競馬界は春のG1シーズン真っ盛り。今週末の中山競馬場では牡馬クラシックの第1冠、皐月賞が開催される。混戦模様だった先週の桜花賞とは対照的に、無敗のG1馬2頭の一騎打ちムードが漂っている。
未だ底を見せていない怪物コントレイルか。レーン騎手起用で鬼に金棒のサリオスか。本稿では2強の不安材料を厳しくチェック。果たして勝利に近いのはどっち!?
・2017年以降は傾向に変化あり
日曜中山のメインは芝2000mで行われる皐月賞。日本ダービー、菊花賞へと続く牡馬クラシックの第1戦だ。今年はともに3戦無敗で2歳G1を制した①コントレイルと⑦サリオスが人気を分け合う形になりそう。
まず過去の展開をチェックしておくと、ほぼスローペースになることはないレースと言っていい。近10年で前半5ハロンのタイムが最も遅かったのは2014年の60秒2(東京開催の2011年を除く)と、基本的には平均ペース以上で流れているのだ。
注意したいのは、脚質的な傾向が変わりつつあること。以前はハイペースを利して後方から追い込んでくる馬の台頭も目立ったが、2017年以降は先行馬の独壇場となっている。
2017~2019年の皐月賞で馬券に絡んだ9頭は、いずれも3コーナーを7番手以内で通過。ある程度先行するか早めにスパートしなければ届いていない。
ただし逃げ馬は不振なので、狙いたいのは2~6番手くらいに付けられる先行脚質の馬だ。今年2強と目される①コントレイルと⑦サリオスはこの条件に合致するから、上位信頼のスタンスで良いのではないかと思われる。
・2強のウィークポイントは
ではどちらの人気馬に乗るのか。いずれもこれまでのレースで見せたパフォーマンスは申し分なく、どちらが勝ってもおかしくはない。ただそれだと予想にならないので両馬の不安材料を探してみると……
まず⑦サリオスには血統的な不安材料がある。近10年の皐月賞で馬券圏内に入ったハーツクライ産駒はなんとゼロ。1頭もいない。ハーツクライはディープインパクトと並んで常にリーディングサイアーを争うほどの上位種牡馬であるにも関わらず、だ。
2017年のスワーヴリチャードのように人気で飛んだ馬もいるし、これは割と不吉なデータではないだろうか。また、⑦サリオス自身に関して言えばデビュー以来マイルしか使っていないという怖さもある。
一方の①コントレイルはどうか。こちらは皐月賞でも実績のあるディープ産駒で、同じコースで行われたホープフルステークスも快勝。特に目立った不安材料はないようにも思えるが、強いて挙げるなら枠順か。
先行馬なので内枠は良いのだが、1枠1番ということで押し出されるようにハナに立ってしまうパターンが怖い。上述したように逃げた馬の成績は不振。上手く折り合ってベストポジションで競馬を出来るかがポイントになりそう。
いずれの馬も不安要素はあるものの、相対的には①コントレイルの方が信頼度は高いとみた。したがって消去法のようにはなるが筆者の本命は①コントレイル。
前走のホープフルステークスは脚色に余裕を残しての完勝。まだ底を見せていないスケールの大きさも魅力で、ここをしっかり勝ちきって同世代のエースとしてダービーへと進む姿を期待したい。
馬券は馬単で勝負。①コントレイルを軸(1着固定)にして、相手に⑤⑦⑮⑯⑰。
「最も速い馬が勝つ」という格言のある皐月賞。トリッキーな中山コースで行われることもあり、本命馬の検討に頭を悩ませるファンの方も多いのではないだろうか。紹介したデータが少しでも予想の役に立ってくれれば幸いだ。