
どんな業種であれ、長くお店を続けていくのは大変なことだ。とくに飲食店となると、5年10年と看板を守り続けていくのには覚悟と努力を要する。東京・新宿御苑の『小麦と肉 桃の木』は2017年に惜しまれながら閉店した。
2019年2月、同じ場所に同じ名前で復活を遂げ、さらにクレープのお店を併設するに至っている。一体なぜ、つけ麺屋なのにクレープを売るようになったのか。そのいきさつを店主に尋ねた。
・なぜクレープを?
実はこのお店については、2011年に紹介している。2009年にオープンし2017年に閉店するまでの間に、ラーメン店グループの「せたが屋」が運営を行っていた。現オーナーの矢野さんは、このお店で2代目店主を務めていた。
会社の異動などでお店を離れ、退社後の2016年からは移動販売のクレープ店を始めた。クレープ店が軌道に乗り始めた頃に、お店の買取の話が持ち上がったため、つけ麺専門店でありながらクレープを販売するという、ちょっと変わった二毛作スタイルをとるに至ったそうだ。
「クレープの移動販売をやり始めた頃は、1枚も売れない日もあったんですよ。それが売上の見込みが立つようになって、今では常連さんもいらっしゃって、続けて行きたかったんですよね。(お店に)戻って来ないかって話があった時に、会社に戻る気はあまりなかったんですけど、『桃の木』そのものがなくすのは惜しいと思ったので、買取のお話を頂いた時にやることを決めました」
彼女はそう話す。その思いを形にするために『桃の木』としての復活を遂げ、物置と休憩所だった場所を改装してクレープとレモネードのお店『たつろうカフェ』を併設した。桃の木の営業時間が11~14時。片づけをする一方で15~18時の間、たつろうカフェの営業を行っている。
クレープメニューはレギュラーが約30種。そのほかに季節の限定メニューも用意している。
・やりたい形で
つけ麺 + クレープ、かなり変わった組み合わせ。しかもそれぞれ営業時間に限りもある。逆にやりづらくないのだろうか? どちらかひとつに専念した方が良いのでは? 余計なおせっかいながら、そう尋ねてみると、彼女はこう言う。
「私、いろんなところに行きたいんですよ。ジッとしていられないんですよね(笑)、だから移動販売を始めたんですよ。好きなんです。桃の木の営業時間は短いですけど、3時間前から仕込みをしてるんですよね。長く続けたいんです、このお店。今以上に(営業時間を)長くしてイヤになったら終わりじゃないですか。だから、こういう形になりました」
たしかに、自分のやりやすい形で続けることが、結局長く続く秘訣に違いない。移動販売で行きたい場所へ。そして、短時間営業でも、お客さんに満足頂くこと。この両立が彼女にとってのベストのようだ。
・意外と少ない
この日、私(佐藤)はチョコバナナクレープ(430円)とレモネード(400円)を注文した。
そう言えば、クレープを食べるのはいつぶりだろうか? 少なくとも原宿に行かない限り、私はクレープを食べる機会がない。「クレープのお店って意外と少ないんですよね」と矢野さん。お客さんからもそういう声をよく聞くそうだ。最寄りのスーパーに移動販売のクレープ店を見つけたら、やっぱりうれしいかも。
クレープを頬張りつつ、自家製シロップのレモネードを飲むと、その爽やかな飲み心地に癒される。とくにこれからの季節は、喉の渇きを潤すのに持って来いだ。優しい酸味と深い甘味で、暑さによる疲れが和らぎそうである。
・彼女の人柄
何より私がオススメしたいのが、彼女の人柄だ。何事にも明るく前向きに取り組む彼女の姿勢は、話しているだけでこちらまで明るく前向きな気持ちにさせてくれる。私のようなへそ曲がりな人間は、何かあるとすぐに苛立ったり、諦めたりしてしまうのだが、彼女と話していると何だか自分が小さいことに悩んでいる気さえしてくるから不思議だ。
お店に行き彼女と話していると、どんな形であったとしても、自分のやりたいようにやってみるべきなんだ。そう、思えてくる。
・今回紹介した店舗の情報
店名 小麦と肉 桃の木、たつろうカフェ
住所 東京都新宿区新宿1丁目32−4 エヌエスビル 1F
営業時間 11:00~14:00(桃の木)、15:00~18:00
定休日 水曜・日曜日
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
▼つけ麺店「小麦と肉 桃の木」は復活以降、行列が絶えない。営業時間終了の30分前(13時半)でも入店を待つ人が
▼レギュラーメニューに加えて、期間限定メニューもある。「ソルトマジンジャー(900円)」は2019年6月29日までの限定まぜそば
▼つけ麺ブルガリア(1000円)は、2011年の取材時から提供開始したメニューのひとつ。お店の復活と共に蘇った
▼スープの旨味とヨーグルトのコクが特徴的な一品
佐藤英典















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