日本最初のハンバーガーチェーンといえば、ドムドムバーガーである。どれだけ他の大手チェーンが売上を伸ばしても、それだけは揺るぎない事実。しかし残念ながら、一時は地方店舗の閉店が相次ぎ、その名前さえ「懐かしい」と言われることがあった。現在は新しい経営体制のもと、少しずつ店舗を増やしつつある。
そんなドムドムが、2019年10月16~19日の期間限定で、東京「DOMDOM in 六本木」というイベントを開催している。実際に行って味を確かめたところ、ドムドムが本気出してきたと実感した。この味は、他のチェーンでは出せないぞ、マジで!
・六本木にドムドムだと!?
ドムドムが3日間限定の出店は、今回が2度目となる。9月末に同じく3日間、元イタリアンレストランでイベントを開催したところ好評で、このほど再度開催するに至ったそうだ。
六本木でドムドム!? すげえええ! 期待に胸を膨らませてお店に向かうと、残念なことにお店の場所が非常に分かりづらく、最寄り駅(東京メトロ六本木駅)からも遠いことが判明。もっと駅に近い場所に出店すればよかったのに……。
店前まで行くと、「ここか?」と思わず不安になってしまう。創業50周年を記念して、ファッションブランド『フラボア』とのコラボアイテムをディスプレイしているため、そこがすぐにお店と判断できなかった。
だが、入り口には確かにある。ドムドムのロゴが!
・庶民派のはずが……
ドムドムといえば、庶民の味方だ。美味しいハンバーガーを手ごろな価格で食べられるのが魅力のひとつ。だが、このお店には庶民感が乏しい。いやゼロと言ってもいい。シックな設えの店内に、あの愛らしいロゴの入った敷き紙は、なぜか似合わない。もしかして、背伸びして六本木なんかにイベント出店しちゃったのか!?
メニューを見てみると、価格も庶民派ではない。もっとも安い「丸ごと蟹バーガー」が税別1280円。高いものは、「肉味噌バーガー」税別1650円。おいおい、大丈夫かよ? ここは私の慣れ親しんだドムドムではないらしい。
まさか高級路線を狙っているとか? とにかく食ってみないことには、その真意を知る手がかりは得られない。まず食おう。ここのスタンダードを知るために、肉味(にくみ)バーガー(税別1550円)を注文した。
・本気のドムドム!
オーダー後、5分と待たずにハンバーガーが出てきた。早い! 店構えはレストランだけど、提供はやっぱりファストフードなのね。あまりの早さにビビった!
バンズは秋田県産の米粉、北海道産の小麦粉を使用しているそうだ。そしてパティには、山形牛を100パーセント使用している。存在感のあるデカいパティが、バンズの下から覗いている。
包み紙を広げて手に取ると、ずっしりと重い。そして、側面から見たパティの分厚さに驚かされる。推定2センチのボリュームパティじゃないか! これは、かなりやる気だ。肉を食わせに来ている。おまけに粗挽き、ジワリと漏れ出した肉汁が食欲をそそる。
大口を開けてひと口頬張ったところ、食感に衝撃を受けた。これはハンバーグではない、ステーキのごとき食べ応え! ただ金額が高いだけではない。良いモノを食わせる気で、このメニュー・価格設定にしたに違いない。
先にも述べたように、ドムドムは庶民的なハンバーガーだ。そのスタンスで50年もの間、日本のファストフード業界の先駆者であった。しかしそれだけがドムドムではないことを、このハンバーガーで示そうとしているのではないだろうか。最近は気をてらった変わり種商品や、謎のコラボ商品を提供するチェーンが増えるなかで、ドムドムは正統派の直球勝負を仕掛けてきているようだ。
お店の人の話では、次に六本木に出店する予定は決まっていないとのこと。できれば、価格の折り合いがつく範囲で、この商品の提供を続けて欲しい。他のチェーンに絶対にマネできない、それがドムドムバーガー本気の商品だ。
・イベント詳細
名称 DOMDOM in 六本木
住所 東京都港区六本木7-3-21(旧ピッコロモンターニャ)
会期 2019年10月16~18日
営業時間 16:00~22:00(ラストオーダー21:00)
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24