最近、肉の代替品についての話題をいろんなところで耳にする。天然の肉ではなく、植物由来の肉っぽいヤツだ。ベジタリアンやヴィーガン向けというだけでなく、健康志向な人々なんかもターゲットにしているのだろう。
そんなニセモノの肉でできたハンバーグが、近所のローソンで売られ始めたのを発見。『ゼロミート』なる商品だ。前々からこの手の肉の模造品はウマいのか気になっていた筆者。面白そうだったので本物のハンバーグと食べ比べてみたぞ!
・自称「そこそこ美味い」
『ゼロミート』が何なのか……詳細は公式HPを見てもらうとして、ざっくり述べると大豆がメインな肉の代替品である。今回食べてみるのはハンバーグ。味は「デミグラスタイプ」と「チーズインデミグラスタイプ」の2種類。値段はどちらも税込み322円。
パッケージには「肉じゃないのに、そこそこ美味い!」と、自信があるのか無いのかよくわからない主張がなされている。
せっかくなので、今回はローソンオリジナルのレトルトハンバーグ(130円)と食べ比べてみようと思う。こちらは「肉のうま味をぎゅっと閉じ込めた」と書かれている。暗に「オレはウマいぞ!」と言っているようなもの。
開封し、それぞれ温めて並べてみると……
色が違う。サイズや形状はこの際無視していいだろう。値段も違うし、ゼロミート同士にしても個体差な可能性がある。それよりも色である。ローソンの肉でできたハンバーグは色が濃い。濃い方がウマそうに見える。
それに対してゼロミートは白っぽい。箸でつかんだ時の感触や匂いに関しては、正直違いがわからなかった。はたしてこの色の違いが何を意味するのか。次は断面を確認してみよう。
おや? 表面よりも、見た目上の違いが少ない気がする。ぶっちゃけほぼ一緒だ。表面の色の違いは、ローソンの視覚的な戦略に過ぎなかったのだろうか。まあ食べてみるとしよう。
・そこそこ美味い
ここらで先に結論を述べてしまおう。3種ともそれぞれ食べてみた上で、ローソンの肉ハンバーグと味を比較してみた結果、『ゼロミート』は宣言どおりそこそこ美味かった。「そこそこ」という部分も含めて、表記に偽りなしというヤツである。
それぞれの感想はこうだ。まずローソンのハンバーグだが、これは普通に美味い。まさにレトルトハンバーグの概念そのものといった感じ。今更詳しくも何も無いだろう。「レトルトのハンバーグ」と聞いて想像するクオリティがそのまま具現化したようなハンバーグ。
それに対する『ゼロミート』勢はどうだったのか。まずはノーマルから。最初の一口……いや、最後の一口の一歩手前までは「おっ、うめぇ!」という感じ。ローソンの肉ハンバーグと比べてまったく遜色無い。
正直、事前に肉ではないと知っていなければ分からないだろうというレベル。大豆でこんなのができるとは。もう全部大豆でいいんじゃねぇかな……なんて思っていた。最後の一口ギリギリまでは。
しかし、そのままフィニッシュとはならなかった。「ん?」と異変を感じたのだ。なんだか急に、穀物というか、藁というか、馬屋の匂いというか、そういう草系のスメルが気になりだしてしまった。
それまでは「うめぇうめぇ」と肉を感じていたのが、急速にプラント化したのである。どう考えても植物由来やな……と確信させるレベルの圧倒的な草系スメル。
ほぼ食べ終わるまで全く気づかなかったのになんということだろう。一度認識してしまうと、もうどこまでも草なのである。ゆえに、最後に食べたチーズ入りは最初から草だった。
入っているチーズについては正直イマイチ。もっとガッツリと激しいチーズ感のあるチーズにすべきだと思う。なんだかトロッとするクリーミーな半液状のモノが入っている……程度の存在感しかないのだ。
これはチーズの種類とハンバーグのフレーバーとの相性の問題だろう。それはともかく、問題は草スメルである。デミグラスソースの香りと草スメルで、完全にイミテーションミート感しかしなかった。
SF小説などで登場人物が「俺もいつか本物の肉を食いてぇなぁ」などと言いながら合成肉を食べる様子を思い浮かべて欲しい。荒廃して天然物の肉などが高級品と化したディストピア的未来が舞台だ。
『ゼロミート』のチーズ入りハンバーグを食べながら筆者の脳裏に浮かんだのは、まさにそのような情景。急速に草スメルが目立ち始めた仕組みは全くわからない。もしかしたらたくさん食べたのがいけなかったのだろうか。
・どのタイミングで気づくか
先に述べたとおり、最初の1つを食べ終わるギリギリのところまでは、全く普通のハンバーグだと感じていた筆者。マジで美味かった。しかし一度気になりだすと、植物をこねたプラント団子を食ってる気持ちしかしない。
美味いか不味いかでいうと、美味い部類に入る。でもハンバーグじゃない。食えば食うほど本物のハンバーグが食いたくなる系のプラント団子だ。
なるほど……「そこそこ美味い」とはまさに的確すぎる表現である。鍵は最初の一口でプラント的なスメルを検知できるかどうかだと思う。もしできないのであれば、1つくらいは普通に「うめぇうめぇ」と食えてしまうだろう。
そのあたりの香りに敏感な人にとって、『ゼロミート』は始終ニセモノの肉であり続けると思われる。あるいは、筆者のように一度に何個も食べると、どこかを境に唐突にプラントなスメルを検知してしまうのかもしれない。
でもこれ、一度気づいてしまうともう二度と肉だと騙されないだろうなぁ。だからといって不味いわけじゃないんだけど。そこそこ美味いです。本当に、そこそこ美味い。