3Dプリンターって凄いですよね。それまでは複数のパーツに分けるなどしなければならなかったものや、従来の鋳造技術では不可能だった複雑な構造のものを作れてしまったり。
そんな画期的な技術ですが、恩恵を受けているのは人間だけではないもよう。ロシアにて3Dプリント製の義肢を作ってもらい、絶望的な状態から復活したネコがいるそうです。
・シベリア
モスクワタイムズによると、ネコの名前はDymka。2018年の10月に、ロシアはノヴォシビルスクの路上にて通りがかったドライバーに保護され、動物病院に連れてこられたそう。発見時にはすでに四肢と耳、そして尻尾が凍傷にかかっていたそうで、全て切断せざるを得ないという結果に。
ちなみにノヴォシビルスクはシベリアにある都市ですが、Wikipediaによると10月の平均最低気温はマイナス0.4度。マイナス26.4度という最低記録もある極寒の地なもよう。もしかしたら凍傷では済まなかった可能性もあったかもしれません。
・義肢作成
こうして一命はとりとめたものの、四肢を失ったのは絶望的。ロシアではどうなのかわかりませんが、少なくとも日本では何らかの理由で動けなくなったペットに対し、安楽死という選択は無くもないものです。
ですが、Dymkaの治療を請け負った獣医のSergei Gorshkov氏は、エンジニアや研究者と協力して義肢を作製することにしたもよう。そうして完成したのが、残っている四肢の骨にインプラントするタイプの義肢。
チタン製で、3Dプリンターを用いて作られたそう。なおチタンは人間用の人工関節などにもよく使われており、骨との親和性が高い素材の一つとして知られています。
Dymkaに埋め込まれたものには、トムスク工科大学の協力のもとリン酸カルシウムのコーティングが施されているのだとか。コーティングを施すことによって骨との癒合を助け、感染症や義肢が取れてしまうリスクを最小化していると、大学側が発表しています。
手術が行われたのは2019年の夏で、そこから7カ月かけてDymkaは復活。トータルで約2年かけての復活劇。現在では保護して病院につれてきた人に引き取られ、元気にしているようです。なお病院のインスタおよびYouTubeでは、経過や義肢についての動画を公開しており、普通に遊んだりしている様子を見ることができます。
参照元:The Moscow Times、トムスク工科大学、YouTube、Instagram、Wikipedia
執筆:江川資具
▼病院内で次第に動けるようになる様子や、引き取られた先で遊んでいる様子