より薄れているように感じる。当然油断はできないが、家にこもったままでは経済的に立ち行かなくなることは明白だ。特に東京と同等の……いや、それ以上に厳しいのが「北海道」である。

2020年2月末から独自の緊急事態宣言が発令されるなど、早くから新型コロナウイルスの影響を受け続けている北海道。その中心地、札幌は現在どうなっているのだろうか? すすきのを中心に複数の事業を展開する経営者に話を聞いた。

・東京よりも長い自粛期間

北海道は首都・東京よりも早いタイミングで新型コロナウイルス対策を打ち出してきた。北海道の公式ホームページによれば、北海道で最初の緊急事態宣言が発令されたのは2月28日のことだから、東京より1カ月強も早かったことになる(東京は4月7日)。

では、その分立ち直りも早かったのかと言えばそうではなく、いまだに札幌、特に日本有数の繁華街として著名な “すすきの” は、以前とは程遠い状況だという。今回はすすきのを中心にホテル業などを展開する、経営者のAさん(40代男性)に話を聞くことが出来た。


──札幌は経済的に厳しい状況が続いていると聞きますが、実際のところはどうなのでしょうか?

「やはり厳しいですね。最近になってようやく若い人がすすきのに戻りつつありますが、以前ほどではありません。また、年配の方の戻りが鈍いのも気になります」

──なるほど。Aさんはラブホテルも経営されていると伺いましたが、コロナ期間中はどんな具合だったのでしょうか?

売り上げは半分ですね。こんなことは今までありませんでした」

──厳しいですね。

「何店舗かホテルを経営しているんですが、中心地になればなるほど悪かった印象です。逆に車で出かける郊外店は半減まで落ち込みませんでした」

──ふむふむ。

「同業者に聞いたところだと、これは東京でも同じようですね。新宿・渋谷・池袋など、繁華街のラブホテルは売り上げがかなり落ち込んだようですが、郊外店はそこまでヒドくなかったようです」

──そうでしたか。

「ただ、ラブホテル以上にヤバいのはビジネスホテルでしょう。稼働率が10%に満たないなんて話をよく耳にしました。ビジネスホテルは中国人観光客で潤っていた比重が大きいので、当然と言えば当然なのかもしれません」

──札幌は観光都市ですからね。

「そうですね。以前と同じ水準まで観光客が戻るには相当時間がかかるでしょうから、まだ厳しい状況は続きそうです」

──なるほど。では飲食店などはどうなっているのでしょうか?

「緊急事態宣言中は営業を自粛している飲食店が多かったですね。最近になって営業を再開した飲食店も多いんですが、潰れてしまったところも少なくないようです」

──そうですか……。いわゆる “夜の店” も厳しそうですね。

「ニュークラブ(キャバクラ)は営業を自粛していましたね。ただ一部の風俗店は営業を続けていたようです。とはいえ、そもそも街に人が出ていませんから、厳しいことは間違いないでしょう」

──なるほど。

「私が経営するクラブ(踊る方)は2カ月近く営業を自粛していたんですが、おかげ様で営業再開時には多くのお客様においでいただきました。若い方が多かったのですが、きっかけさえあれば以前と同じ水準に戻れる手ごたえは感じています」

──ふむふむ。

「入場時の発熱検査は当然として、ウイルス対策に大型の除菌システムも導入しました。お客様に安心してご来店いただくため、スタッフ一同全力を尽くしています。我々だけではなく、飲食店を含む多くのすすきののお店がコロナ対策を講じています」


そもそもの人口が違ううえ、観光都市としての側面が東京より色濃い札幌が元の姿を取り戻すには、もうしばらく時間がかかりそうだ。とはいえ、多くの店がコロナ対策を講じているようなので、店側にこれ以上の努力を求めるのは酷なのかもしれない

2021年に延期された東京オリンピックでも、マラソンの競技会場に指定されている札幌。活気あふれる以前の姿を取り戻すことを祈るばかりだ。

参考リンク:北海道「緊急事態宣言」(PDF)
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.