さて、3連休である。もう予定が埋まっている方はさておき、ノープランな関東在住の皆さんには是非お勧めしたいイベントがある。そう……去年と同じく、東京海洋大学 品川キャンパスで開催中の学園祭「海鷹祭」だ!
第60回目となる海鷹祭。ここ数年色んな大学の学園祭をフラフラと見に行っているが、ぶっちぎりでヤバい学園祭は……と言われれば、関東圏でここに勝るものは無いと思う。今年もそんな期待に違わぬヤバさだったので紹介するぞ!
・2日~4日
今年の開催期間は、2019年11月2日から4日まで。時間は10時~18時だ。会場の東京海洋大学 品川キャンパスは、山手線品川駅か東京モノレール天王洲アイル駅から徒歩10分程度。初めての方は、品川駅からの方がアクセスしやすいと思う。
また、いきなりこんな事を書くのもなんだが……行こうという方は11月4日の朝からが良いかもしれない。なぜなら、毎年目玉となるクロマグロの解体ショーや、本大学客員准教授のさかなクンによるステージが、どちらも4日にブチ込まれているからである。
・ヌタウナギ300円
大体の開催概要やアクセスについてお伝えしたところで、今年の見所を紹介していこう。まず正門(目に気迫が足りないマグロの頭が飾ってある方)側から入って真っ先に目に付くのが「ヌタウナギ300円」というアヤしいテント。
このセンスである。多くの大学が華やかに見せようと工夫を凝らす学園祭において、入っていきなりの場所にヌタウナギの販売ブースを設ける大学がどれだけあるだろうか。恐らく海洋大だけだろう。
ちなみにヌタウナギとは、皮膚から大量の粘液を出しまくる、無顎類(顎が無い脊椎動物)に属する動物。名前にウナギとついているが、おなじみのウナギとは特に関係ない。分類的には、浅草なんかで食べられるヤツメウナギに近い生き物だ。
このテントでは生きているヌタウナギと触れ合うこともできる様子。テントのお姉さんによると「イカみたいな味」とのこと。なお「大量の粘液を出しまくる」と上で軽く書いたが、その量はマジで半端ない。
たまに防波堤で釣れてしまうことがあるのだが、放っておくとバケツがいっぱいになるレベルで粘液を出してキモがられ、釣れてもすぐに逃がされる。しかしそのヌルヌルもキッズたちには大人気だ。「ヌルヌルで触らないで」「手洗ってきて」などと子供に悲鳴を上げるお母さん方がいっぱい居たぞ!
・漬け丼や、焼きオオグソクムシ
こうして「出落ち」感のあるヌタウナギから始まった今年の海鷹祭。とはいえ、こんなテントばかりではない。ちゃんと恒例のマグロの漬け丼もあるぞ。筆者が到着した昼過ぎには売り切れていたので、確実にゲットしたい方は早めの時間に行くべきだろう。
他にも、牡蠣やらホタテの丸焼きなど、ウマそうな食い物を販売するテントが沢山。花より団子というわけではないが、よく分からないアヤしい生物より、確実にウマいと分かってる魚介類がお目当ての方もちゃんと満足できるだろう。
しかし、ウマい魚介類が目当てならそれこそ築地にでも行けばいいというもの。せっかくなら食べておきたいのが、オーケストラ部のテントで販売されている「焼きオオグソクムシ(1200円)」だろう。こちらも昼過ぎには売り切れており、皆さんに感想をお伝えすることはできないのが残念だ。
33番講義室
そして最後にもう一つ。個人的にお勧めなのがステージ横の講義棟の3階。薄暗い廊下の奥のほう。33番講義室で行われている展示、および物販だ。
そこに陣取っているのは深海魚同好会。去年は同好会員が一人、日の光も届かぬ薄暗い講堂の一角で、エタノール漬けのクロシビカマスなどを売りさばいていた。どう見てもブラックマーケット然としており、全体的に攻めてる感じのある海鷹祭の中でも、売人と物販のクセの強さがぶっちぎっていた。
そんな同好会が、今年は果たして何をやっているのか見に行くと……
おや、明るいし広いぞ?
てっきりアヤしい活動の果てに3階まで追いやられたのかと心配したが、むしろ待遇は良い気がする。なんにせよ去年とは雲泥の差だ。並んでいるものこそエタノール漬けの深海魚である点は同じだが、今年はガッツリと展示を行っているではないか。
並んでいるのは豊富なカレイシリーズに……
生きているサギフエ。
そして、まさかの触れるラブカ。シン・ゴジラの第2形態に似ているということで知名度が向上した感のある深海のサメである。
日本全国、ラブカの標本に触れるのはここくらいではないだろうか。どうしてもラブカと触れ合いたければ、駿河湾辺りまで出向いて自分で釣るしかない気がする。
・シギウナギとハナナガソコホウボウ
こうしてかなりしっかりと、見ごたえのある展示を行っていた深海魚同好会。ちなみに物販はやはり攻めていたぞ。テーブル1つを割り当てて、様々なエタノール漬け深海魚を販売していた。
ここで、近くに居た同好会員にお勧めを聞いたところ……「シギウナギ」はマニア垂涎の一品だそう。
詳しくはググってみてほしいが、細くて長い顎を持つ細長いウナギである。会員によると、この顎でエビの触覚だかを捕らえて食べるのだとかなんとか。そしてもう一つ勧められたのが、「ハナナガソコホウボウ」。
ただのホウボウであれば、食べたことのある方も多いだろう。ハナナガソコホウボウもまたホウボウのお仲間。ただ、こいつには名前の「ハナナガ」の通り、2本の角のような突起がついている。
お勧めの理由は、このパーツが折れていないから。漁の際にデカい網で他の魚ともども捕らえるのが普通なため、多くの場合この突起は折れてしまうのだとか。しかし今回販売しているものは折れていない。これはとてもレアなのだとか。
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ということで、東京海洋大品川キャンパスの「海鷹祭」は、やはり今年もアツかった。3連休に特に予定が無いなら行くしかないだろう! もう一度お伝えしておくが、マグロの解体と、さかなクンのショーは4日だ。3日に行っても見ることはできないので、そこだけ気をつけて欲しい。
参照元:海鷹祭
Report:江川資具
Photo:RocketNews24.
▼話を聞こうとなんとなく声をかけた青年が、まさかの深海魚同好会の会長だった。手にしているのは、最推しのダルマガレイの仲間。キャラが濃い。ちなみに、去年まで深海魚同好会は非公式で、今年から公式化したのだとか。
ダルマガレイについては「何がいいのかと言われると困るがとにかく良い」的なことを述べていた。「何が悪いのか分からないがとにかく嫌」と言う場合、それは生理的嫌悪。
その対義語は特に定められていないように思うが……あえて近しいものを挙げるとすれば、「愛」じゃないですかね。ダルマガレイへの愛。ヒュー。
▼隣の部屋は地学的な展示オンリーで天文の要素がゼロな「天文地学部」。こっちも面白かった。
▼プールのニジマス釣りは今年も健在。これもマスト。