昨今、注目を集めているジビエ。ジビエが手軽に食べられる居酒屋やレストランが増えてきて、目にする機会も多くなってきた。しかしそんなジビエ料理屋もいま厳しい状況に置かれている。

横浜に本店をかまえ、渋谷にも支店があるという「珍獣屋」さん。コロナの影響で存続が厳しく、お取り寄せをTwitterからの注文限定で始めたという。なんと、どれも店舗では食べられない通販限定料理ばかり。

こんな機会だからこそ、おうちでジビエを食べてみたい‼︎  ということで、いくつかのメニューからヤギの睾丸麻婆豆腐(1480円)と自慢の熟成ヒグマのハンバーグ(200g 1980円)を頼んでみた!

Twitterのダイレクトメッセージで注文し、ただいま大人気ということで届いたのは2週間後。品名は「冷凍肉」。料金は商品の他、送料、代引き手数料、クール便代、箱代350円、消費税。しめて6215円。


開けるとまず説明書きが入っている。


文字が大きくて実に見やすく、わかりやすい! それにしてもメニューのインパクトよ。


ヤギの睾丸麻婆豆腐には、もっと詳しい作り方もついてきた。なるほど、豆腐は自分で用意すると。


そして……


ででで、でたー! ドドーン!!  真空パックに入ったヒグマのハンバーグ金●マーボー‼︎ 


き、●玉! もはや睾丸という上品な言葉でオブラートに包むのではなく、ダイレクトにわかりやすく書いてある。「金●マーボー」。なんてインパクトのある言葉なんだ‼︎


……と、衝撃を受けるのは終わりにして、さっそく説明書の通りに流水解凍する。睾丸は15分、ヒグマは20分。


次にヒグマのハンバーグを湯煎する。白い液体はソースだそうだ。クリームソースなのだろうか。ハンバーグにクリームソースはなかなか珍しい。


ヤギの睾丸麻婆豆腐は袋から出して火にかける。少しスパイシーな麻婆豆腐っぽい香りがしてきた。ヤギの睾丸らしい匂いはしない。これと同時に豆腐も別鍋で温める。


沸騰してきたら、別添えの白い液体を少しずつ加える。これは水溶き片栗粉だ。お好みのとろみ加減を調整してということだが、全部加えてしまった。ほどよくねっとりして、いい具合だ。そしてお皿にそれぞれ盛り付けると……


ドーン!!  いやはや、見た目は普通に美味しそうなハンバーグと麻婆豆腐のできあがりだ! まさかこれらがクマ肉とヤギの睾丸とは思いもつかないだろう。


まずは麻婆豆腐。用意した豆腐が少なく餡が多めになってしまったが、なかなかの量があり何人かでシェアするのが良さそうだ。


そして、これが、睾丸……。ゴクリ。睾丸というと球体を思い描いていたが、どれも四角い。おそらくヤギの睾丸はそれなりの大きさのため、切り刻んでいるのだろう。見た目は鳥の砂肝に似ているが、一体どんな味なのだろうか。


ドキドキ……。パクリ。モグモグ。……ん、これは……。思っていたよりも、かなり柔らかい! 見た目の砂肝ちっくな印象から、コリコリした食感を想像していたのだが、筋の部分がコリコリするだけで、肉自体はとても柔らかい。睾丸自体の味は淡白で、少し鶏のレバーに似ている。特にくさみもなく優しい味だ。睾丸と言われなければ、わからないだろう。

ただ麻婆自体が少し独特で、香辛料が強めな味付け。お子さま家庭で好まれる甘めな麻婆ではなく、どちらかというと本格派。正直、睾丸よりも麻婆の方が癖が強い。このおかげで睾丸が淡白に感じられるのだろうか。濃厚ゆえにかなり満腹感がある一品だ。ご飯と一緒に食べるのが良いだろう。


お次はヒグマのハンバーグ。白いソースからは甘い匂いが漂っている。では、いただきます!


モグモグ……、ん、これは……。力強い‼︎ 口に入れて噛んだ途端、ヒグマはその勇ましさを主張してくる。これは、これこそが獣を食べている感。自分が猟師になったようだ。一般的なハンバーグのジューシーさはなく、少しパサパサした印象。塩気が強く味も濃い。きっと山の中で食べたら、もっと美味しく感じるだろう。

白いソースはバターだ。この甘ったるさとヒグマの力強さのアンバランス。うー、癖になる‼︎ これは酒、そうワイン、赤ワインと一緒に食したい!!  酒が飲めない人は甘めのバンズでハンバーガーにしてもいいだろう。うん、これこそジビエという感じだ。


普段なかなかお目にかかれないヤギの睾丸麻婆豆腐とヒグマのハンバーグは、まったりとしたこの日常にほどよい刺激とアクセントを加えてくれた。ちょっとした非日常を食で取り込むのも、良い気分転換になる。是非この機会に、皆さんにもおうちで食べてみて欲しい。

参考リンク:珍獣屋〜横浜本店&渋谷店〜
Report:千絵ノムラ
Photo:RocketNews24.