最近、食品メーカーのエースコックが攻めている。2020年4月末に、定番商品のわかめラーメンから麺抜きの「わかめラー」を発売したばかりだというのに、今度はとんこつラーメンから豚を抜きやがった!
その名も「スーパーカップ1.5倍 ポークゼロ こってり濃厚とんこつ味ラーメン(税抜220円)」だ。豚不在なのにこってりだと? とんこつ味だと? そんなのある訳ねえ。ある訳ねえとは思いながら、一応食ってみたぞ!
・豚抜きのとんこつ
豚を使わないとんこつラーメンといえば、2019年2月に一蘭がその専門店を誕生させたのをご存じの方もいるだろう。取材した当編集部のあひるねこは、鶏なのにとんこつラーメンの味がする「未体験の味」と評していた。あれから約1年を経て、今回エースコックが豚抜きのとんこつにチャレンジした。
実物を見てみると、まずパッケージのイラストに目が留まる。ラーメン丼ぶりを手に取り、目と目で通じ合う牛と鶏。
のけ者になってしまった豚の驚きたるや。「え? 俺は?」という声が聞こえてきそうじゃないか。かわいそうに……。
容器の側面を見れば真相がわかる。「鶏や牛をベースとしたとんこつ風スープ」とある。ちなみにこの商品はハラル対応ではないとのことだ。
さらによく見てみると、エースコックのキャラクター・こぶたの姿も。豚を出し抜いてとんこつラーメンなんか作って、大丈夫なのか? はなはだ心配ではある……。
・食べてみよう
しょうもないこと心配してないで、実際に食ってみよう。フタを開けると中には麺・粉末スープ・液体スープが入っている。わかめラーの時には麺が入っていなかったので、あれ以来エースコック商品を警戒するようになってしまった。麺があって本当によかった。
作り方は一般的なカップ麺と同じ。まずは麺の上に粉末スープをかける。豚を使用しているとんこつラーメンの場合は、おおむねこの段階でとんこつ臭がするものだ。しかしコレは粉末スープからアノ香りがしない。ほほお、コレは未知の体験だ。
お湯を注いで待つこと2分。大抵5分が相場だったと思うのだが、今の即席麺の待ち時間が意外と短い。チンタラしてたら、麺が伸びてしまうので気を付けよう。
改めて匂いを嗅いでみても、やっぱり無臭。う~ん、画期的ではあるものの、アノ強い香りがしてこそ、とんこつラーメンだと思うのだが。物足りないのではないか? ところがである。
液体スープを投入すると、いくぶん脂の香りが漂ってくるじゃないか。そう強いものではない……強くはないけど、とんこつ風味が感じられる。
豚を使っていないということは、牛の香りか? ほのかに脂の甘い香りがする。とりあえず、香り成分があるおかげで、嗅覚の刺激はほどほどに間に合った。あとは味だ。
・牛と鶏
食べてみると、とんこつを感じさせるだけの味の主張はある。スープも濃厚で麺にしっかりと味がまとわりついている。だが、完全にとんこつか? と問われたら、「うん」とは言い切れない。牛の成分を感じるからだ。鶏もある。これらをベースに使っているから、牛・鶏を感じて当然だ。
とはいえ、味のバランスは良く、「とんこつ」という刷り込みを抜きにしても美味しく食べられた。とんこつを再現するつもりで作ったのだろうか? それともたまたま出来上がった味が、とんこつに近づいたのだろうか?
何も言われなければ、とんこつを再現したことにさえ、気づかない可能性も否めない。とにかく、味については満足できるはずなので、ラーメン好きは1度試してみていただきたい。