気がつけば11月。ハロウィンが終わって年末が急に目の前に! 年末年始の予定をそろそろ決めようという人も多いだろう。
もし、あなたが1月11日頃に台湾へ行くつもりなら、ちょっと注意した方がいいかもしれない。1月11日前後は台湾と日本を結ぶフライト、そして現地でも交通の混雑が予想されるからだ! その理由を知ったら驚くだろう。日本ではまず起こりえないことなのである。
・1月11日前後、台湾への飛行機が混雑する理由
2020年1月11日に台湾で何があるのか……それは「総統選挙」だ。総統とはご存知のとおり台湾(中華民国)の国家元首のこと。現職は初の女性総統となった蔡英文氏である。前回2016年の総統選では選挙戦で蔡氏が萌えキャラ化し、日本でも話題になった。
で、選挙があるからって交通の混雑に何が関係あるの? それは海外に住む台湾人が「投票のために一斉に帰国する」からである。
・憲法で定められている
実は台湾には、日本のような外国に住む市民が国外から投票できる「在外投票制度」がない。
「国外の中華民国自由区人民は帰国しその選挙権を行使すること」(中華民国憲法増修条文2条)
と、憲法で定められているのだ。中華民国自由区とは、私たちが「台湾」と呼ぶエリアのこと。要するに「外国にいる台湾人が選挙投票するときは帰国してね」ということである。なんというハードルの高さ!
さらに不在者投票・期日前投票がないばかりか、投票地も現住所ではなく戸籍のある場所。なので、投票日の前は投票のための帰国者と帰省者で空港や駅は大いに混雑するのである。
わざわざ選挙のために多額の交通費を払って帰国するの!? しかも日本での仕事や学校のことを考えると何日も滞在できないというのに……。そこまでする理由を台湾人に聞いてみたところ、
「だって国の大切なことでしょう? 家族にも会いたいし」
と当たり前のように話していた。この意識。日本ではちょっと考えられないことだ。
ちなみに2016年の総統選の投票率は66.27%。日本の国政選挙よりだいぶ高い数字だがこれは前回比で約マイナス8ポイント、「過去最低の投票率」であったそうで、新聞各社では投票率の低さを嘆く記事が見られたものである。
日本は台湾より投票しやすい制度が整えられているのに、この数字の差、いったいなぜなのだろうか。
・折しも日本も連休
そんなわけで、2020年1月11日(土)の少し前から台湾行きの国際線や現地の交通網では混雑が予想される。
この日は、ちょうど日本でも3連休の初日だ。日本で働く台湾人にとっては帰国しやすい日程だと言える。ためしに前日の1月10日(金)の午後に東京を出発する台北行のフライトを見てみると、すでに「残り○席」となっている便も多い。また現地交通も、新幹線や高速バスが満席、道路も渋滞する可能性がある。
このあたりに旅行を計画されている人は早めの申し込みを、そして現地では時間に余裕をもって動いた方が良さそう。そして総統選の熱気を肌で感じるのも良いかもしれない。
参考リンク:中華民國憲法增修條文、中時電子報、ETToday(中国語)
執筆:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.