新型コロナウイルス感染症予防のための外出自粛が続いている。学校や部活が休みになった子どもたちのため、企業が自社コンテンツの無償提供など続々と支援策を打ち出し、当サイトの過去記事でも家庭学習や読書をサポートする便利なサービスを紹介している。
大人は簡単に自宅待機というわけにはいかないが、不要不急の外出を避けた方がよいのは同じ。どこにも行かず家庭で過ごす休日は、これまで出来なかったことにじっくり腰をすえて取り組むいい機会かもしれない。企業・団体が新型コロナウイルス対応で提供している無料サービスから、大人でも楽しめるものをまとめてみた。
1. 歴史漫画を読破(小学館『日本の歴史』)
自宅で過ごす小中学生のため、大手出版社が漫画雑誌を無料公開したことが話題になった。スキマ時間に読める週刊誌もよいが、せっかくまとまった時間があるのなら、小学館の『小学館版学習まんが 少年少女 日本の歴史』(全24巻)一気読みをお勧めしたい。
学校の本棚に必ずあった、ちょっと懐かしい学習漫画のシリーズ。ポイントは「全巻公開」というところで、知っているようで知らない日本の歴史を概観できる。すべて読破するにはおそらく数日はかかるのではないだろうか。わずらわしい会員登録や専用アプリなども一切不要で、サイトを開くだけですぐ読めるという親切設計も素晴らしい。期間は4月12日まで。
2. 通信講座を受ける(バンタンフリップチャンネル)
外出できない休日、通信講座に取り組むのはいかがだろうか。お勧めしたいのは「バンタンフリップチャンネル」。クリエーター養成機関Vantan(バンタン)が提供するオンライン講座で、一部の講座が「N予備校」と提携している。N予備校が全国の休校要請に対応して3月1日からオンライン授業を無償提供しているのは過去記事の通りだが、バンタンも自社コンテンツを開放することを決定。
扱うジャンルは「ファッション、デザイン、映像、ゲーム、音楽、マンガ、イラスト、写真、CG、声優、プログラミング、美容、メイク、ネイル、調理」と非常に幅広い。
無料公開されているタイトルの一覧を見ると、例えば「キャラクターデザイン」や「シナリオライター」から「映画・映像制作」「ドローン」「ヘアメイク」など、大人にとっても魅力的な講座が目白押し。1つの講座は通常、複数の動画で構成されており、じっくり見ていったらかなり本格的に学べそう。例えば「カフェ&バリスタ」の講座であれば、「エスプレッソの基本」「ミルクフォームの基本」「カプチーノの基本」といった具合。
無料開放中はN予備校に正式に入学する必要はないのだが、アカウントが必要なので、niconicoアカウント(無料の一般会員でよい)を取得しよう。ログインすることで講座一覧を見ることができる。提供終了日は今のところ明示されていない。
3. 最新研究に触れる(科学技術広報研究会 臨時休校対応 特別企画)
全国の大学・研究機関の広報担当者が作る「科学技術広報研究会」が、休校中の子どもたちのためのサイトを開設。自分たちの所属する研究機関から、お勧めの映像コンテンツを集めた。
専門機関が作る映像作品だけあって、「天文学者の仕事・いろいろな光で見る宇宙(国立天文台)」「全地球史アトラス 地球誕生(国立遺伝学研究所)」「プラナリアの再生(基礎生物学研究所)」などなど、学術知識に裏打ちされたハイクオリティな映像が並ぶ。大人が見ても十分に面白い。
機関の垣根を越えて広報担当者がコンテンツを集約したという事実にもちょっと感動。ライブ配信の特別授業も行なっており、過去の配信はアーカイブされている。
4. 音楽ライブを楽しむ(エイベックス株式会社、LDH JAPAN)
感染拡大を防ぐため、ライブ中止など苦しい決断を迫られている音楽業界も動き出した。おなじみエイベックス株式会社は、YouTube公式チャンネル「エイベックス・チャンネル」で、所属アーティストのTRF、浜崎あゆみ、倖田來未、AAAなどのライブ映像約100本を順次公開とのこと。期間は3月31日まで。
同じくLDH JAPANも、EXILE、三代目 J SOUL BROTHERS、GENERATIONS、E-girlsなどのライブ映像約40本をYouTube公式チャンネル「LDH JAPANチャンネル」で順次公開。期間は3月31日まで。苦しいときだからこそアーティストとファンが一致団結して乗り切ろうという心意気を感じる。
5. ギターの練習をする(ギタトレ)
休日中、いつのまにかギターが弾けるようになっていたら周囲の視線も変わるかも。島村楽器株式会社が提供するギタートレーニングアプリ『ギタトレ』内の有料コンテンツ(通常860円)が期間限定で無料、または値下げ。
iOS端末の場合は0円、Android端末の場合は税込100円となる。Androidだけ有料なのは、無料での提供が設定上できないためとのことで、本当は無料にしたいという気持ちがひしひしと伝わってくる。
期間は3月31日までだが、一度購入すると期間終了後である4月以降も引き続き利用可能だという。新型コロナ関係のキャンペーンを見ていると、無料とは言いつつも会員獲得が目的かと思うようなところや、有料コンテンツに誘導しようとする意図が透けて見えるところもある。そういった中、このような「自宅待機している人を本当に応援したい」という気概が見えると嬉しい。
・おまけ(アークシステムワークス)
アークシステムワークスは、Nintendo Switch、Nintendo 3DSの対象タイトルが税込100円になる『おうちでじっくり遊ぼう!! セール』を開催予定。期間は3月18日から4月1日まで。個人的には、家から出られないこういう時こそゲームの出番じゃないか? と思うが、他メーカーの出足はちょっと鈍いようだ。
・期間に注意
通常は有料のものが、昨今の新型コロナウイルス情勢から特別に無料になっているものを中心に紹介したので、実施期間に注意して欲しい。普段から定額制でたくさんのコンテンツを楽しめるサブスクリプション・サービスなどは除いている。子どもの春休みに合わせた期間設定になっていることがほとんどなので、長くても4月初旬までと考えた方がいいだろう。
デマに翻弄される気疲れ、感染の不安、思うように外出できない閉塞感など心も沈みがちだが、在宅で使えるサービスを上手く活用してこの難局を乗り切ろう。
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.
ScreenShot:N予備校(iOS)、ギタトレ(iOS)