
海外はもちろん国内移動でさえ大きなリスクをはらむ現在、行くはずだった旅行を見送った人、あるいは今後の予定を白紙に戻した人も多いだろう。誰より筆者がそうなのだが、目標の喪失感や閉塞感に気持ちが沈んではいないだろうか。そんな時に筆者が活用している、家にいながら旅行気分が味わえる「読む」地図帳をご紹介したい。
地図帳といえば誰しも学校で使った経験があるだろうが、緑色や黄色で塗られた日本列島に地名が書き込まれただけの、少々味気ないものだったと思う。これからご紹介するのは見ているだけで楽しくなる、旅行のための地図帳「ビジュアルマップ」3選だ。
・「旅に出たくなる地図 日本」(帝国書院)
タイトルそのまんま、定番のビジュアルマップなのでご存知の方も多いかもしれない。基本シリーズだけでも「日本」「世界」「関東甲信越」「関西」の4タイトルがあり、さらに「地図で訪ねる歴史の舞台」「地図でめぐる神社とお寺」「花の旅へさそう地図」など派生タイトルが多数ある。
基本に忠実な、ある意味オーソドックスなページ構成で、学校で見慣れた真面目な地図帳に一番近いかもしれない。ほとんどのページが地方図、都市図、鳥瞰図(ちょうかんず)など、位置関係や地形を表現する図で構成されている。
が、「旅に出たくなる」と謳うからには、もちろんただの地図ではない。地図ページをよく見ると、観光地や景勝地、花の名所などがイラスト入りで記載されている。
鳥瞰図も面白い。知っているエリアだと、あの道はこんなところを通っていたのか、と新しい発見がある。
また、ところどころに特集ページが組まれており、ふんだんなカラー写真でその地域が紹介されている。
一般的な地図帳は索引図から隣接する地域をたどることができ、対象範囲を網羅していると思う。しかしビジュアルマップは見どころのある地域をピックアップしているために、エリアすべてをカバーはしていない。載っていない地域も多いため、普通の地図帳ほどの網羅性はない。
しかし「旅に出たくなる地図」基本シリーズは、読み物としての要素はやや弱いが地図ページが多いために、位置関係を把握したり、旅のルートを考えるのに適している。旅先で、現在地の近くに何かないかな、と探すのにもいい。基本の1冊として持っておきたい正統派の地図帳だと思う。
・「旅地図 日本」(昭文社)
こちらは地図の掲載エリアをぐっと絞り、その分カラー写真満載で、観光ガイドのように使える地図帳。まさに「ビジュアルマップ」のネーミングにふさわしいページ構成だ。
発行しているのはお馴染み「まっぷる」の昭文社だ。「るるぶ」や「まっぷる」などの旅行ガイドブックは目的を決めてから購入することが多いだろうから、全国をパラパラと概観できる地図帳は新鮮だ。
「絶景」「世界遺産」「日本の100選」などにフォーカスした巻頭特集もワクワクする。例えば「夜景」の項目では、函館、四日市コンビナート、長崎が紹介されている。筆者はこういった○○選を見ると、「よ〜し、制覇してやろう!」と旅ごころに火がつく。
地図中にも「さくらの名所100選」「100名城」「灯台50選」などの記載がある。なにげなく紙面を眺めていると、自分の地元に意外な○○選を見つけたりもするぞ。
地図記号も非常に細分化されていてわかりやすい。「ご当地キャラ」「パワースポット」「ロケ地 / ドラマの舞台」などユニークなアイコンも。地図上で興味のあるキーワードを見つけて、インターネットなどで調べると世界が広がると思う。
・「食の地図」(帝国書院)
筆者のイチオシがこちら! 前述の「旅に出たくなる地図」シリーズの1冊で、食文化にフォーカスした地図帳だ。
地図というよりも写真集。これがもう、眺めているだけでよだれが出てくる。
とにかく写真がいっぱいで、カラフルで美しい。解説文も多く、読み物として十分に面白い。その料理を出す代表的な老舗は店舗情報も載っている。
あくまで地図帳なので、例えば流行りの飲食店などの情報はない。伝統食、郷土食、名物などの紹介なのだが、日本にはこんなに多様な食文化があるのかと驚かされる。全体的に「海の幸」が多く、やはり海洋国家なんだと実感する。
死ぬまでに1度は食べてみたいものランキングなど、自分で脳内リストを作るのも楽しい。筆者が1度は食べてみたいと思うのは「土佐のカツオの藁焼きタタキ」や「博多の屋台料理」だろうか。「いつか必ず行こう」と決意を新たにする。
・地図帳の魅力とは
インターネットで世界中の地図が見られる現代、地図帳が活躍する場面はずいぶん減ったかもしれない。しかし、的を絞った「検索」が基本となるインターネットと違い、目的もなく、なんとなく全体を眺める、という使い方ができるのが地図帳のよいところ。ぼんやりとページを繰りながら、次はどこへ行こうか……と空想を膨らませる楽しさがある。
筆者にとっても、知らない土地へ行く、違う文化に触れるというのは、大げさな言い方かもしれないが生活の一部だった。次の旅行のために仕事を頑張るという動機が確実にあったし、「いつかは世界一周」が人生の目標でもある。自由に旅ができる日々がいつ戻ってくるのか不安は晴れないが、せめて次の計画を立てる期間と思って前向きに過ごしたい!
冨樫さや














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