文豪のマンガバージョンである漫豪。マンガ家を描いたアニメ『かくしごと』の造語だが、そこに例として不二多勝日郎(ふじた かつひろ)というキャラが登場する。これ思いっきり、藤田和日郎(ふじた かずひろ)先生やん。
『うしおととら』や『からくりサーカス』などのヒットを飛ばし、現在も少年サンデーで『双亡亭壊すべし』を連載している藤田先生。すっかりダークファンタジーの巨匠だが、そんな藤田先生の意外な過去が判明したためお伝えしたい。
漫豪にもこんな時代があったのか……! そう思わずにはいられない藤田先生の過去は、少年サンデーの2020年31・32合併号の後書きで明らかになっている。
・サンデーの後書き
少年サンデーの後書きは、読者から寄せられた質問に作家陣が答える形なのだが、今週のお題は「先生の『黒歴史』をこっそり教えて下さい!」というもの。これに対する、藤田先生の回答が以下である。
「『花とゆめ』に少女漫画を投稿してCマイナスのレベルだったさ!」
──まさかの少女漫画……!? しかも、『花とゆめ』と言えば、めちゃんこキラキラしている青春&恋愛系少女マンガ雑誌だ。私(中澤)は今の藤田先生の絵柄しか知らないが、確かに、ドロドロした感じの今の絵柄は『花とゆめ』の連載陣に入るにはアクが強い気もする。
・「花とゆめ」の評価
だが、Cマイナスとはどれくらいの評価なのだろうか? 気になったため、『花とゆめ』編集部に問い合わせて、マンガ賞の一般的な評価を聞いてみたところ……
花とゆめ編集部「マンガ賞は『HMC』と『ビッグチャレンジ賞』の2つがあります。『HMC』に応募された場合だと、Cマイナスは「基本をもうちょっと頑張りましょう」という感じです。『ビッグチャレンジ賞』の場合、Cマイナスはもう少し上で「オリジナリティーを磨きましょう」という感じですかね」
──とのこと。もちろん、藤田先生がいつ応募したのかも分からないため、当時この2つの賞があったのかは定かではないが、ひょっとしたら、Cマイナスの評価からオリジナリティーを磨きまくった結果が漫豪なのかもしれない。
辿る道が違えば、藤田先生は少女マンガ家だった可能性もあるが、漫豪になれていたかは不明である。たった1行の後書きだが、出会い、そして、努力を感じる趣深さがあった。人生とは誠に数奇なものである。
参考リンク:小学館「少年サンデー」
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.