「VR」、すなわち「バーチャル・リアリティ」はここ数年でずいぶんと身近なものになった。最近では安価なVRゴーグルやVRヘッドセットなども販売されており、気軽にバーチャルな世界への没入感が得られるようになっている。そんな中、「VRイヤホン」との呼び声が高いイヤホン・finalの「E500」が2019年8月末に発売されていた。
「E500」は2020円と格安のイヤホンなのだが、その性能がとんでもない代物だったのだ。声優などで活躍する小岩井ことりさんが「やばい」とツイートしたことにより「バズった」このイヤホン、実際に使ってみたらガチで「やばい」としか言えないイヤホンだった……!
・没入感がやばい
日本のオーディオブランド「final」から発売された『E500(税込2020円)』。同社のサイトには、「バイノーラル技術を用いて音の方向感を再現するゲームやVRコンテンツなどを再生するための新たな研究成果から生まれました」と記載されている。
これだけではどんなイヤホンなのか想像がつかないかもしれないが、以下のツイートを読めば、その凄さが垣間見えるのではないだろうか。
イヤホン…finalのE500やばい…
通称『VRイヤホン』とも言われててダミヘの音声とか聴いたら秒で鼻血……😇
相手の身長とかまで感じる…
えっち…えっちなイヤホン…(語弊)しかも安い…めっちゃ安い…
2020円て…天才か……音楽聴いてもヤヴァイ…
推しが自分の隣で歌ってくれてる感やば……😇 pic.twitter.com/T1scF2tpf6— 小岩井ことり (@koiwai_kotori) October 10, 2019
2019年10月10日、小岩井ことりさんが「イヤホン…finalのE500やばい…」とツイートし、1万4000リツイートされるほどの話題となったのだ。この記事を読んで下さっている方の中にも、小岩井さんのツイートを目にした人はいるだろう。
なお、バイノーラル技術を用いての録音は、基本的に人間の頭部を模した人形の鼓膜部分にマイクロフォンを埋め込んだ「ダミーヘッドマイク」、通称「ダミヘ」を用いて行われる。それにより、録音時と同じように音場(音源の位置や距離など)を感じられるらしい。
小岩井さんのツイートによると「(E500で)ダミヘの音声とか聴いたら秒で鼻血……」とのことで、めっちゃ気になる! さっそく、ダミヘを使って声優さんの声や効果音を収録した「シチュエーションCD」を聴いて検証してみるよ〜!
ちなみに「シチュエーションCD」とは、声優さんたちのシチュエーションに沿った演技がたっぷりと収録されたCDのこと。耳元で囁くような音声や、ドアの開閉音や足音など場面に合わせた効果音も収録してあるもので、ぶっちゃけてしまうと普通のヘッドホン・イヤホンで聴いても大ざっぱな音の位置・方向が分かるCDなのだ。それでもなお、「E500」で聴くとそんなに「やばい」と感じるのだろうか。いざ!
──結論から言おう。やばい。「やばい」しか言えない。部屋のドアが開いて足音がするところから始まるのだが、聴き始めた瞬間に自室からCDの中の空間へワープしたとしか思えない臨場感がある。
しかも、イヤホンで聴いているのを忘れるほど、音の鳴り方が自然で違和感がない。部屋に良い声の人がガチで入ってきた!? と錯覚してしまうほどのリアルさ。うわあああ、良い声の人が近づいて来た、耳元ギリギリで喋ってくるううう!
バイノーラル技術で制作された音源は、普通のヘッドホンで聴いても大ざっぱな遠い・近い、音の左右などは分かるものだ。しかし位置が曖昧だったり、鳴り方に違和感があったりするのだが……「E500」にはそうした曖昧さや違和感がほぼない。
しかも、声から登場人物の身長を感じ取れるほど音場の再現度が高い。遠近はもちろん、頭の側で鳴る音は360度どこで鳴っていても、数センチ単位の移動ですら感じ取れるほどだ。正直、これで2020円は凄すぎる……!
・頭の中が5.1chに
『E500』はバイノーラル音源を聴くのに適したイヤホン、とはいえ、バイノーラル制作ではない「普通の音源」を聴いたらどうなのかも気になるところだ。そこで、音楽CDを聴いて検証してみることに。普通のイヤホンで聴くのと違いはあるのだろうか。
う〜ん、音の形がはっきりするというか、位置が際立つような感じはするが、特に普通のイヤホンで聴くのと劇的な違いはない。しかし、歌声が頭のド真ん中から聞こえてくる感じがするのは特徴的かもしれない。また、音楽CDを聴いてみて気づいたのが、2020円という価格に対する音の良さ。低音域はやや軽くざらついている気がするが、中音域だけでなく高音域も綺麗に出ているのは凄い。
音の位置がくっきりする上に音が良いとくれば、これはもしや、バイノーラル音源だけではなく、ライブ映像を鑑賞するのにも適したイヤホンなのでは? そう思いつき、試しにライブ映像を再生してみると……めっちゃ良い!
「普通の音源」ということで、あえて5.1chすら非対応のライブ映像を再生してみたが、パソコンの前に座っているだけなのにライブ会場にいるみたいだ……! 壁や天井に反響した歌声や、歓声の聞こえ方が完全にライブ会場。5.1ch非対応映像だったはずなのに、頭の中がホームシアター化している。「音の位置の再現度が高い」のは、バイノーラル音源でなくとも有効だった。これは嬉しい〜!
ライブ映像に「会場にいる」感が出るならばもしや、と思い舞台・ミュージカルの映像も観てみたが、やっぱり劇場にいる感ハンパない! ライブ映像同様、壁や天井に反響した音の響き方が会場にいるかのような聞こえ方なのはもちろん、静かな会場に響く舞台上の足音などの距離感・聞こえ方が超リアル。
ちなみに、実写映画を鑑賞してみると、確かに音の位置は分かりやすく鳴っていた。が、不思議とホームシアターで鑑賞するような「その場にいる」と思えるほどの臨場感は感じられなかった。これはアニメ作品も同様だった。ライブや舞台・ミュージカルなどの映像と音の録り方、もしくは入れ方が異なるのだろうか。
しかし、「VRイヤホン」との呼び声からバイノーラル音源にばかり目を向けがちだったが、ライブや舞台・ミュージカル作品などの臨場感が手軽に得られるのも『E500』の強みと言っていいのでは。
・『E500』恐るべし
2020円の格安イヤホン、と少しナメてかかっていたが、バイノーラル音源だけでなく、ライブ映像や舞台・ミュージカル作品を鑑賞するときにも手軽に臨場感を出せるのは嬉しい誤算だった。これは自信を持って、買って良かったと言えるイヤホンだ。「VRイヤホン」と呼ばれていただけあり、価格に見合わないほど音の位置や距離感の再現度が高かった。あわよくば、もっと音質を良くした上位モデルが発売されないかな、なんて思ってしまう。
「VRイヤホン」だけでは終わらなかったfinalの『E500』、現在(2019年10月30日時点)は基本的にfinalの公式通販サイトからしか購入出来ないようだが、気になった方はぜひ。
参照元:final「E500」商品紹介ページ、final公式通販サイト、Twitter @koiwai_kotori
Report:伊達彩香
Photo:RocketNews24.
▼「E500」の知名度を上げた小岩井ことりさんのツイート。ガチだった……!
イヤホン…finalのE500やばい…
通称『VRイヤホン』とも言われててダミヘの音声とか聴いたら秒で鼻血……😇
相手の身長とかまで感じる…
えっち…えっちなイヤホン…(語弊)しかも安い…めっちゃ安い…
2020円て…天才か……音楽聴いてもヤヴァイ…
推しが自分の隣で歌ってくれてる感やば……😇 pic.twitter.com/T1scF2tpf6— 小岩井ことり (@koiwai_kotori) October 10, 2019
▼ガチでオススメです。
2020円で頭の中に5.1chの音響機器配置できる。
意味が分からない!と思うだろうけれども、一度聴いたらご納得いただけると思う。舞台やミュージカルの配信観るのに適したイヤホン・ヘッドホンの中で最も安いのはコレだと思う。凄かった。 pic.twitter.com/YhKusDClXF
— 🍆あやぽん🍆(伊達彩香)🍆 (@ayaka0212v) October 30, 2019