突然だが、皆さんの生活圏内に屋台はあるだろうか。観光スポットや縁日なんかに行くと今でも多くの屋台グルメが出ているが、いわゆる昔ながらの屋台というのは、随分と珍しくなったのではないかと思う。

そんな古き良き屋台スタイルでラーメンを提供する隠れた名店を、今回は紹介しよう。

・赤い提灯に誘われて

京都市右京区。JRの太秦(うずまさ)駅、もしくは京福電鉄(嵐電)の常盤駅から10分ほど歩いたところに今回紹介するラーメン屋台はある。と言っても、お店が姿を現すのは夜の9時30分を過ぎたころだが。

お店の名前は「ぽん太」。この場所で27年、ずっと変わらぬ姿で営業を続けている。軽自動車を改装した屋台に簡易なテーブルという、まさに昔ながらコテコテの屋台スタイルだ。

赤い提灯の付いた屋台でラーメンをチュルリ。そんなレトロな光景がここには残っている。

・アッサリ鶏白湯

このあたりは筆者も昔から頻繁に行き来するエリアで、ちょいちょい通っている店でもある。さっそくラーメンの味を紹介しよう。

スープは鶏白湯。とろみの強い鶏白湯が最近ではメジャーだが、こちらのスープは飲み口がマイルド。この「アッサリ鶏白湯」ともいうべき味は何気にオリジナリティがあると思う。この味を無性に食べたくなる時があるのだ。

麺は京都のラーメン屋らしく、少し柔らかめに茹でてある。固めが好きな人は注文時にお願いすると対応してもらえるぞ。

トッピング類で特筆すべきはチャーシューだ。ここのチャーシューは本気で美味い。プリプリとした食感のバラ肉に塩気が強めに付けてあり、カットも厚切りサイズ。味・存在感ともに申し分ない。

通常のラーメンは700円で、チャーシューが増量されるチャーシュー入は900円。初めて訪れる人にはチャーシュー入を激しくオススメしたい。

・これからも変わらない

美味しかった。知ってたけど。味に関しては名店と呼んでいいレベルだと思う。

同時に、なぜこの場所で営業しているのか不思議にも思う。夜は人通りの少ない場所。素人考えかもしれないが、場所を選べる屋台なら繁華街で営業した方が儲かるのではないだろうか。夜でも多くの人で賑わうわけだし。

そんなことも大将に聞いてみたが「地元だというのが一番だけど、やっぱり長年通ってくれる常連さんもいるしね~」とのこと。

子供のころ食べに来ていたお客さんが、大人になって自分の子供を連れて来てくれることもあるのだという。27年も営業していれば、そういうこともあるのだろう。

大将は「体が動かなくなるまで、ここで頑張るつもりだよ!」と仰っていた。本当にその通り、ずっとこの景色が残り続けて欲しいと心から願う。もっともダイエット中の筆者としては、夜食ラーメンの誘惑が近所にあることは辛くもあるのだが……。

・今回紹介したお店の情報

店名 ぽん太
住所 京都市右京区太秦中筋町12
時間 21時30分ごろ~翌2時ごろ(多少前後する場合あり)
休日 なし(ただし雨天時は休業)

Report:グレート室町
Photo:RocketNews24.

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▼トッピングはネギ、メンマ、チャーシュー。くどいようだがチャーシューが美味い

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