予選プールを破竹の4連勝で突破し、2019年10月20日(日曜日)にはベスト4をかけて強敵「南アフリカ」との一戦を迎えるラグビー日本代表。そのプレイに心を揺り動かされ、日本中がラグビーに熱狂している。ズバリ、流行語大賞待ったなしの状況だ。

とはいえ、これまでのラグビー日本代表の歴史は決して明るいものではなかった。むしろ、暗黒時代と呼んでも差し支えあるまい。そのラグビー日本代表を2001年から今日まで支え続けているのが、リポビタンDでお馴染みの『大正製薬』である。果たして大正製薬はどんなきっかけでラグビー日本代表のスポンサーになり、また継続してこられたのだろうか?

・2001年からオフィシャルパートナー

2015年のW杯でジャイアントキリングを果たし、一躍有名になったラグビー日本代表。個人的な主観で大変恐縮だが、それまでラグビー日本代表のユニフォーム姿を目にした記憶はない。あの時初めてラグビー日本代表が赤と白のユニフォームを身にまとっていると知ったのだ。


さらに言うならば、大正製薬がラグビー日本代表のオフィシャルパートナーであることを知ったのもあの時が初めて。キリンやコカ・コーラならわかる。だが大正製薬には違和感があった。「なんでリポDが?」と感じたのは記者だけではあるまい。

しかも、調べてみると大正製薬は2001年から日本代表のオフィシャルパートナーを務めているというではないか。暗黒期のラグビー日本代表をなぜ大正製薬が……? これは気になって仕方がない。

・大正製薬に聞いてみた

というわけで、同社に問い合わせたところ「大正製薬マーケティング本部」が疑問に答えてくれた。さあ、ここからはハンカチを準備してご覧になっていただきたい。いま記者は泣きながらこの原稿を書いている──。


──そもそも大正製薬がラグビー日本代表のスポンサーになったのは何故なのでしょうか?

「はい。会長の上原明は学生時代にラグビーに親しんでいた経験から、その一体感やスポーツとしての魅力を存じていました。また弊社の創業以来の精神 “紳商” とラグビーは通じるものがあったのだと思います」

──紳商? あまり聞かない言葉ですね。どんな意味なんでしょうか?

「紳商は、商売は厳しい戦いの連続だが、その戦いはあくまで紳士的でなければならない。約束とルールを守る、ウソをつかない、弱い者いじめをしない、品格ある職業人であれ、という精神ですね」

──おお、確かにラグビーに通じるものを感じます。

「そして2000年にラグビー協会の強化委員長になられた宿澤広朗氏から “日本代表を何とかしたいので応援して欲しい” というお話を頂きました」

──向こうからオファーがあったんですね。

「はい。ただ上原は “既にラグビーチームを持たれている会社がスポンサーになられた方がいいのではないでしょうか?” と申し上げました」

──確かに。東芝とかYAMAHAとかはありますよね。

「そうなんです。ただ宿澤氏は “代表のジャージに選手たちが普段戦っている会社の商品ロゴが入るのはあまり好ましくない。ラグビーに理解があって、しかもチームを持っていない企業のご支援をいただきたい” と仰ったそうです。これがきっかけとなりました」


・18年もスポンサーを続けてこられたワケ

──なるほど。でも、正直ラグビーがここまで盛り上がるって誰も思ってなかったと思うんですよね。なぜ18年間もスポンサーを続けてこられたのでしょうか?

「まず、上原を始め会社のトップたちがいち早く “ラグビー文化は日本文化とも近く、日本や日本人に適したスポーツ” だと見抜いていたからではないでしょうか」

──ふむふむ。

「ラグビーの基本精神である、スポーツマンシップに反することはしない、個人ではなくチームの勝利のためにプレーする、という考えが日本文化とマッチしますし、そのスポーツを日本に広めていくことは、非常に意義深いことだと捉えてきました」

──なるほど。それでも18年間はスゴイですよね。

「確かに世界で結果を残せない時期が続きましたが、スポンサーになった当初から、支援は長期的視点で継続的に行わなければならないと考えていました」


──素晴らしい志ですね。

「そもそも弊社の主力商品であるリポビタンDの長年のコンセプトは “努力・友情・勝利” であり、ラグビーの “One For All, All For One” と通じるものがあります。また現在のコンセプト “Have a Dream” は、夢を叶えるためにチャレンジしている人を応援するという意味ですので、ラグビー日本代表を支援し続けることに迷いはありませんでした」

──カッコ良すぎます。でも、実際のところ社内では反対の声もあったのではないでしょうか?

「実は……ないんですよね。とにかくラグビー日本代表をスポンサードする趣旨がハッキリしていたことが最大の理由かと。弊社及びリポビタンDとラグビーの親和性を全社員が理解していたのだろうと思います」

──感動しました。それでは引き続き日本代表のオフィシャルパートナーを続けていくということでしょうか?

「はい。継続は力なり、続けていくことが重要と考えております。引き続き、日本代表チームのオフィシャルパートナーとして、全国のラグビーファンの皆様と共にラグビー日本代表を応援し、スポーツ文化としてのラグビーの定着、そして青少年の育成により一層貢献していけたらと考えております」

──私も微力ながらリポD飲んで応援します! ファイト一発!!


ご覧のように、大正製薬がラグビー日本代表を長年務めているのには確固たる理由があった。ズバリ「ラグビー日本代表快進撃の裏に大正製薬あり」と言っても大げさではないだろう。ラグビー日本代表に感動しまくりのイチファンとしてお礼を言わせて欲しい。大正製薬さん、どうもありがとう──。


というわけで、大正製薬とラグビー日本代表の関係性が明らかになった今回のインタビュー。南アフリカ戦もリポDを飲みながら応援します。それではみなさんよろしいでしょうか? せーの、ファイトォォォオオオオオオ! いっぱぁぁぁぁあああああつ!! 頑張れラグビー日本代表ッ!!

取材協力:大正製薬
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.

▼南アフリカ戦もリポD飲んで応援します!