皆さんは「高輪ゲートウェイ」を覚えているだろうか。2019年12月に発表されたJR山手線の新駅名であり、当時そのセンセーショナルなネーミングが大きな話題を呼んだ。我が国において最も盛んに「ゲートウェイ」という単語が飛び交った時期だったように思う。

2020年3月には駅の開業を迎え、現在はあれから約半年が経過し、当時の話題性もだいぶ薄れてきた。が、今になって筆者は「高輪ゲートウェイ」にまつわるとんでもないアイテムが公式販売されているのを発見してしまった。その名も「高輪ゲートウェイ駅の香り」である。

いきなり「高輪ゲートウェイ駅の香り」と言われて動揺しない人の方が少ないだろうし、筆者も最初は大いに混乱した。「駅の香り」が売られているとはどういうことなのか。駅の空気を抽出してパッケージングしたというのか。

それが「ゲートウェイ」流のやり方なのだとしたら少々攻めすぎではないかと思ったが、しかしどうやらそういうわけではないらしい。「高輪ゲートウェイ駅をコンセプトとして作られたエッセンシャルオイル」というのが、本商品の正体である。

詳しい説明は、JR東日本のショッピングサイト「JREモール」の商品ページに載っている。アロマブランド「yuica(ゆいか)」とのコラボ商品で、駅舎に建材として用いられている福島県産のスギをベースに作成されたものとのことだ。

そういえば、行ってみたいとは思いつつも実際の駅には行けていない。これを使えば現地に行かずとも「ゲートウェイ」を感じることができるのだろうか。一体どんな使用感なのだろうか。もろもろ気になったので購入してみることにした。

10日ほど経って届いた商品は、シンプルな直方体の小箱に入っていた。ちなみに価格は2090円で、駅の開業日からまもない2020年3月23日に発売されていたようだ。

実物を前にして、「これが高輪ゲートウェイ駅の香りか」と不思議な感動を覚える一方、この期に及んで自分がエッセンシャルオイルの使い方を全く知らないことに思い当たる。

調べてみたところ、「ティッシュに2~3滴垂らして染み込ませ、香りを楽しむ」といった簡単な使用法でも大丈夫らしいとわかった。

そして実行に移した結果、なんともかぐわしい匂いが辺りに漂い始めた。鼻から頭へ抜けるような、清涼感のある香りだ。スギを基調とした古風な趣が、洗練されたアーバン感をまとって嗅覚に届いてくる。行ったことのない「ゲートウェイ」の景色が見えたような気がした。

なるほど、これは逸品だ。自宅でこんなに手軽に「ゲートウェイ」できるとは。そう思い、「ゲートウェイ」の泉と化したティッシュに鼻を近づけて吸い込むと、少しクラッとしてしまった。筆者の身には、漂う香りが楽しむくらいが丁度良いようだ。

「ゲートウェイ」の過剰摂取は良くないとわかったので、作業机の片隅にティッシュを置き、香りを楽しみながら過ごすこと1時間、2時間……5時間、6時間。軽く7~8時間経ってもまだ香りが残っている。驚異的なパフォーマンスだ。

2~3滴でこれならば、10ミリリットルも詰まっているこのオイルを使い切るのはいつになることか。一生楽しめるのではないだろうか。期せずして莫大な「ゲートウェイ」を手にしてしまった。

無論、楽しみ方はこれだけではない。熱湯を入れたマグカップにオイルを垂らしたり、スプレーボトルにオイルの水溶液を入れて噴霧したりと様々な方法があるようなので、興味の湧いた方はぜひ実物を入手して、各自調べた上で使ってみてほしい。

これからの蒸し暑い季節には、本商品の爽やかな香りはまさしく清涼剤としてぴったりではなかろうか。大衆の注目を浴びた「高輪ゲートウェイ」……いずれは現地にも足を運びたいものだが、今は私だけの「ゲートウェイ」をそばに感じていよう。

参照元:JREモール「高輪ゲートウェイ駅の香り」
Report:西本大紀
Photo:Rocketnews24.